26話 キラの確信
土曜日に間に合ってよかったです。今回はキラもシルビアも久しぶりに出てきます!では、26話です!下へどうぞ!
月が顔を出し、ハースハイトにいても魔獣の遠吠えなどが響く。月はいつも綺麗だ……。どんな事象が訪れても絶えず夜には顔を出し見守ってくれている。
月には女神が居て私達を見守ってくれている。そのおかげで、ハースハイトの子供たちは安心して夜を迎えると言われている。
しかし、クルッとした愛らしい金色の髪を帽子から出し、いつものように杖を持っている少女、シルビアは昔から疑問を抱くことが多かった。
なぜ、女神様は困っている人たちを見つけても助けてくれないのだろう……。
なぜ、……
なぜ、パパは殺されなければならなかったのだろう……。
ママはなぜ、私を捨てていったのだろう……。
誰かを失う辛さに勝るものは無い。コレからは何も失いたくない、そう願いシルビアは今日まで魔法を鍛錬した。
最近ある噂を聞いて胸がざわついた。
夜が来るとあの噂はなんだったのだろうと不安になることがある。リサードが犯罪者……? もちろんそんなことはありえないとわかっている。しかし、リサードが最近どこにいるのかを聞いても誰も知らない。それにキラの様子も元気がないようであった。
「ねぇ、待ってよキラ。」
「…………………。」
ハースハイトの城門口で彼女は後ろ姿にそう呼びかける。長めの紫髪が風でふわっと揺れる。ハースハイトはあまり雪が降らないが乾燥した寒い空気がフッと通り過ぎる。
「……どこへ行くの?」
「あー……散歩。」
振り返りもせずにそう言うと、キラはお気に入りのダッフルコートのポケットに手を突っ込んだまま歩き出す。
シルビアはそれを聞いてむぅっと頬を膨らませ、後ろを着いていく。
「聖剣なんか散歩で使うんだー……」
「……ほっとけ。 て言うか着いてくんなよ。」
「何で……? 」
「……ほら、散歩に集中したい時あんだろ? 一人で行きてぇんだよ俺は……。」
自分でも無茶苦茶な事言ってんな……と思いながらもまた歩き出す。夜の商店街は昼間の活気とは裏腹で人が消える。
酒場とかねぇからな……。こうなるのもしょうがねぇ。、そう思いながら商店街の中心まで行こうとするが途中で立ち止まる。
後ろから、奴の気配がする……。かなりデジャブ感じるぞこれ。
「あのなぁ……。ヘタクソなんだからいっちょ前に尾行みたいな感じ出すのやめろ。」
「ハァーっ???」
物陰から飛び出ている金髪のくる毛がピョコっと動くと思えば、シルビアがわざとらしくドスドスと歩いてくる。
「気づいてるなら、先に言ってって言ったじゃんっ!」
「あのなぁ……今回は別になんもないっての……。」
「へぇーー……まあ、別にそんなこと聞いてないけどねっ……。」
そう言って隣に並ぶシルビア。
「じゃあ、何で着いてきてんだよ……」
訳がわからねぇ……と首をかしげながらそう言うと、ニコッと笑うシルビア。
「……へへへ。 キラを慰めてやろーと思ってねっ。」
更に、ウインクをしてキラッと言う交換音が流れそうだ。
あー……やっぱこいつアホだな……
「はいはい。 ありがとうございます。大丈夫ですのでお帰りください。」
「どんだけ嫌なんだよっ!!」
「ハハハ……」
びしっと、肩に柔らかいチョップを入れられる。こういうやり取りを何故か懐かしく思う。
しかし、笑いはすぐに止まり、また虚無感に襲われ、口を閉じる。そんなキラを横目に見て、シルビアも話すのをやめるとしずかにあるきだした。
いつの間にか、街を抜けて草木が現れてくると、シルビアが呟いた。
「ほんとはさ……」
「うん……?」
「………………………。」
「何だよ。」
シルビアの足が止まり、少し遅れてキラも止まる。
俯いており、シルビアの表情は見えない。
「……どっか行っちゃうんじゃないかと思った……」
そう言う声は掠れていた。
「……みんな私を置いていくんじゃないかって。パパもママもリサも……キラも……。みんな私を────」
「………………………………」
「置いていかれたくないよ……。」
ガバッとシルビアを抱き寄せるキラ。
「俺はどこにも行かねーよ。 それに……」
「…………………。」
「俺がどこか行く時は……お前も一緒に来いよ。」
「っっっ…………………。」
そっと離れると、頬に赤みがかかっている。キラは頭をかき、上に横に目を泳がしている。
本当にすごい……。それはね、キラ。
私が1番言われたかった言葉なんだよ。
「ふふっ…………。」
「 何笑ってんだよ……。」
「しょーがないから、ついてってあげようかなと思ってっ………」
そう言って、綺麗に笑うシルビア。
え……? 俺言えたよな?てか、これって告白OKってことだよな?!?!
