12話 パンプキン・ロード
今回はリサの続きではございませんm(_ _)m
ブチ切れているリサ君はまた次話で暴れてもらうとして今回はシルビアちゃんとキラ君が頑張ってるらしいです。
リサードが戦っている一方、その前日の王都では夜にも関わらず見回りが行われていた。
「ふぁ〜…」
ハースハイト外壁北東。時刻は深夜をとっくに回っているだろうか。
「シルビアさん。もう少しやる気出しましょうよ。」
そう言うのはヘレン。外壁の守り方は支部によって違うが、11支部の5人組は2人と3人に分かれ外壁を見回っていた。
「だって、もう夜だよ?私いっつもこんな時間まで起きてないし…寒いし、帰りたいよっ!」
そう言って肩をダラーっとさせるシルビア。
「大体、5から上の支部はぐっすり寝てるってのに、この格差は何なの?いくら1番下の支部とはいえさっ!」
「それは僕もそう思います。僕達だって戦力だけで言ったら5支部にだって負けませんが…」
「…?」
「いかんせん問題児ばかりなのでそこはどうしようもないかと…」
「マシな人材が入ってこないのよねっ!」
「支部長からしてこれですからね。」
やれやれと手振りするヘレン。
「なんか言ったかな…?」
そう言って腕をポキポキならすシルビア。
「冗談です。半分冗談です。」
「半分じゃ意味がなーいっ!」
そう言ってポカポカとヘレンを叩くシルビア。
こういう所が子供っぽくて面白いんだよなぁ、と微笑ましくなるヘレン。
まあ、実際のところシルビアの実力はよくわからない。
本気を出しているところをまだ誰も見ていないが実績だけでも、彼女も天才と呼ばれる部類には入るだろう。
そんなことを考えていると突如声をかけられる。
「よぉ?随分仲良ししてるじゃねーか?」
バッと振り返り、瞬時に攻撃態勢に入る2人。
「おいおい、敵じゃねーよ。」
そう言うと、森の中から紫色の髪の青年がけだるそうに現れた。手を首筋に当て、黒のズボンに黒のダッフルコートを着ており、完全にOFFの格好だ。
「え?キラさん?!…」
「ああ、でお前、名前は?」
「イレブンノート第11支部特攻魔法部隊隊長、ヘレン・ポーカーと申します。名誉騎士キラ・テイルズ殿。」
そう言って膝をつき頭を下げるヘレン。
「おー、よろしく。ヘレン。」
そう言って、ヘレンから目を離すキラ。
シルビアを見ると嫌な奴に会ってしまった満載の顔をしている。
「なんだその顔?それとも元々そういう顔なのか?」
そう茶化すと額に青筋が浮かぶがかろうじて堪え、ニコリと笑うシルビア。
流石に七星剣の方に楚々を犯してはならないことぐらいシルビアにだって分かるはずだ、とヘレンは思った。
「はー、これはこれは。バカで無神経のアホ殿では御座いませんか?何しに来たんですか?用でも足しに来たんでしょうか?」
ゴメン。全然抑えきれてないわ。むしろ楚々を犯しまくりだわ。
額に青筋を浮かべるがニコりとし、表情を崩さないキラ。
「一応上司だからな?テメェ。上司命令で公然わいせつ罪で打首にしてやろうかド貧乳クソチビ殿?」
シルビアからブチッという音が聞こえる。
「何ですってぇ…??」
「あー?やんのかコラァ?」
そう言って顔を近づけ合い火花を散らしている。ほんと怖いもの知らずにも程があるよぉ…
「キラ殿申し訳ございません!シルビアさんの非礼をおわび申し上げますので!どうかお願いします!」
そう言って、頭を下げるヘレン。
「別にお前が下げることじゃねーよ。頭上げな?」
「そうよヘレン!こんな奴に頭下げる必要ないわ!」
「お前は頭を下げろ!」
「うぎゃーーーっ」
そう言ってシルビアの頭を手で下げるキラ。
必死に反抗するシルビアだが、遊ばれている感じになっている。
なんか仲いいな…と思うヘレン。
そして、2人とも落ち着きを取り戻したところで。
「そう言えば本当になんで、こんな時間にここにいるのよ!?」
「おー、そ〜だったぜ。」
そう言うと何かを思い出した、とわざとらしく手をポンっとするキラ。
「………。」
真顔になり真面目な空気を出す。
先程までの和やかな雰囲気が無くなっていった。
「お前ら今日の見回りは終わりだ。」
ポツリと告げるキラ。
「は?…いきなり何を言い出すかと思えば…。ってか、まだ撤退命令なんて出てないしっ。」
「そうか。じゃあ、今見回りしてる奴らにそう伝えて外壁の中に帰れ。」
そう言って後ろを向き歩き出す。
「ちょっ、待って…」
