表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
45/91

45話 悪魔との出会いと魔女リリス


前回の続きです! お手数ですが前回から読み直して本話に入っていただくと、サブタイがスッと入ってくるかも知れません。



目を覚ますと暖かい毛布の感触。


体に多少の痛みは走るが、日常生活には困らないほどにまで痛みは引いている。


ああ、二度寝してぇ……



毛布がぬくぬくして……ってか俺……



「んあっ?! 毛布……? どこだここ?!」



「すごいな……。もう起きたのかアンタ……」



勢いよく起きると、小さな小屋のような場所にいた。

古い木でできた小屋だろうか、ところどころと言うかほぼ満遍なく埃を被っている。

それに妙に圧迫感のある小屋だ。 天井があまり高くなく、薄暗いからだろうか。

それに、天井の形が妙に曲がっていて、なにかに押しつぶされているような感じだ。

奥の一角にこれまた古い机があり、机の上にあるロウソクが部屋をぼんやりと移している。



リサードは近くに座っている声の主を確認する。

すると、────────



黒髪……全身黒の服……椅子にかかっているコート……無表情……



そして、……



イカの……匂い……?



あ……!!!



リサードの頭にはっきりと確信が浮かぶ!



「イカ焼き名人!!!」



「誰がイカ焼き名人だ、シロアリ……」



「き、聞いてたのか……?」



リサードがそう言うと、リサードに興味はなくなったのか手に持っていた本を読み始める。



「……ここは?」



「俺の''今''の家だ。 元気になったなら、さっさと戻れ。」



そう言って、椅子を本格的にロウソクの前に戻し、足を組んで座り直す。

そして、ぼんやりとした光でまた文字を辿り始める。



「……あ、すまん。 なんか助けてもらったのにお礼が無くて……。 そのありがとう。」



「ああ……。」



男は気にせずページをめくっている。

リサードはあたりを見回し、アビスを発見する。 服は幸い破けてはいないが、土と血で汚れている……。

まあ、大事なとこは隠れているからいいだろう……とあまり服装に頓着のないリサードは納得する。



何か「じゃあ、ありがとーございましたー」って帰るのもあれだよなぁ……



でも、ずっと無表情だし……なにか話した方が……と考えていると、



「回復したなら好きに出ていっていい。 俺はもう少しここにいるつもりだ。」



「……。 お、おう。」



「…………………………………。」



ペラっとまたページをめくる。

確かに、体は回復したし、いつまでもここにいるのもあれだよなぁ……。

好きに出ていっていいって言ってるんだから、そろそろ出るか。

そうして、毛布をたたみ下に並べられている靴を履く。

玄関らしきものはなく、どうやら普通に土足のようだ。



ああ、そうだ……



クロエのこと聞いておこう……



「この辺で黒髪で、身長はこのくらいでさ……可愛い子見なかった?」



すると、男は少し考え無表情のまま答えた。



「何だそれは……? 風俗でも探してるのか? それなら街の……」



「ちっげーよ!!!」



「じゃあ、知らん……」



いやいや確かに、俺も聞き方が悪かったけども!!!

何で少し詳しげ何だよお前はッッッ!!!

それに、途端に食いつき悪くなったなオイ!!!



「すまんすまん……。 えーっと、何ていうか……迷子? っていう感じが近いか……。 小さい子って訳じゃないんだが、探してる。 何か心当たりないか?」



これなら、言い方も悪くないだろう……

そう考え返事を待つリサード。



「………………………………ふむ。」



片手に本を持ちながらも、何か考えている男。

すると、────────



「もしや、お前はストーカーか……?」



時間の無駄だったわ。



────バタンッ!



ドアを思い切り閉め、小屋を出ていくリサード。

それを追いかけ、少し慌てた様子で一緒に出てくる男。



「……どうしたんだお前?」



何がいけなかったのかと、素直に首を傾げる。

いやいや、風俗とストーカーってふざけてるだろ!



