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六角瞳  作者: 有寄之蟻
真相編
102/114

・102・共通点

「……あそこを捜査、したなら…あなたも知ってる、だろ。……地下には、あの男の……致死量の、血液…そして、あの部屋以外には…血痕はなかった」


「……えぇ、確かに貴方の言う通りの状態でした。しかし、確かに致死量の出血量でも、しばらく回復に努めれば、ヘキサなら命を繋ぎとめる事は可能です」


「……でもあの時…あの男は、地下にはいなかった…」


「それは……貴方達が見落としたのでは?」


目を伏せてゆっくりと語るキムと、興奮を抑えつけた声音で強くキムを見据えるウォー。


そんな二人の会話を、ミーは息をひそめながらじっと聞いていた。


そして、事情聴取が始まってからすっかり存在を忘れていたプリンをチマチマと食べ始める。


一口一口が美味しくて、思わずニヤケそうになる頬を、真剣な話の途中だからと、ミーは必死に引き締めていた。


「……大量の血痕と、その場から動いていない事……それに、その後行方不明な事。……芝崎タチも斜陽リリ…も同じ、だろ…?」


「………………」


首を傾けて問いかけたキムに、ウォーは口に手を当てて考え込んだ。


濃厚なチョコの味を噛み締めながらも、話を聞いていたミーは、確かにそうかも、と気がついた。


ミー達が実験された地下施設で、血液があったのは、手術台のあった部屋だけだ。


そして、階段を見つけた際、嗅覚の特化したキムは、芝崎タチの血の臭いはあの部屋以外ではしなかったから、この地下施設にはいないだろう、と言ったのだ。


そしてその後、ウォーが言うには芝崎タチは行方が分からないという。


それと同様に、リリはーーおそらくミーがテールと左足を切り落としたせいだろうーー大量の出血をし、血痕ができた。


キムは逃げたと言ったが、ウォーは現場から出ていく足跡はキムの分しかないというから、リリはその場から動いてない可能性がある。


そして、リリが現在行方不明な訳でーー芝崎タチと状況はほぼ同じと言えるだろう。


一部、キムの証言とウォーの言い分は食い違うのが気になったが、ミーは思考を続ける。


例えば、致死量の出血をしていて、それで二人が死んでいたとして、でも、二人はその場から移動していない。


それなら、ミーが目覚めた時点で、その死体が部屋にあるべきだし、リリも行方不明扱いにはならないはずだ。


もし、万が一生きていたとして、リリが出ていく足跡がなかったことは矛盾してしまう。


その場にいない理由が説明できないからだ。


無意識に首をこてりこてりと左右に傾げながら、舌ではプリンの滑らかな食感を楽しむ。


その美味しさに気が抜けて、ついフフッと笑ってしまった。


ハッとしてウォーとキムに目を向ければ、案の定、二人はばっちりミーを見ていた。


ウォーは呆れたように片眉を上げ、キムは不思議そうに首を傾げた後、クスリと笑う。


いたたまれず、恥ずかしく、ミーはそっとデザートスプーンを置いて、……ごめんなさい、と謝った。

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