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24話 レックスギフト

土曜日が終わる前に挙げられました。 先週の続きのような感じです。 では、どうぞ。



「……………………。」


デスペリア牢獄地下5階では沈黙が響いていた。

ザーバスは色んなことを教えてくれた。

クロが第六王女クロエだったこと、元老会のゼーノスにより捕えられ生贄として捧げられてしまうこと、捧げなければみんな殺されてしまうこと、そして、


クロが……クロエ姫が、今までゼーノスや、ほかの貴族に腫れ物のように扱われ続け、奴隷のようにいたぶられても見て見ぬふりをされ続けていたこと。


「…………………………。」


リサードの表情は見えない。しかし、体は小刻みに震え拳には有り余るほどの力が込められていた。ザーバスもそれを察したのか何も言わなかった。


「なぁ、ザーバス……」


不意にリサードがザーバス呼ぶ。


「……なんだ?」


「破力の使い方を教えてくれ……」


「……? ……使い方を覚えたうえで今後どうするつもりだ?」


ザーバスがそう聞き返すと、リサードが壁に拳を打ち付ける。


「ここから出るためさ……。」


それを聞いて、フッと乾いた笑いを見せるザーバス。


「…………破力でここから外に出ることが出来るのならとっくに俺が出てい……」


「違うね……。」


「…………。」


リサードがザーバスの言葉を遮り、こう言い放つ。


「ザーバス。お前は出れないんじゃない、出ないだけじゃないのか?」


少し驚くが、すぐ冷静に戻るザーバス。


「……ほう?……なぜそう思う?」


「さっきから気になってたんだよ。 俺より先に収監されてたのに、俺が捕まった理由やら、外の状況を知りすぎだ。文通すらもココは届けられないうえに、外部から一切遮断されている。 なのに、この部屋でそれだけの情報を持ってるのはおかしいだろ? 少なくとも外部との連絡手段はもってるんじゃないかなって……」


「ふむ………。だが、、」


ザーバスは冷静に話し始める。


「仮に外との連絡手段があったとしても、それは破力で外に出られる根拠にはならないな……」


「確かにそれだけじゃ根拠にはならないけどな。 でも、外との連絡手段をお前が持ってると仮定した場合、俺が疑える余地はそこしかない。 なんせそこだけ破力って言う俺の未知の領域だからな。」


「………………………。」


「そして、何らかの理由でお前はここに残り続けている。外の仲間と連絡をとってるのか、自分で出て聞いているのかはわからないが、まどろっこしいやり方をしてな。それも、ここから脱獄するだけの力を持っていながらだ……」


そう言うと、鼻を鳴らすザーバス。


「フン……随分と都合のいい妄想を思いつくもんだな……」


ザーバスがそう皮肉を言うが、リサードは顔色変えず冷静なまま話す。


「……別に外れていたっていい。 ただ、道具も使えない、魔法も使えない状態より、破力を使えればまだ脱獄率が上がるだろ? 」


「…………………」


そう言うと、しばらく何の反応もザーバスから帰っては来なかった。しかし、沈黙のあと隣の牢屋からザーバスの笑い声が起こり、響き渡る。


「……やはり面白いやつだ。本当に脱獄する気なのだな……。」


「やはりってなんだよ。当たり前だろ。」


コイツなら或いは…


「ますます気に入った……。 おい、リサード。」


「何だよ。」


ニヤッと笑みを浮かべるザーバス。先ほどの話しといいリサードは、結構鼻も感も良いらしい。外の状況を知っているのには破力も関係している。あながち間違ってはいない。


話す予定は無かったのだがな……。


「……お前の妄想はあながち間違ってはいない。 実際俺がここまで状況を把握できているのは、この監獄にいる監視員に共謀者がいるからだ。 外の状況を奴を通して俺に伝えてもらっている。」


「すごいな……。どうやって監視員を取り入れたんだ?」


「ここのフロアに俺とお前以外、何故囚人がいないか気にならなかったか?」


そう言えばそうだ、と最初に思った疑問を思い出す。

だが、同時に監視員を取り入れることと囚人がいないことに関連が見つからない。


「元々少なかったが、十数人ここには囚人がいたのさ。 」


「……死刑になったって訳じゃなさそうだな。」


死刑で監視員を取り入れる方法を知らないし、そんなに短期間で死刑は行われないはず……。


「そうだ。 そいつらは全員脱獄した。 俺が破力で監獄を破壊し、全員を引き連れて監視員の目を掻い潜り外に出た。 魔獣たちを力を合わせ退け、彼らはハースハイトにつくことが出来た。 そうした後、脱獄した仲間の1人が監視員に忍び込んで俺に情報を流してくれているという訳だ。」


