39 剣契
次回の続きからです! どーぞ!!
【「僕は七星剣の2柱ジュード・レイラ。自称リサード君の兄弟子です♪」】
「やはり……恐れ入ります……。」
「そんなに構えないでよ。 七星剣はエドに任せっきりで、尊敬されるもんじゃないんだ。」
そう言って、レーベルの方を優しく叩くジュード。
「……し……失礼しました。」
「ふふ……まだ堅いけどー……まあ、いっか! じゃあ、よろしくレーベル君!」
そう言って背を向けるジュード。
レーベルは不安を覚えていた。
それは、リサードを避難させることにではない。
この男……得体がしれない……
味わったことのない感覚。
言うのであれば、全く違う空気を感じるというのだろうか。
この大陸では無いどこか、もっともっと遠いところから来たような新しい空気。
それにあの刀……
七星剣にはそれぞれ大陸最強と言われる7本の剣が渡される。 火、氷、闇、土、毒、光、そして……
風……
ジュードさんの差していた剣は七星剣の風のものでは無い。
あれは一体……
『話は終わったかよォ?』
「終わったよ。」
とっくにジュードは消えており、レーベルたちの反対方向に旋風と共に移動していた。
『じゃあ…………』
デミウルゴスの口に笑みが浮かぶ。
そして、デミウルゴスが拳をギュッと握り、
『ショータイムと行こうぜぇ!?』
「………………………………。」
────────爆発。
先ほどとは桁違いな威力と閃光がジュードを襲う。
離れた場所にいるレーベルにすら爆風の威力と、それに伴い飛んでくる岩や砂。
「なんて爆発だ……っとと。」
最初からこんな威力。 リサードの時は手を抜いていたのか……?
すると、────────
「嬉しい歓迎だ。 余程待ちきれなかったんだね?♪」
『ケッ! 気持ちわりぃ野郎だ。』
その場所から離れた場所にジュードは移動していた。
「じゃあ、次は僕から♪」
そう言って、刀に手を置くジュード。
そして、────────
────────カチンッ
刀と鞘の擦れた音だけが響き渡る。 刀を少し抜き、また鞘に戻すだけだ。
だが、そのモーションは恐ろしく冷徹。
そして、────────
「第一波♪」
ジュードの周りに旋風が淑やかに起こり消える。
刹那。
『うぐっッッッ!!!』
デミウルゴスの身体に無数の切り傷。
「第二波。」
『ウラぁぁぁぁぁぁぁ!!!』
刀と鞘の擦れる音とデミウルゴスの怒号が響き、風と爆風が乱れる。
『ハァ……ハァ……』
周りを爆発させ第二波を打ち破っ……
『何…………?!』
第二波での切り傷?!
こりゃあ……!!
「第……」
後ろから声。
『こんな切り傷つけるだけで俺を倒せっと思ってんのかァァァァ???』
自身の周りを爆発。
その時だった。
首元に強烈な殺意。
「じゃあ、強烈なの行こうか。」
『しまっっっ!!!』
「遅いよ。」
首元に抜ききった等身が添えられ、デミウルゴスの手は竜巻のような風が動きを封じている。
味わえ……
「Die死波」
ジュードの刀に竜巻が纏う。
1振り。
『ぐああ……ッッッ!!!』
傷口に竜巻が発生し、傷口をメタメタにしていく。
この技は、傷口に小さな竜巻を発生させ肉を抉り、全てを致命傷にする技。
2振り、3振り……
ジュードのつけた切り口から竜巻が発生し傷口をさらに拡げていく。
それどころか交差した傷口は竜巻があわさり余計に抉っていく。
「レー……ベル……」
「────────?!」
リサードの口が微かに動く。
「ひどい傷だ。 あんまり動くと……」
「ジュー……ド……」
「………………ッッ!!」
レーベルの体の動きが止まる。
「私はあなたを避難させなければ……」
「た……のむ……レーベ……ル。」
リサードが口を開く度に、リサードの息は荒くなっていく。
「クッ…… どーにでもなれ!!!」
そう言うとレーベルはデミウルゴスとジュードの方へ近づく。
すると、その2人にジュードが気づいた。
「な、なんで戻ってきた?!」
剣がわずかに緩む。
『よそ見……』
ジュードの刀をガッシリ掴むデミウルゴス。
ジュードも隙を突かれ、驚きを隠せない。
「うおっっっ……!!!」
『してんなよォォォォ!!!?』
デミウルゴスの拳がジュードの腹にヒットし、吹き飛ばす。
「………………………………………………………………。」
吹き飛ばされ、地面から突き出ていた岩盤に突撃しヒビが出来上がる。
しかし、砂煙の中にはもう立ち上がり、デミウルゴスを睨みつけるジュードの姿があった。
だが、人を小馬鹿にするような目つきは、ギラギラとした目に変わっていた。
「いてーな、この野郎。」
ジュードが血を吐く。
『そっちの方がいいぜ? お前もヨォ。』
ジュードが腕を鳴らし、刀をレーベルに向ける。
「おい、レーベル。後でシバく。」
「な、何なりとッッッ!!!」
すると、か弱い声がジュードの耳に届く。
「ジュー……ド……」
その声に少し動揺したのか、ジュードの剣先が揺れる。
「リサード……。」
『おい。』
そこへ、図太い声が割り込んでくる。
『俺を無視してんなよォォォ?』
恐ろしいスピードでジュードに突っ込むデミウルゴス。
だが、ジュードはまだリサードを見ていた。
「ジュードッ……!!!」
リサードが叫ぶ。
すると、────────
【「……見ておけよ? 次は敵だぜ?……」】
え……?
