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58話 悪魔を断ち切る正義の一撃


前回の続きです! どうぞ!



ダンジョン内部。 初めに入った時はヒンヤリとしたイメージだった。 しかし、今はそんな生易(なまやさ)しいものではない。

天井から垂れていた水は氷柱(つらら)を作り、壁は薄い氷の膜を作り出すほどの氷点下。


これが奴の冷気……



「ハァ……ハァ……。」



リサードは肩で息をしていた。 攻撃が通らない。 無理に攻めれば致命傷を食らう上、冷気で体力は奪われ体に力が入らず追い詰められていた。 剣を握る手もとっくに(かじか)んでおり、凍傷(とうしょう)の症状が出始めていた。

少しづつ……だが、確実にミラは距離を詰めていく。



「……つまらぬ。 私のゲイ・ボルグを割ったのは偶然か……? 弱すぎてあくびが出てしまうわ。」



「……いいたい放題言ってくれるぜ……。」



だが、攻めきれないのも事実。



「……こんな男に私はゲイ・ボルグを割られたと思うと、ショックで仕方が無い。 私は自分の魔法に自信がなくなってしまうな……」



わざとらしく目元を抑え、ため息をつくミラ。

だが、リサードは闘志を燃やしつつも冷静を保っていた。



「……良くわかってんじゃねぇか。 お前の魔法の弱さには感謝しなくちゃな。」



……常に考えろ。



「……口だけは達者だ。」



「……どういたしまして……」



……何か策はないか。


ミラは手を伸ばし広げる。


────────氷系魔法



「ブルー・スノウ。」



「クッッッ……!!!」



ミラの周りから粉雪を乗せた暴風が起き、リサードを襲う。 ダンジョンの中で起きた吹雪は循環し、更に威力を上げていく。


────────氷系魔法



「アイス・ボム。」



「……はぁ?! ッッッうそだろ!」



間一髪で避けるリサード。 アイス・ボム……。 ハースハイト王国でよく聞いた技だ。 正確に言えば、氷系魔法の基本中の基本。 一番最初に、覚える攻撃魔法と言っても過言ではない。

しかし、それとこれでは話が違う。 威力が最上級魔法と何ら遜色(そんしょく)がない。


初級魔法でコレとかチートかよ……


リサードが避けたその後ろでは、ガソリンに火をつけたかのような衝撃と爆発。 リサードが逃げるのを諦める理由となった、分厚い氷壁を思い切り削っている。

魔力量の桁違(けたちが)いさを思い知らされる。


基本技ですら、あの女が使えば凶器だ。



「……ほれ? 避けぬと死ぬぞ?」



「……俺だってなぁ……ッッッ」



「……?」



リサードは猛吹雪を食らいながらも諦めていなかった。


───────光系魔法



「シャイニング……」



リサードの体が光を帯びる。



「……レッグ・ブーストッッッ!!!」



「……ほう?」



全ての光が脚へと収束し、高速移動を可能にする。

地面を蹴るッッッ!!!



「……弱さを言い訳に、逃げてきたわけじゃねぇぞ!!!」



マシンガンのように飛んでくる〈アイス・ボム〉を掻い潜り、吹雪をものともせず、突き進む。


────────光系絶技



「ルミナスゥゥゥゥ……」



「……もっと私を楽しませろッッッ!!!」



ミラも目を見開き、リサードを捉える。


────────氷系絶唱



「……フリーズ・ゼロ。」



「うおおおおおォォォォッッッ……ぺネトレイトォォォォォォォォォォォォォォォッッッ!!!」



空間を一瞬で氷漬けにするかのような冷気の中を、突き進む一筋の光がミラと衝突した。



………………………………………………………………………………………………………………………………………………





「えへへへへへへへへ?! チネチネチネチネチネチネぇぇぇぇ?」



「オボロッッッ!」



ダンジョンの中には金属音と少女の薄気味悪い声が響き渡る。


オボロは白剣〈ユースティティア〉を先ほどの場所に置いてきてしまった上に、この少女相手にユースティティアは使えないときていた。

そのため、魔法で作り出した黒い剣を壊されては作り出し、壊されては作り出し、を繰り返し少女と戦っていた。


何もハンデのない状態であればオボロの方が圧倒的に強いが……



「……オボロッッッ!?」



マリンは不安に駆られ再度呼びかける。


それほど、マリンは不安でならなかった。

オボロが先程から攻撃を(しの)ぐばかりで反撃をしない。

息切れなどはしていないが、少女はまるでスタミナを感じさせないほどの怒涛(どとう)の攻撃を放ち続けている。 オボロのスタミナが切れた時が最後、攻撃に飲まれてしまう。

そうなれば、立て直すのも困難になってしまう……


確かに、少女は悪くないのかもしれない……


この子に(つみ)はないのかもしれない……


でも……


マリンは決意する。


オボロはきっと少女の事を思って手を出せないでいるのだ。

だがそんなことを言って、このまま攻撃をくらい続ければいつかオボロの身に危険が起こる可能性だってある……


オボロを助けたい……


マリンはムチを取り出す。

愛武器(あいぶき)であるそのムチを構え、少女を見据える。


マリンは手に力を込める。


罪の無い少女のスキをついて攻撃をするなんてことをすれば、オボロは怒るだろう……


嫌われてしまうかもしれない……


でも……


オボロが傷つく方がもっと(いや)だッッッ!!!


