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46話 獅子王の心臓


続きからです! どうぞ!



パンゼ大陸。 一般的にはデインコイドと呼ばれる大陸から海を渡るとミューハーフェン大陸と呼ばれる場所がある。

大きさはデインコイド大陸の倍以上、その中にはあらゆる都市、国、人種、魔獣が存在する。

このミューハーフェン大陸に白髪の青年リサードは上陸していた。



「……クルセイド王国って言うのか。」



クルセイド王国とは、リサードが初めに入った国だ。 クルセイド王国は、いわゆる独裁政治の国。

貧困層と裕福層がはっきりと別れており、貧困層を奴隷、裕福層を貴族と呼んでいた。 その中間に国民と、そして独立した機関ギルドが存在する。

ギルドと言うのはミューハーフェンでは珍しくないらしい。 どの国にもいくつか存在し、有名なギルドの団員はそれだけで貴族と同等ほどの権力を持ったりもする。

そこの、ギルドマスターと呼ばれる人物クラスにもなると、国の政治や王様にも意見ができるようにもなる。 ギルドは国の中に収まるものだけではなく、中には大陸を超えて有名なギルドも存在する。



リサードがこの街を探索する際、あらかたオボロからいろんな情報を聞かせられていた。



「……助かったけど、変なやつだよなぁ……。」



そして、このクルセイド王国には大陸を超えて有名なギルド、Sクラスギルドが存在していた。

まあ、名前までは覚えちゃいないんだけどなー……



「まあ、関わることもないだろ……」



そう言いながら、歩いているとあるものを見つけるリサード。



「……リオンズハート(獅子王の心臓)……? 」



あれ……? なんかどこかで聞いた……



リサードはしばらく歩き回っていると、看板を見つけそこで止まり、街の地形を見ているとその文字を発見していた。



「場所も近いし……少し寄ってみようかな……。」



歩きながら商店などを観察してみる。

しかし、売っているものはデインコイドとあまり変わらない。

売っている果物の種類は違えど、こういうところはあまり変わっていないようだ。



以外とどこも似たようなもんか……



しかし、それと同時に違うところも自ずと見えてくる。

この国の港から街へ入る時も思ったのだが警備隊らしきものが見当たらない。

普通なら渡来してきたものに対し、検問を行うべきだしあたりを見回って犯罪防止に努めるべきだ。



警備もないのに、ここの人達はよく平穏に暮らせているもんだなぁ……。



そう思いながらも、目的地へと近づく。

すると、大勢の足音が飛び込んできた。



「ミラ様がお帰りになられたぞ!!!」



「ああ……ミラ様ぁ!」



「おお、ミラ様の隊じゃ……」



そう言って、街の人々が皆歩みを止め道の脇に寄り跪くと、手を合わせ始め、慌てるリサード。



「えぇ?! なになに?! ちょっと待ってくれ……」



ポカンとしていると、商店から歩いていた人たちまで脇道に寄ってしまい、リサードが真ん中に取り残されてしまった。


やば……。


そして、その真ん中を堂々と歩く者達が近づいてくる。

前に10人近くおり、その後ろに馬車が1台、そして、馬車の後ろには30人近くいる。



とりあえず、脇によっておけばいいだろ……。



リサードはできる限り道の脇に寄ってその光景を観察する。 リサードがその者達を見て言えることはただ一つ、圧巻だった。

まず、1人1人の戦闘力が尋常ではない。 身につけている武器、防具、そして風格。 どれをとっても七星剣と見劣りしない。 そんなのが40近くいるのかよ……



そして、とうとうリサードの前に来る。 どんな防具なのだろうか、どんな人たちなのだろうと見ていると────────



「おや……見ない顔だね。」



歩いていた集団が動きを止める。

そして、戦闘を歩いていた長髪の女に声をかけられ、リサードも反射的に返した。



「あ……初めまして……。」



「……こちらこそ初めまして。 私たちを見るのは初めて?」



「そうですね。 あの……あなた達は一体なんの団体で……?」



リサードがそう聞き返すと、手を後ろで組み歩いていた金髪の男が女の方に手を置く。

男はサングラスを掛けており、ネックレスや装飾品が色々ついている。



「おーいおい、こんな雑魚に構ってんじゃねぇよネロ。 姐さんに怒られんぞ?」



「こら、レキ。 失礼だぞ。」



ネロと呼ばれた女性は、レキと呼ばれた金髪の男に注意するが、軽く受け流すレキ。



「はいはい。 おい、兄ちゃん。 怪我したくなかったら、このレキ様にお祈りしときな? そんな所にいられたら通れねぇよ?」



何だこのサングラス野郎……



すると、リサードはスッと片膝をつく。



「そうそう、そうだよ。 お利口さんじゃん!」



「恐縮ですレキ……様でしたっけ? 初めてお目にかかります。 1つ質問よろしいでしょうか?」



「あん? 何だい兄ちゃん、手短にな?」



そして、リサードはニヤッとすると質問をした。



「集団に混じって、強い気になって、虚勢はっている奴ってムカつきません……? 」



ネロとレキの顔が硬直する。



「へぇー……。 兄ちゃん面白いこと言うじゃねーかよ。 ……俺のこと煽ってるんだったら試してやってもいいぜ?」



そう言って、リサードの真正面に立つレキ。



「おいコラやめないかレキ。 こんなところで……」



「いや、遠慮させていただきます。 サングラスが割れて弁償させられても困るんで?」



「あ……? お前調子乗りすぎじゃね?」



「すいませんね。 昔から素直って言われるんです。」



そう言って、睨み合うリサードとレキ。 レキは思い切り睨みつけており、リサードはあくまで冷静を保っているようだが、2人の間に火花が散っているのが見える。



