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16話 新たな刺客

ゴールデンウィークは楽しめたでしょうか?私はそのお陰でかなり生活リズムが崩れていきましたが、この話を何にせよ続けて行くことを目標に大変なことも乗り越えていきたいです。



生贄姫…

エドワードは王都内で耳にした事がある単語だった。昔、魔獣達から身を守るため聖なる力を持つ女を生贄に捧げることで、魔獣達を満足させていたと言う忌まわしき風習。

ハースハイトでも昔はあったらしいが、今はそのような風習は無かったはずだ。

だが…確かにその単語を俺は最近、王都で…


氷系魔法────


「スノーストームッ!!」


『グゥゥゥッ……』


パンプキンロードの体を氷の吹雪が侵食していく。


「ナイス、シャーベットッ!行くぜぇー…」


『小賢しいんだヨォ!クソどもがァァァァッ!!!』


土系魔法────


「ゴーレムゥ……!!」


アリエッタがそう言うと草原が盛り上がり、土が吹き出すように飛び出す。


「…ハンドォッ!!」


『ッッッガハッ!!!』


土やら岩石やらが集まりだし、大きな手腕を作り出し、パンプキンロードをガッチリと掴み込む。


「エドワード!!」


「ああ……」


生贄姫…聞きたいことは山ほどある。なぜ、奴の口からその言葉を…

いや、考えている場合じゃない。

今自分がやるべき事は…


────全力を尽くすことッ!


炎系魔法────


「チャージ・フレイム…」


エドワードの構えた大剣の刃が炎で膨らみ、巨大な炎の大剣が完成する。


「パンプキンロード。最後に言いたいことはあるか?」


大剣を両手で振り上げそう言い放つが、


『オ…オオオ………』


パンプキンロードは剣炎から発せられる熱とパチパチとあがる火の粉を見上げ、暴れることを辞め唸るだけだ。


「……そうか……。」


これで決めてやる。目を閉じるエドワード。師であるクレイドさんに憧れて極めた一筋の炎の剣。この重量と破壊力を扱えるのはこの防具の力。


炎系奥義────


「アグニ・フレイムゥ…」


目をカッと見開く!


「スゥイングゥゥゥッッッ!!!」


『オ…オオ…オオオオオオォォォォォッ!』


ここで終わりだ…



更に威力をあげ………



その時────



上空から囁くように小さな笑い声。だが、パンプキンロードの咆哮や、エドワードの気迫をかき消すような頭を揺らす少女の確かな声。

黒いゴスロリ衣装に白い髪。そして、何より印象的なのはそこの見えない赤く光る目。


────ウフッ…



「────ッな?!」



「何?!あのゴスロリ女ッ!!」



呪系魔唱────



「アリエッタ!シャーベット!離れろッ!!!」


叫ぶ!これは危険だ!


「ちょっ、いきなり何?!」


「アンリッ!!!!」


氷系魔法────


「アイス・キューブ!」


「ちょっ!!」


パンプキンロードの近くにいたアリエッタの周りに氷のバリアが貼られる。


『ブラッディ・クリムゾン・ブレイズ♪』



────ゴゴゴゴゴゴゴゴッ!



今まさに振り下ろされようとしたいたエドワードの剣をせき止めるように放たれる赤黒い業火。炎というよりは黒く、闇と言うには赤い燃え盛るエネルギーが、上空から襲う。


「きゃああああああっ!」


「持ちこたえてッ!アイスキューブッ!」


俺の奥義を凌ごうとするほどの威力だと…。

絶望的な状況なのは確かだ。

なぜなら、この攻撃…明らかにパンプキンロードではないッ!


味方では到底無い!新たな刺客ッ!


ならば、なおさらここでパンプキンロードを撃っておかねばならないッ!!


「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおッッッッッッッ!!!!!!!」


────アラ?


『ただの人間がこれを押してくるなんて…何があるかわからないわね♪興味深いけど今日は回収にきただけよ。』


無系魔法────


「させるかァァァァァァァァ!!!!」


『また会いましょうね…?』


«ゲート・コネクト»


