公爵家のご令嬢
「おうオヤジ、なんでもいいから飯を持ってきてくれ」
「へい、かしこまりました」
海軍の水兵3名が飯の注文をする。その1人がこっちを見て目が合う。
「おっ、見てみろよ。陸軍の連中がいるぜ」
面倒な奴らが来たな。
「本当だ。それに騎士の落ちこぼれもいるぞ」
騎士の落ちこぼれとは誰のことだ?
「よお、騎士の落ちこぼれさん。海軍の縄張りで何やってるんだ」
「くっ」
え?オリガ中尉が落ちこぼれの騎士なのか。
「お前らどっかあっちに行ってろよ」
「なんだやるのか小娘」
一色触発の雰囲気になってる。やばい状況だ。
水兵の1人の肩に手がかかる。
「お前たち止めないか」
「誰だよ、邪魔する…」
「失礼しました」
3人はその女性を見るや、直立不動の見事な敬礼をして立ち去る。
「申し訳ございませんでしたあの者たちが面倒をかけてしまって」
この人は誰だろう。見るからに海軍の白い服を着ているので士官だと思うけど。士官服より白い銀髪のショートの髪の毛をしていてきれいな人だな。
「助けていただきありがとうございます。ターニャ様」
「陸軍とはいえ上官なんですから様付けなんてよしてください。オリガ中尉」
このターニャさんはどこかの偉い人に違いない。
「あのすみません。中尉、こちらの方は」
「この方はターニャ・イリューシン准尉だ。公爵家の方だ」
思い出した。この街とこの一帯を治めている公爵家の名前の人だ。だけど身長が小さいな小学生みたいな人だな。
「お久しぶりですわ。お二人さん」
この声と口調はどこかで聞いたことがあるな。
「あーーー。エイミーだ」
「おい、シオン准尉知り合いか?」
「はい、王国騎士院で一緒だった友達です」
「こらーー、私を無視するなー」
・・・この人、こんな喋り方が本当の姿なのかも知れない。
第8倉庫
「ひー、なんて量だ」
輜重1個分隊の10名と共に棚卸し作業をしています。
塩タラの瓶が1つ、2つ、3つ、4つ・・・13000個。5日分の予備食が明らかに足りない。
その後、何時間を掛けて数え終わった。
8番倉庫の貯蔵されている予備食料のリスト
3700名分の塩タラ5日分18500個
210名分のライ麦袋60kg5日分27袋
210名分のワインボトル3ℓ2日分420本
棚卸しした結果
塩タラ11800個
ライ麦袋22袋
ワインボトル300本
書類上書かれている数より少ない。ずさんな管理体制だな。明らかに貯蔵されている量の物資が足りない。すぐに中隊長に報告してどうにかして貰わなくては。
中隊長の部屋の近くでキリル中尉と出くわした。
「准尉、棚卸しは完了したか?」
「はい完了しました」
「では書類を渡したまえ」
「中尉、8番倉庫に貯蔵されていた食料があきらかに足りませんでした」
「どれどれ。・・・本当だな。この件は私から中隊長に報告しておこう」
「はっ。では、失礼します」
「中隊長にも彼のことを相談しなくてはな」
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