8話 流星
分量がまた多くなりました。5000から6000文字の間ぐらいで収めたいです。
ここは、パンゼ大陸。
周りが海に囲まれている孤島。
その囲まれている海というのが嵐、激潮、巨大な海王生物と危険が沢山あり、ほかの大陸との交流が難しい。
そのため、大陸独自の文化を培ってきたのだ。
その中にいくつかの国が存在するが、その国の中でも大きな権力を振るうのがハースハイトという国だ。
その国を北西に進んでいくとギュールという国がある。
そこは、飢餓やモンスターの脅威にまだ対策が十分ではなく、住むには困難が強いられる。
その理由の一つとしてその国を北に進んだところにあるブラマの森が関係している。
ブラマの森、またの名を後悔の森と言う。
力試しに入った人間や調査に入った人間たちは皆そう呼ぶのだ。
その森の強烈なまでの環境変化やモンスターもさる事ながら、もう一つ理由がある。
その森の唯一のルール、完璧なまでの弱肉強食。
力こそが全てでありそこには人情や義理などはない。
奪うものが正義であり、奪われるものが悪という清々しいまでの弱肉強食の世界なのだ。
どんなに金を持つものであろうが、権力を持つものであろうが、モンスターから見れば何も変わらない。
その森に一歩足を踏み入れれば一個体の生命体と見なされ、容赦なく森の洗礼を受ける。
その森の中に、一人の少年はいた。
足元にはシロと呼ばれる幼獣を連れ、さまよい歩く。
「なにか妙だな。」
リザードは森を進みながらつぶやく。さっきまで快晴だった空はもう跡形もなく雲に覆われていた。
果たしてこんなにも早く天候というものは変わるものなのだろうか、と思いつつ早速困難にであっていた。
……グゥー…
お腹空いた。
いつも持参している携帯食料を口にするがこれではまるで足りない。
いつものリサードならこれでしばらくは動けるのだが、いかんせん足りない。
魔獣化のバッドステータスのせいだろう。
「魔獣っていつもこんなに腹ペコなのか?…」
シロに話しかけてみるが地面をスンスン匂いを嗅いでいるだけで返事はない。
無視かよ。それとも無言の抵抗ってやつか?
「とりあえず、なにか食べれるものないかなぁ…」
そんなことを思いながら歩いていると馬鹿な考えを思いつく。
魔獣って美味しいんだろうか。
そこまで考えて、いやいや、と頭振る。
魔獣の肉は食ってはならない。
これは今や子供でも知っている事だ。
その決め付けとなった『魔獣村』という話がある。
昔魔獣を食べた男がいた。その男が住んでいた村はとても貧困に悩まされ、日に日に死んでいく村人の死体を片付けるだけで一日が終わってしまうほどだった。
村人が村を出ていき魔獣に襲われて死ぬとわかっていても出ていく彼らを、誰も止めることはできなかった。
村人も男も精神的に参っていたそんなある日、死者を食べようと言う提案が出された。
しかし、男は仲間達を食べるなんてことに我慢出来なかった。
悩んだ末、男はある日村に迷い込んできた魔獣の幼獣に手をかけて、その肉を口にした。
誰もが魔獣の呪いで死んでしまうだろうと思ったことであろう。
しかし、予想だにしないことが起きた。
彼は苦しみ出したあと、何事も無かったようにまた魔獣の肉を口にし、更には元気になった。
それを見た村人達は、我こそはと魔獣狩りに専念しどれだけの死者を出そうと魔獣を狩ることやめなかった。
魔獣の肉を口にした者達は力に溢れ、村には活気は戻りつつあり、平穏が戻ってきた。
だがそれも長くは続かなかった。
体に異変が起きはじめたのだ。
最初に体に異変が起きたのは村の子供たちだった。
ヨダレを垂らすようになり言語がわからなくなったのだ。
そして、終いには村人を襲うようになった。
子供とは思えぬ力に村人は必死に抵抗したが、老人、女とどんどん異変が起き、異変者に噛まれた者達はすぐその症状が起きた。
全ての村人が異変者になった頃には次の村へ、次の村へと襲い掛かりその被害は拡大していった。
そうしてやっと気づいた国が討伐隊を率いたころには、異変者の数は数千にものぼっていた。