「おま……それって……」
────ガサッ
「え……?」
すると草陰が揺れる。シルビアが草むらに目を向け、音の正体を探る。
チッ……こんないい雰囲気の時に限ってよォ……
草むらに駆け寄るキラとシルビア。
すると────
「なっっ……」
「えっっ……」
草むらの影に倒れている人影。これは……女……?
「大丈夫か?!」
キラが駆け寄り肩をゆする。女はボロボロの布のような服を着ており、まるで奴隷のような服装だ。至る所から血が滲んでいる。
傷を見るに殴る蹴るの暴力が振るわれたことがわかる。 殴り傷で服もボロボロになるほど殴られたってのか……
顔も腫れ上がっており、かろうじて美人だということはわかるがそれにしても……
女の顔を殴るやつの神経が知れねぇ……
「運ぶぞシルビア!!」
「うんっ!!!」
「とりあえず、ハースハイトに……」
そういった時、女が口を弱々しく開く。
「触れないでください……」
「はぁ? 」
キラが不満気な顔をするが、シルビアがパッと前に出る。
「大丈夫っ。 あなたの味方だよっ! 事情を教えてっ!」
「ッッ……………………」
シルビアがそう言って手を差し伸べると、女は少し戸惑うがシルビアの顔をみて手を掴む。
「ありがとう……ございます……。」
「俺の時は触れるなとか言っておいてシルビアの時は」
────バシッ
「痛って……」
「キラは無愛想だけど、優しいから安心してっ?」
「キ……ラ……?」
「あ……?」
そう言ってドサッと倒れる女。キラが不思議そうな顔を浮かべる。
「さっきから何を怒ってるのか知らないけど、運ぶんでしょ!」
「お、おう。」
俺の名前を聞いた時、何か……
そう懸念を残しつつも、ハースハイトの宮殿に向かう。
でも、コイツ宮殿の方から来た気がするんだが……
何か嫌な予感がする……。
…………………………………………
宮殿に戻ると、医療室の部屋にはまだ明かりが灯っていた。女を抱えながら向かうキラ。
大丈夫だ。まだサラがいるはず。
「サラッ!!」
そう言って扉を開く。
だが────────
「おいおい、扉は丁寧に開けないとなァ? キラ?」
「ゼーノス……………………。」
扉を開けるとスーツの後ろ姿が映り、嫌な予感が何故か的中した気がした。
「ククッ……呼び捨てはいけないな?」
元老会特部、ぜーノス・サージェスト。コイツは……
「キラ……?」
不審そうにキラを覗こうとするシルビア。
わからねぇ…… 。 けどあの女をここに連れて来ちゃいけなかった事だけはわかった。
多分あの傷は………………
「悪い……シルビア。その女を連れて離れろ。」
「え……でも、」
「俺の部屋に医療器具は一応の分は揃ってるからとりあえず行け!」
そう言って、ぜーノスの前に立ちはだかるキラ。
ハァ……とため息をつくシルビア。
「……後で説明してよっ!」
シルビアが抱えて部屋を後にする。
「わざわざ待ってもらって悪かったな。」
そう言って、睨みつけるキラ。
「おいおい、そんな怖い顔をするなよ。」
「サラはどうした……?」
ぜーノスを半ば無視し、キラが問いかけるとぜーノスは、クルッと後ろに回り、サラがいつも座っている席に乱暴に座る。
「さぁ?」
「そうかい。」
無言で腰に備えていた聖剣に手を伸ばす。
念のためにコイツを持っていてよかった……。
「…………………ククッ。何で彼女を離れさせたんだい? ここは医療室だよ。ここで休めばいい。」
そうふざけて言うぜーノス。キラはそんなぜーノスに気もくれず、ニヤッと笑いこう言い放つ。
【「なぁーに、大きな患者が1人出るもんでな。 ここの医療室じゃそいつで手一杯になると思ってよ?」】
「………………………ほう。」
ぜーノスの雰囲気が変わる。
面白い野郎だ。それにしても、俺にここで牙をむくとは。
クロエと元々知り合いだったのか……? エドワードから聞いていたのか……?
まあ、どちらでもいい。コイツの処分は決まった。
「大口を叩いたんだ……楽しませてもらうよ。」
聖剣が抜ける音と同時に、緊張感は一気に最高潮を迎え、医療室は2人の戦場へと変わる。
戦いの中。キラは誰に言われるともなく、確信していた。
ボロボロの女。 彼女をゼーノスに渡してはいけないということを……
────────────────────
夏休み前のテスト期間。レポートを書きながら小説を書いています。正直めっちゃ楽しいです。そう、自分でもキャラどう動くのか理性というより、妄想の中で勝手に動くと言いますか。それを見て、文字に移して……
勉強しようぜ!
という話はここら辺にして、これからまだまだ続きます。ぜひ、暇な時など見て貰えれば光栄です。
では、今回はこの辺で終わりたいと思います。ぜひ、何かありましたらコメントを下さい。何も無くても下さい……。
では、ここまで読んでいただきありがとうございました。また、次話であいましょう!