「2人ともやめないか。 行くぞレキ。」



「あ? このガキ。 ……ツラ覚えたぞ。」



「3歩、歩いて忘れるんじゃーねーぞ?」



「……誰に向かって言ってんだテメェ……!!」



レキの怒りが爆発しかけた時だった────────



「……騒がしいな。」



鋭く冷たい声が響き渡る。 レキの顔色が一気に覚め、リサードもまた身震いを覚える。



「マスター、申し訳ありません。 すぐに行きます。」



「………チッ。」



ネロがそう返事をすると、レキは舌打ちをし、「命拾いしたな。」と捨て台詞を吐いて歩き出す。



「…………………………………。」



それに対しリサードは何も返答しなかった。 レキへの苛立ちが収まったわけでも恐怖したわけでもない。

そう、あの冷徹な声。 リサードはその声に聞き覚えがあった。 この冷気を漂わせるような空気、そしてこの端々から伝わるこのオーラ間違いない。



デインコイドと見たあの光景と共に思い出した。



「マリンの……姉ちゃん……?」



リサードがそう呟くと、馬車がグッと止まり荷台から1人降りてくる。



「ミラ様?!」



「あ、姐さん?!」



黒い短髪の髪、髪を耳にかけており

マリンと瓜二つ。 だが、決して誰も間違えたりしない。

なぜなら、見た目ではない。 所作、空気、オーラ全てがマリンとは違う。

その女が地面に足を触れた時には、もう姉のミラだということが分かる。



「……貴様。 確かリサード・ブルオスト。 で、間違いは無いか?」



「……あっ、はい! でも、なぜ名前を……?」



「ふむ……。マリンから話を聞いている、それにジュードからもな……」



そう言って、急に顔を近づけたかと思うと妖艶な笑みを見せるミラ。

リサードの頬に息が当たった。

それに加え、胸も大胆にはだけており、全体的に刺激が強すぎてクラクラしてくる。



「あ、あのー……俺はその……」



やばい、頭が回らん。 てか何を話す時間なんだこれは……?!



「そうだ。 うちに招待しよう、すぐそこだ。」



「ミ、ミラ様……?!」



「…………なんだそりゃあ……?」



ネロとレキが困惑の声を上げる。

一番困惑しているのはリサードだが、言葉の中に断れない雰囲気が混じっている。



「……あ、宜しくお願いします……。」



「ああ、たっぷり可愛がってやろう……。」



ミラは唇を舌で舐めるとニヤリと笑った。



………………………………………………………………………………………




────────ガンッ!!!



「え……………」



牢屋のに押し込められると、ガチャりと鍵を占められるリサード。



えー……



あまりの急展開だが、妙に落ち着いているリサード。



「フゥ……………………。」



どうやら俺は……



リサードは壁にもたれかかり、へたり込む。



何かと牢獄に縁があるらしい……



リサードが思い出し、遠い目をしていると



「……何を遠い目をしているさっさと話せ。」



そう、牢屋の前に椅子を置き足を組むミラ。

短いズボンを履いているため、見えるか見えないか……という所はさておき、急に高圧的だ。



「……急に話せって言われても、何のことをだ? 」



「わかるだろう? ジュードのことだ。 貴様が奴の弟子であることはわかっている。 それに、うちの団員にちょっかいを出していたそうではないか……。 何を企んでいる、ジュードの使いめ。」



「いやいやいや! 待ってくれ、色々と誤解してる!」



「……黙れ。 」



「……でもなぁ!!」


「────────────?!」


その瞬間、部屋全体が雪国のような寒さに陥る。

よく見ると、鉄格子に霜ができ始めた。



リサードは恐る恐るミラの顔を見上げる。



「私に口出しをするな。 殺したくなる……」



そう言って、鋭い眼光がリサードを鉄格子越しに捉える。

リサードの背中に冷や汗が走る。



「は、はい。 すいませんでした。」



リサードは礼儀を正す。



この人の何が怖いか。



簡単だ。



普通の人ならもしかしたら、強気な女の人程度にしか思わない人もいるかもしれない……



人は言葉にあまり覚悟を持たない。 日常生活で使う一つ一つの言葉すべてに覚悟を持ち、その上で生活するのは恐ろしく難しい。 わからなくてもわかったと答えてしまったり、やる気もないのにやると答えてしまったりする。



本気の殺意、有言実行の意思。



リサードはこの人の言葉一つ一つが場を凍らせ、重みを持たせる理由を感じ取っていた。



この人の言葉にはつよがりがない。 そして、覚悟……



殺すといえば、本当に殺す覚悟……



言ってしまえば、素直……。



ただ、そこに恐ろしいほどの行動力と覚悟、それを実現させる力を持っているのだ。



「包み隠さず、お前知っていることをすべて話せ。 そうすれば、お前に用はない。」



「わかりました……。」



この人に俺をどうこうしたいと言う目的はない。



リサードもまたその刺さるような空気に触発されるよう、覚悟を決める。



この人から逃げたり、抵抗した方がめんどくさい事になる。



自分の一番の目的。 クロエの行方をつかむこと……。



そう思い直しリサードは自分が知っていること、思っている気持ちを話した。




────────────────────────────────────────




朝方の配信久々です。 えーとですね。 お酒を飲んでいたら土曜日だというのに気付かなくて遅くなりました。

ケジメとしても今後はないようにしようと反省です。

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