「どうしたんだお前?……っじゃねーよ!! こっちは真面目に探してるんだよ!! 本気で言ってるなら、お前じゃ話になんねーの!!」



「ハァ……ハァ……」と息切れをしながらも、リサードがそう叫ぶ。

すると、男は少し悲しそうな顔をした。



「そうか……。 すまない……。」



ドアが閉まる。



……バタン。



そよ風が吹き、悲しそうな男の顔がよぎる。

よく見るとその小屋の上には壊れた船が沢山つまれており、押しつぶされていた。

なぜだか、その光景と悲しそうに閉める男の哀愁まで混ざったよう……



「………………………………………。」



え……?



なにコレ俺が悪い系なの?



「…………………………………………………」



ハァーーー……



何かに駆られいてもたってもいられず、すぐに引き帰るリサード。



っチクショー!!!



────────バタンッ!



「すまん! 悪気はなかったんだろ?! 早とちりしたんだ! すまなかった!」



リサードは勢いよく扉を開け、頭を下げる。



確かに、俺は焦りすぎてひどいことを言った。

よく良く考えれば命を救ってくれたんだ……

すまなかった……



すると、────────



「おいお前、ドアは静かに開けろ。 殺すぞ?」



男は椅子に座り最初の風景に戻っていた。



「ええーー……。」



急に温度差激しー……



「……で? なんか用か?」



「ハァ……。」



「…………………………??」



本当にこの人が分かりません……



どこから手をつければいいんですか神様?



そう思いながらも、一応気をつけて静かに閉めるリサード。



もうめんどくせぇ……さっさと聞いて行っちまおう……



「……クロエ・ユーフェミアって言う、髪が肩くらいで右耳にピアスしてる子なんだが、何か知ってるか???!! ちなみに、ストーカー的要素はない!!」



リサードは若干半ギレになりながらもとりあえずもう一度聞いてみることにした。

すると、────────



「お前人にものを聞く時はなぁ……」



────────ダンッッッ!!!



「そんな事いいからサッサ答えんかい、はったおすぞイカ野郎……」



「……イ、イカ野郎……?」



男に足ドンをかまし、首にアビスを突き立てるリサード。

リサードはもう怒りのパラメータが突っ切っていた。

そして言うまでもなく、顔はもう主人公のものでは無い。

言うなれば阿修羅だ。



「……俺が何をしたかは知らないが、謝る。 だから、剣を降ろしてくれないか?」



天然でやってたんかよコイツ!!!

一番タチ悪いわッッ!!!と思いながらも、なんとか怒りを抑え剣を降ろすリサード。



怒りをなんとか沈め、ゆっくり戻る。



すると、男は「フゥ……。」とため息をつき、真剣な顔付きを見せた。



「クロエ・ユーフェミア……。 聞いたことも無いこともない……が、話す前に条件がある。」



「マジでか?! じゃあ、条件ってなんだ?!」



それを聞いた途端、イライラしていたことも忘れ、キラキラした目で、前のめりになるリサード。

そして、男は「うむ……。」と頷く。



「お前がストーカーでは無いと言う証明を俺に……」



────────ダンッッッ!!!



