鉄屑
最終エピソード掲載日:2026/02/22
大正十三年七月、尾道の雑貨商・梶原寅之助のもとに、海軍省から一通の書留が届く。旧式水雷艇の解体義務を負え、という通達であった。身に覚えのない話だが、調べてみると、知人の保証人になった際に押した判が、保証の連鎖をたどって佐世保に繋がれた軍艦にまで行き着いていた。
解体しなければ繋留料は日々嵩み、違約金も迫る。裁判で争う金も時間もない。腹をくくった寅之助は、妻・千代の助けを借りながら、因島の造船所主・三好嘉平に解体を依頼し、質屋や親族から資金を掻き集め、佐世保から瀬戸内海まで四百海里の曳航を経て、因島での解体に漕ぎつける。不発弾の発見、重油の流出、冬の悪天候——次々と降りかかる難題をしのぎながら、雑貨屋は半年がかりで百五十二トンの鉄の塊と格闘する。
解体しなければ繋留料は日々嵩み、違約金も迫る。裁判で争う金も時間もない。腹をくくった寅之助は、妻・千代の助けを借りながら、因島の造船所主・三好嘉平に解体を依頼し、質屋や親族から資金を掻き集め、佐世保から瀬戸内海まで四百海里の曳航を経て、因島での解体に漕ぎつける。不発弾の発見、重油の流出、冬の悪天候——次々と降りかかる難題をしのぎながら、雑貨屋は半年がかりで百五十二トンの鉄の塊と格闘する。