そして、異変者達は、人間の敵と認められ、その数千人を討伐隊が殺すことに反対する者はいなかった。
しかし、異変者は時間が経つにつれ力を増していき、一部は魔人と恐れられ、国も多大な被害が出た。
そして、この血で血を洗う戦いは一ヶ月以上続き、国側がなんとか勝利した。
この教訓から誰も魔獣を食べようとなんてしなくなったのだ。
この話を聞いた時の戦慄は今でも忘れられない。
そして、リサードは決意する。
どんなに腹が減っても魔獣は口にしないと…
でもまあ…
「それにしても、何か食べるものがないと困るぞ…」
そう呟きながら森を進んでいくと、スンッと甘い匂いがした。
コレは…と思うとシロも気づいたようでウォウッと吠える。
「あっちの方から臭うな。行ってみようぜ!」
そう言うとその方向へ走り出すシロとリサード。
垂れ下がっているツタを手で引きちぎったり、どかしたりしながら前へ進む。
時には大きな大木を骨剣で叩き割る。
すると、程なくして匂いの元へとたどり着いた。
そこだけ、周りがやけに開けており、一本の木が生えているだけだった。
その木には丸々とした紅い果実がなっており甘い匂いをプンプンとさせていた。
うおおおお美味そう!、と走り出しそうになる。
その時だった。
………だ…………かか…………たぞ
突如リサードの耳元でなにか聞こえた気がした。
うまくききとれないがクスクスと不快な囁きだ。
なんなんだこの声、うまく聞き取れない。
あたりを見回すが何の気配もない。
そういえば、やけに静かだ。
気のせいかな、と前を見ると我慢出来ずウォウッとシロが走り出していた。
それを見て、待て待て果実は逃げないぞ、と言ってあとを追う。
リサード自身も腹がかなりすいており、考えるのをやめ、俺も食べよう。と考えていた。
「魔獣の気配もないし、沢山食べれるぞっ!」
「ウォ〜ウッ」
シロも最高潮のようで伸ばし気味に吠える。
「全部美味しそうだなー…よし、これとこれだ。」
そう言うと骨剣を地面に突き刺し、果実を2つもぎとる。一つを地面に置くとシロが嬉しそうに尻尾を振る。
「慌てて食うんじゃないぞ?」
「ウォウッ!」
これでやっとマシなもんが食べられる。
「いただきまー…」
「ん?…」
口に入れようとしたその瞬間だった。
クスクスとどこからか不快な声が聞こえる。
先ほど聞こえた幻聴が今度ははっきりと聞こえた。
…エサだァ…
…まァたエサが引っカカったァ…
体全身に悪寒が走る。
バッとあたりを見回す。
さっきと何ら変わりない景色が広がっていたが、汗が一気に吹き出すのがわかった。
確かに今、はっきり聞こえた。エサがかかったとか…
まさか…と瞬間的に悟るリサード。
まずいッッ
「シロっ!食べちゃダメだっ!」
そう言って足下にいたシロに叫ぶ。
…が、しかしもう遅かった。
痙攣を起こし、立ってもいられなくなりパタッと倒れるシロ。
その瞬間、森から一斉にサルのような魔獣が飛び出してきた。
4本の腕を持つ魔獣たちは血の気走る目をぎらつかせ、それぞれ手に棍棒を持っていた。
4本の腕…猿…
こいつらが、、クワトロエイプ!!!
シロを瞬時に抱き抱え後ろを向き逃げようと試みるが、どうやら囲まれているようだ。
1匹だけ図体のでかい個体がいる。
奴がこの部隊のボスだろうか……
(焦るな、神経を研ぎ澄ませろ)
目を瞑り五感に意識を集中させた後、あたりを見回す。
1,2,3,4,5…10!
そして、後方は……
「チッ、数が多すぎる…」
地面刺さっていた骨剣を右腕で抜き、左腕でシロを抱き抱える。
この状況から抜け出す方法は…
探し出せ…
周りでクワトロエイプがギャアギャアと騒いでいる。
……殺スゥ………殺スゥ…………
うるせぇぞ、このサル!
鳴き声でうまく思考がまとまらない。
その時だった。
…………動けルやつがァいルなんテ…オラ、聞いてねェゾ……
集団の中に会話が聞こえた。
クワトロエイプが動揺している?
これはチャンスだ。
集中しろ…狙いを定めろ…
話をしているのは…
……右手前の2匹ッ!