青白い光がパンプキンロードと突然現れたゴスロリの少女を包み込む。


「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおッッッッ!!」


───ドガーーーーーーンッッッ


エドワードの奥義の剣が炸裂し、振り下ろされた。


「………………………………。」


「ハァ…ハァ…」


「アンリッ!大丈夫?!」


シャーベットの張った氷はほぼ溶けていたが、中のアリエッタはほぼ無傷だ。しかし、呆然と何が起こったのか把握ができていない。


「ヤツら…は……。」


また、エドワードも剣を振り下ろしたまま動かない。あれだけの奥義を放ち、とてつもない敵の攻撃をさらに押し返したのだ。普通なら倒れていてもおかしくはない。

しかし、剣士の意地が彼をまだ立たせたいた。


「シャーベッ…」


「エドワードッ!」


────ガシッ


倒れそうになったエドワードを黒い影が支える。


「……ブラッド…」


そう確認すると、意識を失うエドワード。


「エドワードッ……」


「……………………大丈夫。力を使い切って眠っただけ。外傷はほとんど無い……。」


シャーベットに答えるようにブラッドが口を開く。


「………はぁ…。」


「………………アリエッタはどうかしたのか?……。」


「わからないの…。」


シャーベットがそう言うと今まで呆然と空を見上げていたアリエッタが口を開く。


「…あの白い髪…どこかで…。」


そういった所で頭を抑えるアリエッタ。


「しっかり!とりあえず休むわよ!」


「ううううあの女ぁ…。」


「ごめんなさい。アリエッタ…。 …ブラッド!!」


「………………承知した………。」


そう言うとアリエッタに手を向けるブラッド。


闇系魔法────


「……………フェイント・ウェーブ………。」


アリエッタの周りに黒いモヤが現れると、頭を抑え、唸るアリエッタの意識がフッと飛ぶ。


「……………アリエッタ。」


「…………………………………。」


シャーベットがそう言うと何も言わずエドワードを背中におぶり歩き出すブラッド。

それを見て、シャーベットもアリエッタを背中におぶる。



後ろから朝日が差し込んできていた。先程まで美しかった草原はところどころ焦げ、地面がえぐれている。

森に入り、王都に戻るまでブラッドとシャーベットは一言もかわさなかった。

シャーベットはずっと考えていた。あの時、アリエッタが言おうとしていたことを。。



✕ ✕ ✕



王都ではすっかり朝が来ていた。王都に設備されているベッドに紫髪の青年は寝ていた。


「うん?………」


何か重ぇな…。とベッドから上半身を起こす。

服は脱がされており、傷口に包帯が巻かれている。下半身も簡素なズボンに変えられている。


「そう言えば………って、なっ?!」


体を確認していると足元にスースーと寝息を立て、イスから上半身を投げ出すように寝ている少女がいた。帽子は付けておらず、服も簡素なものに変わっている。


「ンン…なに?…」


そう言うと、目を擦りぼーっとキラをみるシルビア。


「お、お前。なんで?」


そう言うと別のところから返事が返ってくる。


「その子はあなたが目覚めるまで看病してくれてたのさ。ちなみにお前が目を覚ますことが出来たのはこの子のおかげさ。何か言うことがあるんじゃないのか?」


そう言ってタバコの煙をフーっと吐く。


キラにそう言い、小悪魔のような笑みを浮かべるのは王都直属の医療機関に務めるサラ・ニファーラ。回復魔法を得意とし、王都に運ばれた怪我人から街の衛生管理や手当てまで様々な仕事をかけ持っており、医療機関の責任者でもある。

短い黒髪にキリッとした目つきで、白衣を着ており、少し離れたところで立ちながら煙草を吸っている。


「そうか…。」


まだ目を擦って眠気まなこのシルビアの頭をさする。


「ハッ?!ちょっ…何すんのよ?!」


そう言って胸を押してくる。

ほんと可愛げ無いやつだな、コイツ…一応患者ってところ見せてやるか…。


「ウッ…イテテ…傷口が……。」


「え…大丈夫?!キラ?」


そう言って顔を近づけてくるシルビア。おい、近いし。第一ボタンまで閉めろ。無い胸が見えるだろうが。


「…いや、えーと。」


「ねぇ?大丈夫?」


さらに顔を近づけてくるシルビア。今更嘘って言ったら本当に傷口開くハメになりそうで怖いんだが。


「フフフ…仲がいいのだな?」


「「いや、それはない。」」


声がかぶり、手を横に振る姿まで被ってしまう。


「そうか?…私には結構お似合いに見えるぞ?」


「サラさんッ…!」


「おい、痛てぇよドチ…」


「キャッ…」


シルビアが反応し、キラの上で体制を崩す。


「痛てぇな、この…」


そういった所で目が合う。赤く火照ったシルビアの顔がもうくっつきそうな程近い距離にある。キラが目を開けた時には既にこちらを見ていたのだろうか。何も言わず少しの間見つめ合う。シルビアの小さな心臓の音が直接伝わってくる。

自分の顔も赤くなっているだろうか、と視線をそらす。

すると、シルビアも視線をそらしベッドから降りる。


「…あ、えーと…。」


「キラも元気になったみたいだし、私先に行きますね。あとは、よろしくお願いします…」


「はいよ。」


サラがフーっと煙を吐くと、扉を開け、バタンッと扉を閉め、そそくさと行ってしまうシルビア。


「……………………。」


「私は邪魔だったかな?」


黙っているキラにそう話しかけるサラ。すると、クスッと笑う。


「…そうっすね。」


「フッ…正直なのはいい事だが。お前がシルビアみたいな娘が好きだったのは驚きだったぞ?」


そう言ってクスクスと笑いタバコをまた吸い始める。


「…俺にも色々あったんですよ…。」


「…そうかい…。頑張れよ若造。」


「………………。」


そう言ってタバコを消し、デスクにつくと、パソコンをいじり始めるサラ。

俺は何をバカ正直に言ってんだ…。でもまあ、本当のことだからしゃーねーか。

サラさん。アンタよりも。

俺の方が100倍驚いてるっての…。




扉をバタンと閉め、寄りかかるシルビア。

さっきのは危なかった。キラの顔がものの数センチ先にあった。先日のことがあって、かなり意識してしまっている。


「……うぅー……。」


キラの驚いた顔が近くにあって…。もうちょっと前に倒れていたら、キ、キス、しちゃってた……。


「……ううぅー…。」


ぎゅっと服を掴み、頭を振る。


「…………バカ……。」


シルビアはそう言ってまだ火照った顔のまま部屋をあとにした。



王都は現在時刻九時を少し回ったところだ。朝ごはんを食べるには少し遅い。後三時間近くまてば昼食になるからそれまで待とうとベッドにまた横になるキラ。


ここ最近はいろんなことが立て続けに起こりすぎているような気がする。俺も王都でしばらくは大人しくしてた方が良さそうだと目をつぶるのであった。






キラは一体誰に着替えをしてもらったのか。サラさんなんですか?それとも、シルビアちゃんですかね。いずれにせよ一旦裸になるのはしょうがないですね。

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