シルビアがそう言って服を掴むとバッと振りほどき、振り返りシルビアを見下げるキラ。
あまりの勢いにキャッ、と尻餅をつくシルビア。
「これは上官命令だ。大人しく指示に従えよ。」
そう残し、森の中へ消えていった。
「………………………………。」
沈黙が走る。いきなりのキラの剣幕に2人とも何が起きたのかわからなくなる。
しかし、何かを思い出したキラの様子がおかしいことだけはわかった。
「………何なのよアイツ……」
「シルビアさん。大丈夫ですか?」
そう言って駆け寄るヘレン。
「………………。」
「キラさん。何を思い出したんでしょうか…。ビックリしましたね…。ここは大人しく撤退ましょう。……」
しかし、押し黙っているシルビア。
「……………。」
何も言わず座っているシルビアの後ろで下を向いて立っていた。
夜風が心地よく吹いている。
どのくらいそうしていただろうか。
すると、シルビアが口を開く。
「ヘレン。みんなに撤退を伝えてきてくれる?」
少しの沈黙が走る。
「え?……シルビアさんは?…」
「アイツを追いかけるわ。」
「何言ってんですか。一緒に…」
「上官命令よ。」
そう言うとシルビアも森の中へ消えていく。
「ちょっとまっ…」
追いかけようとすると、インベントリが自動発現する。
手鏡が現れ、鏡から赤の点滅が起こる。
ほかの部隊から応援要請を示すものだ。
「どうすれば……」
「………くそっっ!!!」
仲間からの応援要請を無視するわけにも行かない。
それに…。
自分なんかよりよっぽど頼りになるキラさんがいる。
クッと歯噛みし、走り出すシルビア。
「キラさん……。シルビアさんをお願いします。」
そう言って部隊の応援に向かった。
………………。
ハースハイト外壁の森を歩く紫髪の青年キラ。
暗闇の中で彼の表情は見えない。
すると、突然止まる。
「おいドチビ。隠れられてねーからなアホ。」
そう言うと後ろの茂みからシルビアが頭を出す。
「何よっ!ならさっさと言いなさいよねっ!」
「ついてくんなって言ったよな?」
そう言うとウッと気圧されるシルビア。しかし、今回は負けていなかった。
「アンタなんかの言うこと聞く義理なんか無いっつーのっ!」
そうキラの口調を真似して言うと隣にくるシルビア。
「あのなぁ。今回はマジで…」
そう言かけたところでシルビアが言う。
「あなた1人じゃ、外壁の方まで被害が出るわ。ハースハイトの見回りの人達に気づかれないよう結界だって私ならはれる… 。」
そう言って歩くシルビア。
「なんだ知ってたのかよお前。」
そう言ってキラも歩き出す。
「サーチの魔法使ったの。初めはただの魔獣の気配かと思ってたんだけどね…。様子がおかしいしから通りがかった魔獣がそこに留まってるかしら、ってぐらいだったけど。あなたの様子と向かう先を見て確信したわ。その魔獣とっても強いんでしょ?あなたが直接向かうぐらい。」
「ほうほう。」
不覚にも感心するキラ。
それを聞いてぐしぐしと頭を撫でる。
「お前なかなか鋭いな。俺様直属の側近にしてやろうか?」
「お断りよっ!それに突き飛ばされたしっ!」
「それはその…悪かった。」
少し静かになるがすぐ手を払い除けるシルビア。
つれねぇやつだなぁ、とキラが軽口を叩く。
しかし、次の瞬間立ち止まる。
「ここから先は俺が行く。お前は結界を貼ってろ。防音、防風、状態打ち消し…。あと、地揺れ無効も貼っておけ…。」
「なかなか難しいこと言うわね。」
そう言って、杖を上に掲げるシルビア。
「ねぇ、キラ。その魔獣どのくらい強いの?私、本部からはCくらいとしか聞いてないんだけど…」
「そんなもんじゃねーよ…。俺のトラップを軽々と破りやがったからな…」
「お前はやばくなったら逃げろ。そんでもって、エドワードさん若しくはジ…」
そこで苦い顔をするキラ。
だが、エドワードが出てきたところで話のスケールを理解したのか、それを聞いて驚くシルビア。
「エドワードさんって…七星剣をもう1人呼ばないとやばいくらいの相手なのっ?!」
「どうだろうな。まあ、俺の予想が正しければSまでは行けてないはずだ。まあ、言語は理解できると見て不完全なSって所だろうな。」
そう言うと心配そうな顔をするシルビア。
それを見て少し微笑むキラ。
「なぁに、心配すんな。足止めくらいはしてやるさ。」
そう言って、インベントリから紫の花を取り出す。