しかし、リサードの頭には当然の疑問が残る。


「……ん?じゃあ、なぜザーバスはまたここへ?」


そう言うと、ガァンっという音が響き、檻の隙間から隣を除く。

ザーバスの手が檻の中から、檻を掴み力を込め握っていた。しかし、その手はブルブルと震えているように見える。


「元老会特部……ゼーノス・サージェスト。 アイツにまたここへ連れ戻されたのさ。」


苦笑いを絞り出すザーバス。


「また脱獄すりゃいいんじゃ……ってのは愚問か?」


「そうだな……。 なんせ、俺には呪いがかけられている。 もう俺はここから出れることは無い。」


呪い……。


「呪いってのはオカルトだと思ってたんだけどな。」


「そういう意味合いが強いな。 呪いと言うのは奴の能力のようなものだ。」


元老会特部長ゼーノス。 リサード自身彼を見たことは無かった。 指令などは受けたことはあるが、大体エドワードから聞くし、遠征の時に限って王都パラソルに顔を出す。

元老長の代わりに様々なところに顔を出しており、今や元老長を彼だと思っている者も少なくないと聞く。

詳しくは知らないのだが、リサードからすればまたあの野郎が関係しているのか、とやたら癇に障る。


「ゼーノスの能力はそんなに強力なものなのか……?」


だが、返事はすぐには帰って来ずゆっくりと時間をかけ、ザーバスの口から話された。


「パブロブの魔犬と言う話を知っているか?」


「……ああ、確か犬の体に条件反射を刷り込ませるパブロブの実験だよな……?」


「ゼーノスの能力はそれを意図的その状況を作り出せる…… 」


「……? つまり……?」


リサードはすぐに能力を整理できず、そう聞き返す。

すると、ザーバスは苦々しそうにその言葉を口にした。




「……奴の能力は目を合わせたものの条件反射を上書きする能力……。」




一瞬の沈黙が2人を襲ったかと思いきや、リサードが飛びつくように声をあげる。


「……はぁ?! 何だそれ?! 魔法?!破力?! 」


いやいやいや、チート過ぎでしょ流石にさぁ…………。

おいおい……難しく言ってるけどさ。目を見た相手の行動を、条件付けて反射を上書きできるってことは……

そう考えた始めた時、最悪のシナリオが頭をよぎる。


「じゃ、じゃあ、条件自体を目を合わせること、にしておいて、反射を自害する、に上書きさせて発動することも出来る……と?」


「可能だろう。 ただ、反射行動の上書きに対しては奴はまだ未熟だ。 だから、出来てせいぜい地面にひれ伏すや、体の動きを止めるぐらいだろう。」


それを聞いても、リサードの焦りは止まらない。


「目を見ただけで体の動きを止めるぐらい、って全然簡単そうにいうけどほんとチートだぞ?」


「もちろんだ。 しかも、奴はどんどんその能力を引き伸ばしている。 最初の頃とはもう比べ物にならんほどにな……。」


そんな……。 そんなのありかよ……。


「……それは破力ってやつなのか……?」


「いや破力は身体能力底上げのようなもので、特殊能力の類ではないのでな……。」


ますます、疑問が生まれる。


「じゃあ、ゼーノスの力は魔法だってのかよ……」


そう言うと、聞き覚えのある言葉をザーバスは口にした。


「ああ……。 呪系と呼ばれる魔法。王の才(レックスギフト)というのを聞いたことがあるか?」



レックス……ギフト……。



初めてヒュドラと戦ったあの日。女王(クイーンエイプ)が放った言葉……。




そうか……。



アイツも……。



ハハ……





「……ハハッ……ハハハハハッ……」





突然笑い出すリサードに「無理もない……」と下を向くザーバス。

ザーバスが怖気づいたのか? と口にしようとした時、リサードから意外な言葉が飛び出る。








【「最高じゃねぇか……」】








「────?!」


初めてザーバスの思考が停止した瞬間だった。


「リサード……本当に壊れたわけではあるまいな……?」


王の才(レックスギフト)……」


だが、リサードにザーバスの声は届いていなかった。

俺と同じ相手……。 つまり、遠慮なく使える力全てをぶつけてもいい相手……。

何よりクロエを苦しめているアイツに手加減もクソもない。

────が、コレでリサードには更に全ての力、全力を出し切ることへの罪悪感は無い。

どうやら、ザーバスでも俺が王の才(レックスギフト)を持っていることは知らないようだ。

ひとしきり笑った後で、「フゥ……」と落ち着くリサード。


「何でもない……。 ただ、王の才(レックスギフト)をもっている。相手にとって不足はないなと思ってさ……。」


そう言うとさらに目を丸くするザーバス。


「お前もお前でネジが飛んでるらしいな。 」


「何とでも言ってくれ。 俺は思ったことを言っただけだよ。」


ザーバスはリサードから感じ取っていた 。

コイツはゼーノスとタイプの同じ人間だと……。どちらも戦闘となると決まって笑うこの感じ……。



「フッ……。」



ネジが飛んでいる……なんて俺も人のことは言えんな。 世界がどうのこうのと言われるより、何よりも……。




二人の戦いを見てみたいと思ってしまったよ……




「リサード……。」



「……なんだ?」



不意にリサードを呼ぶザーバス。



「お前に破力を教えてやる。 今、お前に残された時間はあと3日も無い。 だから、かなりスパルタで仕込んでやる。だから……」


「………………?」





「……この監獄から脱獄してみせろ。」





そして……




俺にこの戦いの結末を教えてくれ……。




「……………………!?」


それを聞いて、リサードも笑みを浮かべる。


「ああ、任せろ! 出来なくてもやってみせる!」


「フッ……。くれぐれも期待はずれだけはさせるなよ。」


そう言うと、リサードは「ああ。」と頷く。

それを聞いて、ザーバスはふと思い出したように考えた。

確かにコイツなら成し遂げてみせるかもしれない。魔力を止めるのもこの短時間でやって見せた……。


かつてこの大陸最強と言われたゼーノスを倒してしまうかもしれない……と。



目をつぶり、早速破力に集中しているリサードをみて確信に変わる。



お前が言った通りコイツは化けるかもしれないな……






なぁ……? ジュードよ……





────────────────────


さぁ、ここからリサードがゼーノスと戦う未来は決まったようなもんです。どんな戦闘を繰り広げるかは自分自身書いてみないと分からないものがあります。

そして、ジュードさん……。七星剣の二柱の名前がザーバスから出ましたがやっと出れましたね。

では、次回はキラが登場する予感がしますと残してここら辺で終わりたいと思います。

何かありましたらコメントにて、ご感想ご指摘お待ちしております。

では、また次回。

土佐犬都

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