足の壁ドン&首筋への剣ドンが再開する。



「まだその話引きずってンのかイカ野郎ォ……」



「イヤイヤ、女の話だ。 それに、そういう輩もいるのも事実……。 確認するぐらいいいだろう?」



しかし、男も今度は本気の表情だった。



ぐぐぐ……



「………………チッ。 わかったよ……。 お前のことを信用して話す……。」



次はリサードが折れ、ベッドの上に座る。

そして、リサードは知っている限りのことを男に話した。





✕ ✕ ✕





「……なるほど。 そういう訳か。」



「ああ、だから知っていることを教えて欲しいんだ。 頼む。」



すると、────────



「確かに知っている……。 だが、その女はもう手遅れかもしれない。」



「なッッッ────────!!!」



リサードは立ち上がる。



「どういう事だ!!?」



「待て……。 順をおって説明する。」



そう言って、リサードを座らせると男は本を置き、話し始めた。



「クロエ・ユーフェミア……。 俺がその名を聞いたのはちょうど1ヶ月くらい前だっただろうか。 ある闇商人の組合を叩き潰している時だった…………」



俺はその組合の幹部の一人を追い詰めていた……




……………………………………………………………………





「ヒイぃ! 助けてくれ! 俺はぁ頼まれてやっただけなんだ! 頼む、見逃してくれェ!!!」



頭にバンダナを巻き、狸のような体型をした男はゴロゴロと転がりながらも後ろに下がるが、とうとう逃げ場を失っていた。



「……この期に及んで命乞いか。

お前のようなクズを見逃すほど俺は甘くはない。」



ジリッ。



「わわわ、そ、そうだ! いいこと教えてやるよ!!!」



「……? 何だ、言ってみろ。」



「じ、実はヨォ? 闇ルートにデインコイド大陸からスゲェいい女が入ったらしいんだよォ。 」



「…………それが何だ?」



男はなおも詰め寄る。



「ウッッ……っと、そ、それでだな……! 何でもその女は人身売買過去最高額が付けられてるって話だ!!! 何とその価格10億エンド!!!」



その商人はわざとらしく両指を立て、話を誇張する。



「ッッッ……………何?!」



「ヘヘッ! 驚いたろ? 驚いたよなぁ?」



闇商人が立ち上がろうとすると、スッと剣で牽制する。



「黙れ……。 それで……?」



「ヒィッッッ!!! そ、それでだなぁ……」



闇商人は焦りながらも話し始めた。



「……その女はこれと言ってスゲェ美貌ってわけでも何でもない……言っちまえば、ただの可愛い田舎娘って感じなのさぁ。」



「ほう…………。」



続けろというように剣先を鳴らす。



「こ、ここからが本番だ! 何でもその女デインコイドの王女らしいのさ!

それも、''タダ''の王女じゃねぇ! その女……何とあの魔獣の王と呼ばれた''魔女''の末裔で、魔女の血をついでるらしいのさ!」




………………………………………………………………………………





そこで、リサードは質問を挟み込んだ。



「魔女? 魔女って何だ?」



「……何だ知らないのか?」



それを聞いても尚、リサードは首を傾げる。

そして、男は話し始めた。



「魔女というのは先程も言った通り、魔獣の王と呼ばれている者だ。 7人の賢者の最後の話は知っているか?」



「ああ……。 確か最後は、最強の魔獣テュポーンを封印して世界を平和にしたって言うハッピーエンドの話だろ?」



リサードがそう問いかけると、少し渋い顔を作る。



「……まあ、一般的にはそうだ。 しかし、あの話はハッピーエンドじゃない。 実はあの伝説には続きがあるんだ。 7人の賢者は魔獣テュポーンを封印した後、魔獣を従えるある女によって全滅している……」



「……………………全滅……?」



戦慄が走る。



「そうだ。 その魔女の名は、リリス。 人の子でありながら全ての魔獣を魅了し、7人の賢者を殺した女。 彼女は冥王リリスと呼ばれ、世界征服を目論んだ。 しかし、魔女と言えど寿命には叶わず、老いで死んだとされている。 そこから、王を無くした魔獣たちと人間の混成した世界が誕生したと言われているのだ。」



