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六角瞳  作者: 有寄之蟻
真相編
108/114

・108・ミーの怒り

ミーは今、自分がヘキサアイズになっている事を完全に忘れていた。


ヘキサであれば、ミーはヘキサと同種の匂いをまとうはずで、キムが食欲を覚えるはずがない。


しかし、混乱と怒りと、ミーの内に溜まる感覚が、ミーの感情をグチャグチャにした。


そしてキムは、最近見せなかった口調にそぐわない俊敏さで、ミーから距離を取った。


怒ったミーすら、一瞬唖然とする早さで。


しかも、あろう事か、キムは距離をとってミーの前に片膝をついて、頭を下げた。


つまり、いわゆる跪く姿勢をとったのだ。


理解できない行動だったが、すでにこれまでのキムの行動で怒りに火がついていたミーは、かまわずそのつむじに向かって言いつのった。


コワイよ、キム!なんであんな事するの!?なんで抱きしめたりするの!?なんであんな……!意味わかんないよ!コワイ!なんでコワイ事するの!?私が食べたいなら、そう言えばいいじゃん!でも……守ってくれるって言ったじゃん!なんで、なんで……!?


言葉をぶちまけながらも、勢いはだんだん弱くなり、最後には溢れ出した涙に、口を閉ざしてしまった。


嗚咽をもらし、必死に涙を拭おうとするが、涙腺は決壊したかのように止まることを知らない。


床に座り込んで、顔を両手で覆い、混沌とした心中を抱えて、ミーはもう何がなんだか分からなくなった。


キムの行動は、裏切られたような、決められたルールを破られたような、そんな衝撃だったのだ。


そしてそれは、ミーの内の奥底にあるモノを呼び起こそうとする。


ミーが認めたくないモノ、名前をつけたくないモノだ。


それを無理矢理引きずり出そうとされる度、ミーは抑え込もうとしてきたのに。


少し前に考えていた事、とっくの昔にミーが気づいてしまっていた感情。


しかし、それはミーの特異な体質の故に、キムに伝える事は決してない、とミーは決めていたのだから。


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