それと同時に右足にありったけの力を込め、地面を蹴り、左足でさらに地面を蹴り加速する。
一気に2匹に向かい、距離を縮める。
顔を見合わせていたクワトロエイプの2匹はリサードの思いがけない行動に、対処しようと棍棒を振り上げようとするが間に合わない。
「…ドけぇっっ」
リサードの骨剣が左の1匹に食い込むと、そのまま右の1匹も巻き込む。
が、ここで立ち止まってはまた囲まれるため、ここは走り抜ける。
連携を崩されたクワトロエイプ達は一瞬の動揺を見せる。
すると、でかい個体のクワトロエイプがグギャアッと雄叫びをあげ、クワトロエイプ達が正気に戻る。
幾度となく戦場を駆け抜けたリサードの感覚が告げる。
やはり奴が、この奇襲部隊のボスだ…
すると、リサードが倒した2匹の右横にいたクワトロエイプが立ち直り棍棒を振りおろす。
これを、あえて内側に避ける。
しかし、これは想定内だと言うように残り3本の腕でリサードを掴もうとする。
だが、避けるのは一撃だけでいい。
弾丸の様なスピードを乗せた蹴りをクワトロエイプの腹にぶち込む。
すると、後ろに飛ばされヨダレを撒き散らしながら3本の腕が空中をからぶり、呼吸困難のようにジタバタとうごめく。
「一体一体はそんなに強くないな…」
左からクワトロエイプが棍棒を構えながら走ってくる。
しかし、もうリサードには迎撃体制が整っていた。
右に振ったままの骨剣をそのまま腰に当て、抜刀の構えをとる。
スゥー…と息を吐き感覚を研ぎ澄ませる。
この骨剣の性能を見るために、あえて刀部ではなく、剣身を横に構える。
1…2…3!ここだッ
棍棒を振り下ろす手前で剣身で抜刀を放つ。
普通の剣であったらなんらダメージを与えられない攻撃であろう。
しかし、この剣は普通ではない。
剣身に仕込まれた、ヤスリのような窪みがクワトロエイプの腹に食い込み、剛毛な皮ごと肉を削り切る。
内蔵が丸見えになり、グリンッと目が上にむき白目を残し絶命する。
使い心地は悪くない。これなら行けるッ!
「あと、6匹ッ!」
正確には、最初に巻き添えにしたクワトロエイプと腹に蹴りを打ち込んだクワトロエイプは死んではいないものの、戦闘できる状態ではない。
クワトロエイプたちの中にもまた動揺が見えてきている。
あとはボスを打ち取ればこの連携は崩壊するだろう。
すると、1匹では敵わないと学習したのか、後ろから2匹同時に走り込んでくふクワトロエイプ。
難なく、1匹目の棍棒を避けるリサード。しかし、すかさず2匹目が棍棒を横に降る。
これはさすがによけられないと察するリサード。
しかし、これはよけなくていい。
「この横振りを待ってたぜッ」
そう言うと両足でジャンプするリサード。
避けた直後で思うように力が入らず、明らかにジャンプの高度が足りない。
棍棒の芯が左側に差し掛かる。
だが、これでいい。
その棍棒の芯に合わせ、両足を揃える。
そして、その両足で棍棒を受けとめるリサード。
しかし、殺しきれない威力が両足にグンッとかかる。
これを耐える。
すると、クワトロエイプの恐ろしいパワーが生み出す横ぶりをスピードに変え、ライフル弾の様に飛び出す。
しっかりと左腕でシロを包み込み、風の負担を軽減させる。
狙うは一匹…
「お前だよッ」
そう言うと、ボスであるでかい個体のクワトロエイプに直進する。
ボスのクワトロエイプは奇襲に慌てふためき、棍棒でガードの姿勢をとる。
しかし、もはやその行動は無意味だ。
飛びながらも、右腕で突くように骨剣を構えるリサード。
そして、光系魔法フラッシュを唱える。
「エンチャントスキル!」
白く輝く光が骨剣に収束していく。
光系魔法フラッシュを刀身に流し込み、敵を貫く光系剣技。
シューティングスター。
またの名を流星。
「コイツがお前に防げるかよ!」
ボスエイプの棍棒と骨剣が交わる。
グギャギャァ!
そう叫ぶと、ボスエイプは3本の腕で周りのクワトロエイプ達から棍棒を奪い、計4本の棍棒を重ね、骨剣の突きを受け止める。
しかし、尚もリサードの勢いは止まらない。
「うおおおオオオオオッッッ」
棍棒を1本、2本と砕き、全てを粉砕してもまだ有り余る勢いを体に叩き込む。
グギャ………
叫び声をあげることを許さないほどの瞬足の剣は、腹を貫き、大きな風穴を開けた。
すると、ボスエイプが倒れた音と共にクワトロエイプ達の連携は崩れ去り、この場の勝者が決まった。
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戦闘シーンは難しいけど楽しかったので、寝る前に書いてると眠れなくて結局書き上げちゃいました。
色々と書き方を試行錯誤してる段階なので、難しいところではありますが、なるべく早く書き方が安定するといいな。