「……冥王…リリス……。 そんな話……。」



その話を聞き顔を伏せ、膝をつくリサード。 男は座ったまま話を続けた。



「まあ、これも伝説だ。 本当にあったかはわからん。 ただ、お前の探している女はなかなか、大変な状況ということだけは変わらんがな……。」



本当にあったかは知らん……か……



俺も前まではそう思っていただろう……



でも今は……



「ウッッ…………。」



「大丈夫かお前……」



ヒュドラという存在が確かだとそうわかる。



リサードは急な頭痛に襲われ頭を抑える。



「多分その話はあったと思う……そして……」



そして、恐らく……



リサードの頭の中にザーバスの言葉が響く。



【「ユーフェミア家の女は凄まじい力を持っていて、デミウルゴスはその力を求めていた……」】



クロエ……。 いや、ユーフェミア家が生贄姫となった理由……。



生贄姫、魔女の末裔……この2つは何らかの関係性がある……。



何故か、そんな気がしてならない……



すると、急にふと頭痛が消え現実に戻される。



「……そして何だ?」



頭をあげると、腰を下げリサードを心配そうに見つめる男。



「いや、何でもない……。 手当してくれてありがとう。 俺はそろそろ行くよ……」



そう言ってよろよろと立ち上がると、ドアに手をかけるリサード。



すると、男が声をかける────────



「……右も左も分からないお前が、一体どこへ行こうって言うんだ……?」



「ッッッ…………………………。」



「まだ話は終わってない。 それに、行く宛はあるのか? 今のお前の行動……焦るのはわからなくもないが、それは愚策だろう……。」



そう言って、男は椅子に座ると足を組み直す。



「じゃあ、どうしろってッッッ……!!!」



「3日後……」



「え…………………??」



「……3日後、俺はここを発つつもりだ。 向かう先は、迷宮都市ディスタシア。 通称ノクス・ラビリンス。 普段は活気があり、パレードなども頻繁に開催される街だが、その実犯罪や闇市場などでも有名な場所だ……。 そこなら何か掴めるかもしれない……。」



そう言うと男は、椅子からコート掴み、コートについていた埃を払う。



「3日後の夜ここに来い。 それまで、俺はこの街ですることがある。 その件に関しても少し調べたいことが出来たしな……。 」



リサードの目に涙が浮かぶ。



「名前も知らない……こんな俺に……」



「確かに名前は知らん。 しかし、名前を知るのは今からでも遅くないだろう?」



そう言うと、男は初めて優しい顔を見せた。



「あぁ……………………。」



リサードの目から雫が垂れる。 1つ……また1つと垂れ落ち、涙腺が緩んでいく。



「せっかく一緒に行くんだ。 手伝う者の名前ぐらい聞かせろ……。 おまえの名前はなんだ?」



「うぅ………うっ………………」



リサードは嗚咽をまじらせ、立っていられなくなるが懸命に涙を拭く。



俺はァ……



俺の名前はァ……



「リサード……。 リサード……ブルオストッ……年はッ……年は19だッ!!」



クソ……涙が止まりやがんねぇ……



「そうか……。 旅は道連れ、世は情けだ。 よろしくなリサード。」



そう言って、手を差し出す男。



「お前ッ……! お前の、名前はァッ……?」



リサードが懸命にそう問いかけると、男は「もう少し落ち着いて喋れないのか……?」と笑った。

その男の初めて笑った顔を見て、リサードは更に涙があふれる。

それを見て、更に男は腹を抑えて笑うと、リサードの手を引き、立ち上がらせる。



そして、男はこう答えた。



【「俺の名前は、オボロ……。 オボロ・ヒデトラだ。年は19だ。 同い年だな。 」】



「お……おうッ……よ……。」



リサードがそう返事すると、オボロもまた笑った。



ありがとうオボロ……



この恩はぜってぇ忘れねぇよ……



そう言って、リサードは我慢するのをやめ、オボロは「おいおい……」と肩を貸していた。



────────────────────────────────────




オボロ・ヒデトラ。

リサードは彼と出会い、そしてクロエの行方を知るべく、ミューハーフェン初の都市。

迷宮都市ディスタシアに行く決意をする。


だが、彼はまだ知らなかった。


オボロ・ヒデトラ……。 彼との出会いが、リサードの運命を変えていたことに……



────────────────────────────────────



私事ですが、こうなったらいいなぁと言う人生のビジョンが見えた気がしました。 心が軽いです。

私は悩み事があるときにそれを人に相談するよりも、いろんな人にいろんな質問をすることで悩みを解決できたりします。 人に相談しても、モヤモヤして残ることって結局は自分の中でガッチリ納得がいかないと消えないものです。 いろんな人に質問を投げかけて答えを聞いて、その上で自分を見つめるのもいいかもしれません。

熱弁しましたが、ここまでこの作品と今ここ読んでくださってる方ありがとうございます。

少しでも皆様の悩みが解決するよう祈っております。


では、この辺で。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