横領
「さぁ、いらっしゃい。朝に取れたての魚だよ」
赤い魚や青い魚などの大小さまざまな魚が並んでいる。王都では海から離れていたため新鮮な海の幸は届くまでに腐ってしまうため。川魚か干物などしか置いてなかったが。ここは取れたての鮮度が良い魚介類がたくさん置いてある。
この街は、いやどの街もそうだが。朝から街の通りにはたくさんの店が並びいろいろな人がいて活気があって見ているだけで楽しい。だけど他とは違って海があるので小さな漁船から大きな帆船の貿易船が港に停泊している。
あんな大きな船を使えば牛や馬で陸地で輸送するより絶対に楽だよな。1日中風さえ吹けば勝手に進んでくれるしたくさんの荷物も運んでくれるからいいな。陸地でも走る船でもあれば。いや、車かトラックがあれば運ぶ量も時間も短縮出来るのに。空輸の飛行機やヘリならもっと楽で早くできるではないか。
そんなことを考えながら街をぶらぶらと街を見て回っていた。
何か朝ごはんでも食べに行こう。
看板が鶏のような絵が書いてある。この食堂にしよう。食堂の中にはたくさんの人がいて海軍の水兵もいるがおれが陸軍の兵士だということは絶対にばれることはない。なぜなら私服でいるからだ。自分の服のセンスも悪くないものだと思うのだが。
さて何を食べようかな。メニューに載っていいるのは魚料理ばかりだけどな。つまり魚料理を選べということだろうが。ここはあえてかぼちゃスープとパンという日本でもある料理にする。
かぼちゃスープに硬い黒パンを付けながら食べるが味はかぼちゃの味だ。
「頼む。儂に酒をくれ」
「何言ってんだじいさん。金がねえのに出せるか。さっさと帰ってくれ」
あのじいさんアル中だろ。
「ちょっとだけでいいんじゃあ。ほんの少しだけでいいから」
「いい加減にしろよじじい」
じいさんが店からつまみ出されていく。
「あの、大丈夫ですか」
「なんじゃい若いの。無様な姿を笑いに来たのか。ならどこかに失せるがよい」
このじじい。せっかく心配して声をかけたのに失せろだと。
「そうですか。せっかくお酒でも飲みながら話をしようと思っていたのですが」
「なんじゃと。すまんかった、若いのそう怒るでない。この老いぼれを許してくれんか」
「すいません。この人にお酒を1つ」
「やっぱり酒はうまいの。そちの名前は?」
「僕はシオンです」
「シオンと言うのか。酒を奢ってくれて礼を言う。儂は魔法を研究しておるモルトケと言う」
「モルトケさんですねよろしくお願いします。どんな魔法を研究しているのですか?」
「そう急ぐではない。まず儂は魔力が少なく魔法も多くは使えなかった。そこで魔力がなくても発動できる魔法と優れた魔法技術を持っていたとされている古代プロイネシアの魔法を研究しておるのじゃよ」
「魔力が無いのに魔法が使えることなんて出来るのですか?」
「ある文献にはプロイネシア人は膨大な魔力も持つ人なのだが。魔力の使い方を知らず魔法が使えなかったらしいがと書かれておったが。彼らは魔力を消費せず暗闇を光で照らすことができたり。不死の病を直せたり出来たと書かれておる。このことから儂は古代プロいネシア人は魔力を使わずに魔法が使えていたに違いないと思い研究しておる」
あれだろ単なる都市伝説みたいなものではないのかな。
「儂はその本からバネなるものを発明して。弩の元を作った偉い人なのじゃあ」
分かった分かったから。そろそろ行くか。
「モルトケさんいい話を聞けて良かったです。私は行きますね」
じいさんの自慢話を聞くぐらいなら。心配して話を聞かなかったら良かったな。
うん?あそこに見えるのは輜重科の兵士とあの私服の人は誰だろ。あの路地に入ってどこに行くんだ。
こんな人目のつかないとこで・・・兵士の奴、なにか袋に入ったを受け取ったぞ。
「旦那これが今回の金です」
袋から取り出して確認しているのは金貨か。
「確かに。こちらが物だ」
荷車になにか大量に載せてあるのは。まさか軍の物。
「確かに塩は受け取りやしたぜ。では失礼」
これは横領の現場を見てしまった。
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