この世界と、この街と、
この世界、ハーフニルでは――
『龍の背に世界が創造されている。』
――と、そう信じられている。
ハーフニルの大地には、龍脈と呼ばれるエネルギーの通り道が奔る。
龍脈は、ハーフニル全土を覆う様に張り巡らされている。
しかし、場所によって、エネルギーの量が異なる。
勿論、龍脈の無い場所も存在する。
そこには、エネルギーの恩恵もない。
龍脈のエネルギーは、生命を誕生させる程に強大な力だ。
山、川、森――そこに生きる全ての生命の命の源である。
ハーフニルに住む人々は、そのエネルギーの集中する『龍穴』、『龍点』、『宝玉』などと(地域によって呼び名が違う)呼ばれる場所に国や都市を築き、龍脈の力の恩恵を最大限に利用して生活を行っている。
◇ ◇ ◇ ◇
龍脈のエネルギーが吹き上がる巨大な間欠泉、龍穴。
そこに建てられた街『ゲキリン』。
ゲキリンは、大都市と呼ばれる程までは、大きくない。
だが、中規模程度には、大きな街だ。
そのゲキリンでは、龍穴を囲む様に、大きな施設が建てられている。
その一つが、御社だ。龍神を祀った木造の神社で、この街の主要施設だ。
龍脈の恩恵に感謝し、参拝する者が後を絶たない。
他には、東に、ガスプラント。西に、水工場。
北には、発電所があったりと、龍脈のエネルギーを各施設で変換し、資源やエネルギーに変えていると言うわけだ。
そして、ゲキリンでは、龍穴から遠ざかるに連れて、建物の高さが低くなる。
御社から街の入り口までは、高低差がかなりあり、途轍もなく長い階段が敷かれている。
所々に鳥居が並んでいる。
中心の龍穴からは、モクモクと青白い煙が立ち昇る。
ゲキリンの街の姿は、まるで人工的な火山の様に見えることだろう――。
◇ ◇ ◇ ◇
トレスは、『ゲキリン』の商店街を歩いていた。
トレスの真っ黒な髪は、ギザギザだ。
目には、隈の様な濃い痕があり、いつも目付きが悪く見られる。
肩の無い浴衣の様な肌けた上着を着ていて、細身の割に鍛え上げられた肉体をしている。
そして、両肩には、『龍の頑丈なる力』を効率よく変換する為の四角い鉄の装置がついている。
これを変換機。または、変換機構と呼ぶ。
街の外で狩りをする為には、こう言ったチャージャーが欠かせない。
街の外には、龍脈から生まれてくる魔物が、沢山生息している為だ。
トレスは、狩人だ。
街の住人の為に食料を調達して来るのが、狩人の仕事となる。
そんな彼の体には、歴戦の傷跡が目立つ。
腕は勿論の事、脚にも何かに噛まれたであろう傷跡がある。
その為、ズボンの膝下は、ボロボロに破けてしまっていた。