私は……!!



「……スマッシュ……」



その時だった────────



「マリンッッッ!!! やめろ!!!」



「────────?!」



オボロの声がマリンに届く。


しかし、すぐ返す───────



「……だって!!!」



マリンも譲らない。

オボロはマリンに視線を向ける。


そのスキを意図してか、あるいは偶然だろうか。

少女は笑い声をあげ、不規則な攻撃を仕掛けてきた。

オボロがそれに間に合わないッッッ!



「ウキャキャキャッッッ?!」



「ウグッ……。」



「……?! オボロッッッ!!!」



追随(ついずい)は許さなかったものの、肩に深い傷を負ってしまった。

オボロに駆け寄ろうとするマリン。


私が……さっさとしないばっかりに……


すると、───────────



「すまない……。」



オボロが呟く。



「……キシシシ?」



────────闇系魔法



「スティッキー・ホワイト。」



オボロの闇は白く濁る。 その闇が少女にまとわりつき、一時的に行動を食い止める。



「ニギニギニギンギャーーーーーーーーー!!!???」



少女は暴れ出ようとするが、身動きが取れていない。 攻撃のチャンスとも思えるその状況でオボロは驚くべき行為に出た。



「……マリン。」



オボロは作り出していた黒剣を消し、無防備な状態に戻ったのだ。



「何で?! 今ならきっと……」



「最小限の痛みで倒せる……だろう?」



「…………ッッッ。」



マリンは図星(ずぼし)を突かれる。


オボロは傷を抑え息を切らしている。

しかしその姿に諦めはなく、オボロにはまだ風格(ふうかく)が宿っていた。

一体、何を考えているの……?



「……それではこの子は救われない。 」



オボロは深い切り傷を負った体でハッキリとそう答えた。

それを聞いて、思わずへたり込んでしまうマリン。


そんな……



「……そんなこと言っても……じゃあ、どうしようっていうの?! この子はもう助からないかもしれないじゃん!!!……ひどいこといってごめん! でも、私はあなたの方が大事!! 性格悪いと思われてもいい!! 私は、……あなたに……」



地面を殴りつけるマリン。

こんなの八つ当たりな事はわかっている。 それでも……



「……あなたに生きていてほしいの!! 他の誰より……ッッッ?!」



突然、体に温もりが走る。

暖かく優しい抱擁(ほうよう)



「……すまない。 心配掛けてしまって……」



オボロが優しくマリンを抱きしめていた。



「……オボ……ロ……? 何して……」



ぎゅっと抱きしめられ、戦場だということを忘れてしまうかのような安心感が包む。

思わず涙がこぼれてしまいそうになる。


しかし、────────



「えへへ!? えへへへへへへへへ!!!」



視線の先に少女が魔法から抜け出しかけているの見つける。



「ダメ! オボロ……ッッッ!! 少女がッッッ!!」



「マリン! よく聞け……。」



「……ッッッ!!」



オボロの力が増す。



「……お前の言う通りなんだ。 きっと……今の俺ではあの少女を助けることが出来ない……。 」



「オボロ……。」



オボロは優しく腕を離し、立ち上がる。



「……だから、見ていろ。」



「……え?」



「デデタァァァ! アリアリアリアリィィ!?」



少女を拘束していた魔法が完全に溶けた。


だが、オボロは武器を持たず目をつぶった。


そして、────────



「……今の俺で少女を(たす)けることが出来(でき)ないなら、俺が今ここで限界(げんかい)()えるのを()てろ!!!」



「……オボロッッッ!!!」



少女が突進の構えをとる。


だが、オボロは動かない!


────────闇系''絶''唱



「……ウエポンズ・ゲート。」



オボロの手に白い闇が収縮し、剣を形成する。


あれは……



「……ユースティティア?」



「二ギギギッッッ!ギャーーーーーーーーー!!!」



だが、それと同時に少女は弾丸のような突進を開始する。


間に合え……


そして、応じろユースティティア。


オボロは剣を構える。


失敗すれば、少女の攻撃をもろに受け剣の拒否反応(きょひはんのう)と共に一気に不利に(おちい)る。


マリンは目を離さない。



「……バカだよ。」



オボロも、そして彼の言葉を信じきった私も。

でも、もう逃げない。 必ず少女を助けなかったら許さないんだから!!!



「……勝てーーーーーーーッッッ!!!」



オボロの返事はない。 しかし、オボロの目にもう迷いはなくなっていた。


────────闇系''正''技



「……悪魔を断ち切る(デビルズ・セイバー)……」



少女に向け剣を振り下ろす。



「……グュオオオオオオオオオオオ??!!」





「……正義の一撃(ジャスティス・インパクト)ォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォッッッッッッ!!!」





「……ウゴゲエェエェエェゴギギャギィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィ!?ーーーーーーーーーッッッ!!!」




────────────────。



爆風。


ダンジョンに波紋が広がる。


マリンはその光景から、目を離すことが出来なかった



────────────────────────────────────



ゲームしすぎてやばい……

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