17話 エルフの呼石
皆さんお元気だったでしょうか?私は、1週間更新をしようと頑張っていますが、いかんせん難しさに日々奮闘しています。毎週更新ですらこんなに難しいのか…と思いつつ暇を見つけてはリサードのことを考えています///
100話を超えても書き続けると誓い、これからも頑張っていこうと思っています。どうぞ下にスクロールして言ってください。
多くの剣士を亡き者にしてきた森。しかし、その森の頂点が倒された今、森にはある変化が訪れていた。この森一帯を占めていたエイプ族の権威が本来の魔獣への価値へと下がったのだ。
クイーンエイプを倒したリサードは頂点として、森中から認識を受けている。そのため、リサードにはやけに静かで美しい森に見えていた。響くのは焚き火のパチッパチッと言う音と心地の良い女性の語口。
しかし、リサードはその女性の口から出た宝具という言葉に強い興味を惹かれていた。
「宝具って…そんなの聞いたこと…」
「あの…リサード君…」
「?」
突然クロに名前を呼ばれ、少しビックリする。
「リサード君って結構伝説とか伝記好きですよね?」
「え?まあ、嫌いじゃないけど…いきなりなんで??」
え?唐突に何のこと…?
そう思っているとクスッと笑うクロ。
「だって、クイーンエイプを倒した時、大魔獣ヒュドラ〜とか言ってたじゃないですか!」
「────?!」
ゲッ…そこまで聞かれてたのかよ…。てか聞かれてるかそりゃ…
「あれって7人の賢者に出てくる伝説の魔獣ですよね?好きなんですか?!私もあの話すごい好きなんですっ!」
うーん。なんて説明しよう。
「いやーあれは、そのー俺であって俺でないと言いますか…」
「まさか、リサード君がそこまで好きだなんて思いませんでしたよ!あの技ってヒュドラをモチーフにして作ったんですよね?本物って言われても気づかないくらい磨きあげられてましたもん!」
「…へ?」
「大魔獣ヒュドラがいたらあんな感じなのかなー…って…どうかしましたか?」
「あーいやいや…そうなんだよ!俺もあの話好きでさ!ハハハ…」
「ですよね?!またあの技みたいです!」
「ま、まあ、そのうち…ハハハ…」
あ、あっぶねぇー。何この子…危険なんだけど。
この子がアホで本当によかった…。
ヒュドラが自分の中にいるかもしれないなんて話、信じるとも限らないけど、万が一バレたらめんどくさそうだしなぁ…。
そんなことを考えているとポンッと手を叩き思い出したように真面目な顔になるクロ。
「あ、話が脱線しちゃいましたね。」
そう言って、興奮を抑えるとまた話し出す。
「その7人の賢者の話なんですが…調べれば調べるほど謎が多いんです。」
「謎…?」
そう言うと、神妙な顔つきになり話し始めた。
「はい。まず、一つ目はこの時代の魔法と言うのは、そんなに発達していなかったんです。せいぜい、生活の中で使える程度で、魔獣に攻撃出来るほどの威力はありませんでした。」
「なるほど…。でも、7人の賢者って魔法使うシーンなんてあったか?全員剣で戦ってたろ?」
「はい。全員剣で戦っています。しかし、そこにおかしい所があるんです。」
「第2章での地獄の番犬ケルベロスとの戦いの時、炎の賢者フィオナが確かにエンチャントスキルを使ったと思われるシーンがあるんです。」
そう言うと、インベントリを開き古く分厚い本を取り出す。
いっつもこれ持ち歩いてんのか?…。
「ここです。」
そう言って、本をのぞき込む。
「この''炎の刃で''ってところか?」
「はい。ここからフィオナは炎の賢者と呼ばれるようになったわけですが、それまではただの刃だったんです。」
フィオナは確かにそれまで、普通に斬撃で倒していた。そう考えれば、確かにエンチャントスキルを使えるようになったと考えてもいい。しかし、それでもまだ不可解な点がある。
