緊急招集
翌日の朝
「もう行ってしまうのシオンお兄ちゃん」
「まだ昨日来たばかりなのに」
「仕事だから仕方ないよ。まあ悪者をたくさん倒してくるよ」
「本当に!約束だよ」
マリーとローズに約束する。
「二人ともどうか無事で帰ってきてくださいね。イリア、シオン」
「はい、お母様。行ってまいります」
まさかアレックス兄が言っていた噂が本当になるなんて。
日本は戦後70年も他国と戦争をしてこなかったいうのに。PKOなどの人道支援などの平和維持活動はしてきたが。こっちの世界で戦争になるなんて下手をしたら死ぬ確率が高いではないか。つまり死ねばこの異世界生活が一瞬で終わる。
「おーい」
歩いていたら向こうから手を振りながらこちら呼ぶ人がいる。
「久しぶりフラウちゃん」
「お久しぶりです。イリアさん」
この人も招集命令が掛かったんだな。それも当然のことだな同じ部隊なんだから。
「ベルの街までは同じですね」
「私は王都行きだからね。ところでフラウちゃん。うちのシオンとはどこまでいったのかな」
「な、何言ってるんですかイリアさん」
「とぼけなくてもいいのよ。えいっ」
「きゃあ//どこ触っているんですか。止めてください」
この姉は俺の目の前で何やってんだ。
「ほれほれ。ここかな」
「あ……ん!だめ」
くそなんて目に毒なんだ。この姉はいつからこんな人になったんだ。俺の知っている姉は強くて凛々しい姿なのに。
「そこまでです」
「仕方ないわね」
もっと早く止めておけば良かったかな。フラウは大丈夫かな。
「ハァハァハァ」
だめだ。ダメージが大きかったようだ。
「ではここでお別れですねイリア姉」
「じゃあね二人とも。フラウちゃん次も会うの楽しみにしてますよ」
ここからイリア姉の近衛師団は王都に駐留しているので。彼女は王都行の馬車に乗る。
「できるなら会いたくないです」
アハハハ。あの人嫌われてやんの。
ここから6時間ぐらいかけてノースティノープルに行くのが地獄の時間である。
「うぇ~。気持ち悪い」
「あの時、早く助けてくれなかった罰だよ」
やれやれようやく到着か。昨日出たばかりなのにもう帰ってきた。羽柴秀吉の中国大返しより早いとんぼ返りだよ。それにしても街の中は軍の関係者があちらこちらでバタバタ動き回っている。
「ただ今、戻りました。中隊長」
「戻りました」
「休暇に入ったばかりなのに。戻って来てもらって悪いね」
中隊本部内も休暇だった者が休みを返上でバタバタしている。
「今から6日前に同盟国であり隣国のクラリスに帝国が大規模な侵攻を開始した。我々は同盟により援軍を派遣することが決まった。」
なんで戦争なんかするのかね。あれか自分の野心とか偉大な野望のためとか戦争は政治の道具だみたいな感じで起こしているのかね。それならこの戦争で亡くなる人の気持ちを考えたことあるんですかと言ってやりたいけど。絶対に無理だな。あと6日でここまで情報が伝わるのか。王国騎士院で聞いた時より情報の伝達が早いな。
「あの中隊長。第6師団も援軍として派遣されるのですか?」
「もちろんそうだ。我々は準備が整い次第。マキシムで本隊と合流して陸路でクラリス領の北部にあるコバルトに向かう」
「あの質問をしてもよろしいですか?」
中隊長のリックがもちろん構わんよという顔をしている。
「海に面しているのですから陸路からでは無く海路からの方が楽で早く移動ができると思うのですが」
「それはそうなのだが。陸軍と海軍は仲が悪いだろ。だから誰も海軍に話をしに行くのが居なくてさ。」
なんだそれ。つまり上の連中は誰も海軍の方とお話すのが嫌だから。わざわざ陸路に決めたのか。
「なら中隊長が行けばよろしいのでは?」
「ほら俺は中隊長の仕事が忙しくて行きたいのはやまやまなのだが行けなくてな」
あんたも話に行くのが嫌なだけだろ。
「では、シオン准尉とフラウ准尉。君たち二人に海軍との話をしてくるように」
「ええ!?私も行くんですか」
「ほら海軍に友達も居るんだろ。頼むよ」
「分かりました。話をしに行きます」
厄介事を押し付けられたわけだ。でもこの話がまとまらなかったら陸路での移動になってしますから重要な任務であることには変わりない。
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