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Witches×WitchBot  作者: 三嶋トウカ
訓練

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第1話:星都の歴史_1


 この星は平和だった。文明があり、自然があり、人が住む。争いはなく、皆が幸せに暮らせるよう【人類幸福支援機構】が世界を管理し、不安や恐怖を感じることなく人々は生活していた。


 ――ある日、魔女が見つかるまでは。


「――魔女は私たちの知らない魔法を使います。攻撃的で残忍で、見た目は人と同じではありますが、中身は全く異なります。そして、意思疎通はできません。魔女に遭遇したら、速やかに逃げること。そして、人類幸福支援機構へ連絡すること。皆様の幸福と平和は人類幸福支援機構が必ず守ります――」


 今日もお馴染みのアナウンスが町に流れた。


 この世界は、小さな星――【星都-せいと-】の集まりでできている。一つの星がまるで都市のように機能し、ワームホールや宇宙船で各星を行き来していた。星都にリーダーはいても、支配者はいない。星たちの中央に位置する【天都-あまと-】が、全てを管理していた。良いも悪いも。全て。


「――では、トウヤさん」

「はい!」

「【星喰-ほしばみ-】の仕事は何ですか?」

「星喰は、僕たちの住む星の核-コア-です。星喰がいなければ、この星は死んでしまいます。なので、星のエネルギーを吸収し循環させることで、星喰は僕たちの世界を守っています」

「そうですね。星喰は、この星の核です。では、星の寿命は知っていますか?」

「知っています! 星喰が姿を現したら、その星の寿命がすぐだということがわかります」

「なぜ、星喰の姿が見えると寿命だとわかるのでしょう?」

「普段はエネルギーを循環させていますが、それができなくなると溜め込む一方となります。溜め込むだけということはすなわち、星のエネルギーを空になるまで全て奪ってしまうということです。星のエネルギーを吸い尽くすと、新しい星を作るために星喰は生まれ変わるか、死を迎えてまた新しく生まれ直します。その時に、星に残った無機物と有機物を、その誕生のエネルギーへと変えるために姿を現します」

「そうですね。よく勉強していて素晴らしいです」

「ありがとうございます!」


 学校での授業。星には必ず核となる星喰がいて、その星を生かしている。星喰を核として星は生まれ、やがてその餌となって消える。生まれ変わろうと、生まれ直そうと、元ある星の生命は消える。星喰は無数に発生するため、人々は星が消えてもいちいち悲しまない。憂いもしない。恐怖も感じない。天都の導くまま、新たな星へ移動すれば良いのだから。


「それでは次。……そうですね、エイナさん」

「はい!」

「私たちは、新たな星へ引っ越す際、一切困ることはありません。それはなぜでしょう?」

「はい、それは、全ての情報を集めたキューブを天都が保管しているからです」

「では、キューブとは何ですか?」

「キューブは、星……星都の情報を集めた記憶再生媒体です。色によって無機物、有機物……と分かれており、無機物と有機物のキューブをその星にある装置へはめ込むことで、保存された星都の情報を読み込み、その場へ即正確に再現できます。このキューブを使用することで、私たちはただその星へ移動するだけで、すぐに今まで通りの生活ができます」

「その通りです! 良く知っていましたね」

「ふふふっ。それほどでも。たまたま、父や母から話をよく聞いていたので……」


 謙遜しながらも、エイナと呼ばれた少女は満更でもない表情を浮かべていた。


 ここは天都にある教育兼調査施設。【ピィスメイカー-平和調停機関-】だ。上流階級の子や、優秀であると認められ推薦をもらった子どもが多く通う。子どもが多いとはいえ、年齢に上限下限の制限は設けられておらず、幼子や大人に分類される年齢の生徒もいる。


 トウヤは非常に優秀な男の子だった。年は十四。家庭は決して裕福ではなかったが、彼が住む星都にある学校から推薦をもらいここにいる。その頭脳と身体能力は十五歳未満の中ではトップクラスで、常に成績優秀者に名を連ねていた。彼のような人間は珍しい。推薦枠があるとはいえ、その競争率は高い。推薦されたからと言って必ずしも施設へ入所できるわけではない。その点を踏まえると、彼は運も良かった。

 エイナは人類幸福支援機構に両親が勤めている。……つまり彼女がここにいるのは当たり前のことだった。だが、彼女は彼女なりに学び、上を目指している。父や母から聞くのは当然のこと、もっと小さなころから環境に恵まれていた。その立場から、親の仕事へ同行することもある。まだ子どもなのに……と反感を買うこともあったが、そこはピィスメイカーに籍を置いているという事実と、両親の存在から誰もが口をつぐんだ。歳はトウヤと同じく十四歳で、彼に比べるとあどけなさが残る。


「この星都は、まだ生まれたばかりです。ですが、人類の住む星都として、しっかりと機能を果たしています。元々、この星にキューブをはめて住める土地を作り星都としてくれたのは、エイナさんのご両親です。みなさんもご存じでしょうが、エイナさんのご両親は、人類幸福支援機構で仕事をされています。新たにできた星の観察や、星都へするためのキューブの設置は、人類幸福支援機構の仕事です。……確か、エイナさんもその作業へ同行したんですよね?」

「はい、同行しました」

「是非その時の様子を聞かせてください」

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