「一体……どーゆう……」
『ウラぁぁぁぁぁぁぁ!!!』
「離れますよッッッ!!!」
レーベルがリサードを抱え、すごいスピードで距離をとる。
だがその間、
リサードの目はジュードをしっかり捉えていた。
デミウルゴスの突撃が当たる瞬間だった。
ジュードに笑みが浮かぶ。
「エアロ・インパクトォォ!!!」
デミウルゴスの肩に刀が沈む。
しかし、デミウルゴスの勢いは止まらない。
ジュード…………
リサードに不安が芽生える。
だが、────────
「剣契3条!!!」
ジュードがそう叫ぶ。
レーベルはポカンとしているが、リサードには伝わっていた。
ジュードに剣を教わった際、習う剣の契9条の3。 ここで、使っているところをリサードに見せているのだ。
3条、剣は生きている。剣は振るうのではなく、添えるものだと心得よ。
デミウルゴスの肩に沈んだ刀から血が噴き出す。
勢いの止まらない、デミウルゴスの横を風のように通り抜け、刀は振るわず、そこへ置いておくようだ。
表皮の硬いデミウルゴスの皮膚を刀が切り裂いていく。
「剣契6条!!!」
剣士たるもの、目だけでは無く、匂い、音、感覚ですらも研ぎ澄まし、行動に移すべし。
途中で刀を抜き、スキだらけに見えるデミウルゴスの背中から距離をとる。
その瞬間────────
デミウルゴスを囲む一体が爆発を起こし、地面からマグマが吹き出る。
「すごい………………………。」
『ちょこまかウゼェ!!!』
「ハハッッ。 どっちもありがとさん♪」
そう言って、リサードとデミウルゴスにウインクする。
余裕の表情もつかの間、またデミウルゴスとの接近戦。
デミウルゴスも決めきれず、ジュードもまた手が出せていない。
『ガルルゥガルゥォッッッ!!!』
「そんながっつかないでくれよ!」
デミウルゴスの拳や牙を刀一つで捌く。 ここが抑えるのではなく、捌くのが重要となってくる。
牙や拳の攻撃を、きっちり止めてしまうえばデミウルゴスの思うつぼだ。 刀を抑えされ攻撃をされてしまう。
だから、高難易度な捌くと言う技術を使うしかない。
急いで、攻撃に転じればスキが出来てしまうし、捌くのにも支障がでかける可能性がある。
「リサード……授業はここまでだ!!」
「………………………ッッッ?!」
「とうっっ!!!」
掛け声とともに、攻撃を避け飛び出す。 そこへの追撃を旋風とともに消え避ける。
「剣契8条……」
丘の上に現れたジュードは剣を構え剣契を口にする。
デミウルゴスが息を呑む。
だが、リサードは思い出していた。
剣契8条は……
死ぬくらいなら逃げるべし。
「逃走だよ〜♪」
仰々しく構えていたのもつかの間、走って逃げていくジュード。
マグマが吹き荒れる。
怒りに震えるデミウルゴスを後ろに全力で逃げる。
「もうすぐ結界の外につきますよ!!!」
「お、おう……」
『誰1人逃がさねぇからなああああああああああああああああああああああああああああああ!!!』
結界の間際そう聞こえ、地鳴りが襲う。
急いで結界の外に出ると、沢山部隊のような格好をした男女がいた。 そして、一斉に結界を寸分違わない構えで強度を強める。
レーベルは自分の部下を探しに「すまない……」と言い残し去ってしまった。
リサードはゆっくりと湿った苔に腰をかけ、痛みにうねりそうになりながらもその様子を横で見ていた。
ハースハイトでは見たことがない。
しかし、ひとつ言えるのはこの部隊の歴戦を思わせる動き……
王国騎士団に勝るとも劣らないぞ……
すると、結界がビリビリと揺れ、デミウルゴスの声が響く。
倒さないならあれはどうするつっんだよ……
『そりゃあ、扉に閉じ込める♪』
「───────────?!」
頭の上から不意に女の声が聞こえ、見上げるとバッチリ目が合う。
女にいきなり声をかけられ驚くリサード。
頭の中を見透かされたような気持ちと、驚きで首を軽く捻り鞭打ちのように痛める。
「悪い悪い……そんな顔をしてたから。つい……」少し笑うとその声をかけた女はリサードの体に触れ、緑色の光をじんわりと起こす。
白い袴のようなものを来ており、腰には木刀が下がっているのが確認できた。
髪は黒い短髪で耳下のあたりで切りそろえられている。 少し怖そうな印象とは裏腹に、天真爛漫と言った感じだ。
その人に傷を癒してもらうと、少しだけ声が回復する。
「閉じ込めるってどーやって……」
「まあ、見てなさい? 」
「はあ……」
すると、女に瓜二つな声が響き渡る。
「え? お前……」
「違うよ。」
リサードの唇にちょこんと人差し指を当て、寂しそうな顔で笑った。
「あれは、私の自慢のおねーちゃんの声……」
そう言うと、外の結界が静かに光を帯びた。
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最後の区切りって難しいですね。。。




