表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
シールド  作者: K.Dameo'n'AI


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

24/34

疑念の村

──王都近郊・ロス村。

夕暮れ。 村の広場に設置された魔物用の檻の中で、仮面をつけた異形が静かに座っていた。

骨板のような面を持つ細身の体。手を前に差し出したまま、微動だにしない。

その前に立つのは、王宮特別警備隊隊長・リルヴェット・クローディア。

そして、隊員のサン・エルミナスとケルヴィ・ヴァン=エルド。

彼らの前で、泣き崩れる一人の女性――殺された男の妻が、震える声で語っていた。

「夫は……あの化け物に殺されたんです……!こん棒で、頭を……ぐちゃぐちゃに……!」

リルヴェットは静かに膝を折り、目線を合わせる。

「……お辛いですね。お気持ちはお察しいたします」

ケルヴィは無言で端末を操作しながら、記録を取っている。

「…………」

サンは、檻の中の異形を見ていた。

その存在は、首を傾げながら、手に持った布をそっと檻の隙間から差し出している。

その仕草が、なぜか胸に引っかかっていた。


「……連行しましょう」

ひとしきり話を聞き終えたリルヴェットが立ち上がる。


―――その瞬間。


「ちょっと待った」

背後から声が響いた。

「こいつがこん棒で撲殺した。貴女はそう言うんですね?」

整った顔立ちの成年が、檻の中の異形を見ながら言った。

女性は涙を拭いながら頷く。

「そうよ!この化け物が……!」

青年は、ふっと笑い、少し間を置いて言った。

「……貴女、嘘ついてますね」

「ちょっと、何言ってるの! やめなさい!」

リルヴェットが声を荒げる。

「私は本当のことを言っただけなのに、嘘だなんて……!」

女性は再び泣きわめいた。

「リーン……捜査の邪魔よ。黙ってて」

リルヴェットが睨む。 だが、リーンと呼ばれた青年は気にせず続ける。

「こいつは――サイプス。見た目はあれだが、こいつほど友好的で優しいモンスターは居ない。

人を襲うどころか、こいつは困っているモノへ手を差し伸べながら殺される。そんなモンスターだ」

そう言って、リーンは檻の隙間からサイプスに手を差し出す。


サイプスは、差し出された手を見ながらゆっくりと自分も手を伸ばし――握手。

そして、深くお辞儀をした。

「テキトーな嘘を言って捜査の邪魔しないで!」

リルヴェットが怒鳴る。その瞳は冷静さを保っていたが、声には苛立ちが滲んでいる。

「ごめんなさい。この者は捜査には関係ありませんので―――」

リルヴェットが夫人に向き直り、謝罪を述べてる背後でリーンはサンに声をかける。

「おい、お前。サンとかいったか?」

「はっ、はい……」

突然の呼びかけに、サンは驚きながら返事をする。

「ちょっと来い」

「え、あ……はい……?」

手招きするリーンのもとへ サンは警戒しながらも、ゆっくりと近づいていく。

「こいつと握手して、お辞儀してみろ」

「え……?」

「ちょっとリーン!勝手なこと指示しないで!」

リルヴェットが制止するが、リーンは無視して言う。

「お前、モンスターに興味あるんだろ?」

「え、どうして……?」

「そこの嘘つきが喚いている時、お前だけはサイプスを見ていた。状況を見極める力がある。……そこの“隊長様”よりな」

「衛兵っ、すぐこっちへ来て!」

リルが叫ぶと、現場の立ち入りを規制していた兵士の二人が駆け寄り、リーンを拘束する。

「もう一回言う! サイプスと握手とお辞儀しろっ! そしたら―――」


連行される最中、リーンはサンへそう叫び、やがて静寂が訪れた。


「サン……」

リルヴェットは、サンに向き直る。

「あの男のことは忘れて。初仕事早速にやってくれたから……もう、会うこともないわ」

「で、でもっ……」

「私が隊長よ。分かってるわね。サン」

サンは黙って頷いた。

「…………」

だが、視線は檻の中のサイプスへと向いていた。







評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