「コイツは俺専用の花なんだが。」
そう言うと、シルビアに手渡す。
「コイツが枯れたら悪いんだが、七星剣の誰かに伝えてくれ。相当やべーぞってな?」
そう言って少し笑う。
「………………………。。」
黙るシルビア。
なんだ、無視かよ、と歩きだそうとするキラ。
すると、
「ふっ!…………………。」
「ふざけんなぁっ!!!…。」
シルビアが大声をあげる。
突然のことに驚きを隠せないキラ。
目に涙を貯めているのが見え、
声は震え、下を向いている。
「絶対帰ってこいっ!!!帰ってこなかったら許さないからなぁっ!!!こんなのっ!!!…」
そう言って花を叩きつけようとする。
しかし、踏みとどまる。
「ここで待っててやる。。」
シルビアはキラを見上げそういった。
肩を震わせながらも凛とした声で。
急なことで状況がわからなくなっていた。
────がこれはこれで…。
「……………………ハハッ。」
突然キラが頭をガシガシといきなり撫でる。
「ちょっ…何すんのよ?!」
「おい……………」
「………おい、シルビア……。」
「ふぇっ?!……」
突然名前を呼ばれ、顔を真っ赤にする。
目が合う。
しかし、ふいっと目をそらし前を向くキラ。
「…えーっとだな……。」
そう言うと頭をガシガシとかく。
「もしお前がだな。………」
少しの静寂が流れる。
「……もしお前がリサードにフラれたら………。しょーがねーから、俺がもらってやるよ……。」
表情は見えない。
それを聞いてさらに動揺し、顔を真っ赤にするシルビア。
「リサードのことなんか…」
そう言ってそこで言葉をやめるシルビア。
「…………………………ふふっ……。」
途中で言葉をやめ、笑う。
「………どうだろうね…。」
そう言うと大袈裟に手を挙げ、キラが話し出す。
「フラれるに1票!!…」
シルビアはそれを見てまた静かに笑う。
「………やっぱサイテーだね。キラは…。」
「……まあな。」
そう言うと、手を上げキラは歩き出した。
後ろから「頑張って!」と声が聞こえる。
それを聞き、さらに足を早め、「おう!」とだけ答える。
ケッ。俺もまだガキだな…。
しばらく歩いたところで立ち止まる。森の木が少なくなっていく永遠と草の生えている平原に出る。 遠くに山が見え、大きな月が平原を照らしている。
そして、しばらく月を見たあと、大声で話しかける。
「おい、隠れてないで出てこいよ!」
すると、どこからともなく声が帰ってきた。
『お前1人か?…』
「俺が2人に見えんのか?」
そう言うと空からドーンという音を立て何者化が降ってくるように落ちた。
砂煙が立ち上がり、強い風が起きる。
すると、砂煙の中からカボチャの仮面をしたスーツの魔獣が現れる。ほっそりとしており、立ち姿は右に重心をかけポケットに手を突っ込んでたっている。
そして、キラを指さす。
『お前ほんとに1人かよ。わざわざ殺されにありがとうなぁ?』
そう言って笑い出す魔獣。
ニヤニヤとして体をくねらせる。
「バカ言ってんじゃねぇよ。」
そう言うとニヤッと笑うキラ。
「俺のトラップに引っかかるバカのくせしてよ。その体お前には持ったいねーんじゃねーの?」
そう挑発するとピタッと笑い声がやむ。
『へぇー、この体が借り物ってことよぉ…よく知ってんなキラ君よぉ…』
そう言って大きな鎌を取り出す。
「知らねーのお前だけだぜ、パンプキン野郎。」
キラもインベントリから愛剣サイレントカースを取り出し構える。
そして、また笑い出すパンプキン・ロード。しかし、その笑い声は長くは続かなかった。突然笑い声が止まる。
『いちいちカンに障るから死ねやぁ!!』
そう言って走り出そうとするパンプキン・ロード。
しかし、すぐに、足を止める。
ゴゴゴゴゴッ────
キラの周りに紫色のオーラが纏われ。
毒々しい殺気が張り詰める。
コイツ………。
「どうしたよ?かかってこねぇのか?」
キラがそう言って挑発するとハハハハハと笑い出すパンプキン・ロード。
『それがテメェの本気って奴か。』
「どうだろうなぁ?」
そう言って、鎌と剣が衝突した。
金属音が月明かりに照らされた草原で激しい音を鳴らした。
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シルビアは意外と出来る子ですよ。
ちなみにエイプクイーンとパンプキン・ロードは現時点で見るとエイプクイーンの方が強いです。