「だけど、覚えたてのエンチャントスキルでケルベロス程の魔獣を切れるとは思えない…。それに、魔法よりも高難易度なうえに、そんなケルベロスを倒せるほどの炎なんて剣自体がもつわけがない…。」
例えエドワードの聖剣ですらそんな火力を注いだらヒビが入るのは目に見えている。
リサードがそう思っているとクロの目がキラリと光る。
「そこなんですよ!リサード君!」
「え?あ、はい…。」
一体どうしたのこの子。顔が近いですわよ。
「魔法よりも高難易度なエンチャントスキルをこの時代で操り、しかも初戦で莫大な威力を出すなんていくら賢者でも無理です。それに、そんな魔法負荷に剣が耐えられる訳がありません…。」
ですが…と言葉を続けるクロ。
「しかし、元から炎の属性が付与されている剣が仮に存在したとして、それを用いたとすれば…?エンチャントと言う魔法負荷をかけずに巨大な炎を操ることが出来ますよね?」
「────?!」
だが、でも…と首を振るリサード。
「でも、そんな剣に元々属性が付与されているなんて聞いたことがないぞ。伝説級の耐久力を誇る七星剣のメンバーが持つ聖剣ですらエンチャント以外じゃ…」
そう言ったところでピタッと止まる。
「もしかして、それがお前の言う…」
リサードをしかと見つめ、はっきりと応える。
「はい。それが宝具です。」
「…………………………。」
リサードは戸惑っていた。ハースハイト王国は大陸をほぼ占めていると言っても過言ではないほど権力と長い歴史を持っている。そのハースハイトで過去を含め最強と言われる7つの剣を凌駕するものが存在するなんて信じられない。
しかし、リサードには宝具なんて物が存在するわけがないと否定することは出来なかった。大魔獣ヒュドラが生きていることに比べれば、今更宝具が存在してもおかしくはないと思ったからだ…。
「宝具は何も剣だけではありません…」
そう言うと、インベントリからあるものを取り出す。
「…これは…。」
「はい。コレはリサード君に拾ってもらったペンダントです。」
そう言って、自身の首にかけるクロ。
「…それも、そうなのか…?…」
「お察しの通り、コレも宝具の一種です。普段、宝具は擬態している状態で存在していて見分けは難しいです。ですが、少し見ていてください…」
そして、ペンダントを握り目を瞑る。
«時は熟し、目覚めの時は来た»
クロがそう口にすると、クロの握る手から光がこぼれ、周りを侵食するように光がゆっくりと周りに満ちる。
やがて、手を離すと光を強めながらゆっくりと宙に浮く。
アンティーク調だったペンダントは、やがてゆっくりとその姿を変える。
────ズンッ
「なっっっ…」
空気が一瞬で重くなる。
なんだこの感覚は…。まるで、強大な魔獣に睨まれているような、恐ろしく降りかかる空気の重さ…。
そして、ペンダントの光を見てから頭痛がヤバイ。めちゃくちゃ痛てぇ…。誰かに脳の奥を叩かれてるみたいだ…。
«あるべき姿に戻り、力を示せ»
クロが続いてそう口にすると、広がっていった光の輝きが最高を迎える。
ペンダントは…いや、もうペンダントではなくなっている。ペンダントだったものと言うのが正しいだろう…。
«顕現せよ、エルフの呼石»
トゥーーーーーーーーンッ!
タンッ…
クロの声にそれは、反応したかのように音を立て、光を一気に収束し、クロの手に戻る。
ペンダントだったものは、青く半透明なキューブになっていた。そして、重くなっていた空気や頭痛は、もうしなくなっていた。
「コレは…?」
リサードがそう尋ねる。
「コレはエルフの呼石と言う宝具です…。能力は…見ていてください…」
そう言って、キューブをかかげると、、
「ファミリア・コール!」
エルフの呼石が半透明な粒子になり、クロとリサードを飲み込み、直径20mほどの正方形を作る。
ブゥーーーーーーーーンッ!
「うおっっっ!!」
ピコッピコッ…
目を恐る恐る広げると、青い透明なキューブの中からさっきまでいた夜の森を見ていた。
星も、木も、起こしていた火も、中から透けて、青とかなさって見える状態だ。
「なんか、こう…幻想的だな…。」
「そうでしょう?見せたくてたまらなかったんです!初めてこのキューブの中を他の人に見せました。」
「そうなのか?悪いな、一番最初の人が俺で。」
「そんなことないですよ!一緒に見れてよかったと思ってます……リサード君なら特に…」
何かもぞもぞと小さな声で、最後の方がよく聞こえない。
「ん?何か言ったか?」
「い、いえ!」
そんな会話をしながらまた空を見上げる。
すごいなこれ…と思っていると先程からピコッとなり続けている赤い点が映し出されているのが気になった。
「なぁ、今更ながらこのキューブは結界みたいなものか?それと、あのキューブの中をピコピコ光って、飛んでる赤い点は何を示してるんだ?」
リサードがそう言うと、一緒に空を見上げていたクロも「忘れてたっ」とあわてて、説明に戻る。
いきなり、見せといて俺の存在忘れるなよ…
「ああ!そうですね!」
「このキューブのような結界の中はセーフティゾーンとなっていて、C級ならまず入ってこれません。」
そう言って、リサードの方に歩き出す。
「ですが、それはただの付属効果にすぎません。この光っている赤い点。コレがこの宝具の能力なんです。」
「…このピコピコ光ってるのがか?」
そう言うと、クロはニヤッと笑う。
「ふっふっふ。よく聞いてください。この赤い点は…宝具の在り処を示すものなんです!!」
「え?!まじか?!それってチートじゃないか?!」
「フッ…」
途端にドヤ顔うぜぇけど凄っ!!
お前ほんとに何者なんだよっ!絶対後で問い詰めてやろう。
けど、赤い点は一つしかない。赤い点が一つってことは…
「その話で行くと、宝具ってあと1個しかないのか?他の宝具は?」
「いえ、他にどれくらいの宝具が存在しているかわかりませんが、まだあると思います。今これだけ写ってるのは、距離的な問題を含め、使い手のいない宝具がエルフの呼石に答えたんだと思われます。」
それを聞いて、納得と同時に不安も出てくる。
「じゃあ、仮に使い手がいる宝具が近くにあってもここには映らないのか?」
「いえ、そういう訳でもないんです。」
「どういう事だ?」
「このキューブには青、赤、黄色の3種類の映し方があります。ただ単に青く光っている場合は使い手がいない宝具であるということ。黄色の場合は使い手がいる宝具。赤の場合は…」
「赤の場合は?」
「…宝具自体が暴走している状態です。」
「…暴走?使い手は?しかも点滅してるぞこれ…」
「はい、サポート系、攻撃系どちらかの宝具が今、暴走を起こしている状態です。暴走の場合使い手は存在しないです。ですがこの、点滅はかなり危ない状態を示しています。」
この子は本当に一体何者だ。知りすぎているにも程があるだろ…と鈍感なリサードでも思う。
だが、ここは話を聞いておくべきだ。
「暴走って具体的にどんな要因があるんだ?」
「突然、宝具の持ち主が消えた時などが考えられますが、今回のは多分、宝具が自我を持ち始めているんじゃないかと思います。」
「自我?!」
「はい。宝具というのはそれぞれ意志のようなものを持って、使えるマスターを選びます。それが意志を持って暴れるんです。」
宝具に意志…。ますます、信じられなくなってくる。だが、、
「暴走するとどうなるんだ…?」
「恐らくですが…」
「S級以上の魔獣のようなものが誕生する可能性があります。」
S級以上だと…?!そんなのヒュドラやクイーンエイプに並ぶじゃないか…
「そんな…」
「ですから、明日の朝。私と一緒にこの場所に行ってもらえませんか?」
そう言って、頭を下げる。
確かに信じ難い話ばかりだった。しかし、白の命の恩人でもあるし、それに嘘をついてる気配は無い。きっと、クロもなにか事情があるはずだ。
「わかった…。そこはここから近いのか?」
「はい。場所はこの森の中。元王者クイーンエイプの館のキングフロアにあると思われます。」
なるほど…。それで、クロはクイーンエイプと鉢合わせていたのか…
「リサード君!」
「?」
「よろしくお願いしますね♪」
そう言ってふふっと笑うクロ。
「ああ、短い間だが俺たちはタッグだ。よろしくなクロ。」
「はいっ♪」
凶悪な魔獣達が巣食う森の中、焚き火の火は消された。
クロは一体なぜここまで知っている?一体何者なのだろうか…
だんだん浮き彫りになっていく謎に、リサードは巻き込まれ、戻れなくなっていく。それでも…
それでも、彼は後悔しない。
リサードはテントをはり、目を瞑った。
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今回はクロがたくさん説明してくれましたが、彼女って何者なんですかね。私自身もわからない立ち位置です。知ってるのはクロだけですからね…笑
100話を目指して頑張りましょう。どうぞご感想、ご指摘、ありましたらどしどし送ってくださいね。
それでは、また1週間後この場で宜しくお願いします。




