私は笹木ユイ
「とにかく、口寄せ獣は主と認めない人間、忍者には害をなす可能性があるから、むやみに近づいちゃだめだよ」
ショウが口寄せ獣の説明を終えると、落ち着きのない教え子達に目を向けた。
一人怪しい生徒を見つけ、何時動き出しても対応出来るようにと落ち着きがない様子だった。トンボは一人落ち着いた様子で生徒達が作る円の周りを歩いていた。
「じゃあ、今からこの金色の鹿に乗りたい人、特別に乗せてあげるよ」
ショウの言葉に生徒達は目を輝かせ、いっせいに手をあげた。
「え~! 先生、私も乗りたいです!」
ユイはショウに飛びついた。
「ダーメ。ユイはに・ん・む」
ユイの背中をポンポンと叩き、任務に戻らせた。途端、ショウの足元に数本のクナイが投げられた。
ユイたちは投げられたクナイが投げられたと思われる場所を探したが、クナイはあらゆる方向から投げられたため特定不可能だった。
「じゃ、俺は二匹の守護を固めるから、後はよろしくね」
ショウはパニックに陥った生徒達をなだめ、少し離れた所から見学するように指導した。
「敵は一人じゃなさそうね」
地面に突き刺さるクナイをすべて拾い集め、リュックの中にしまうと、手裏剣を取り出した。武器の登場に生徒達はオォーと歓声を上げた。
「僕が確認した数は三人。生徒の軍から離す」
「そうだな」
トンボの合図とともにイツキが校庭の隅に移動した生徒たちの目の前に立ちはだかった。
「おい! 敵さん出て来い! 隠れるなんて格好悪いぞ!」
「うるさい。敵はこんな挑発で出てこない」
じゃあどうするんだ? と目で聞くイツキにトンボはため息をついた。
「煙玉で目をくらまし、一人一人を引っ張り出す」
「お前にしては、大胆な作戦だな」
荒縄で縛られた三つの煙玉のうち一つを取り出し、地面に強くたたきつけた。しかし、これを待っていたのか、煙を影に、クナイや手裏剣が大量に飛んできた。
それを見た小鳥は駆け出し、サッと巻物を広げた。
「防御壁」
小鳥達の目の前まで迫っていた武器が小鳥によって現れた壁にぶつかり、金属音を響かせながら弾かれた。
小鳥は一息つくと、体勢を整え、巻物をしまった。
「カッコいい!! さすが小鳥。クール!」
「それより、敵」
ユイが小鳥に抱きついている間に、トンボとイツキがクナイが放たれた場所を突いた。
「我らの相手が犬井ではなく、忍者生というのは物足りん。が、少しは遊びになる」
あごひげを蓄えた三十代の忍者を挟むようにして、まだ若い忍者二人が手裏剣を構えた。
「遊びって、失礼しちゃう」
「ムカツク」
「最近の大人はそうなんじゃないか?」
トンボ以外は好きなように呟いた。
「なめられたものだ。せいぜい後悔するのだな」
あごひげ忍者は忍刀を引き抜き、小鳥に向かって突進してきた。小鳥も負けじと一瞬で忍刀を抜いた。
「うぐ」
力の差に押され、仰け反った状態で刃を止めた。しかし、バランスを崩し、尻餅をついた。
「女の子に手を出すなんて、ジェントルマンじゃないよ!」
やはり地面に散らばった忍具を集めていたユイは、叫びながら手当たりしだいに忍具を投げ始めた。それは手裏剣だったり、クナイ、ナイフ、まきびし、インク、大型手裏剣、などなど、とりあえずリュックに詰めてきたものを投げた。
あごひげ忍者は止まらない攻撃に標的を変え、両手にクナイを持ち、飛んでくる忍具を弾きながら近づいてきた。
「あごひげヤダ~! なんか野蛮人に見える」
忍具を使い果たし、今度は膨らみのあるベルトポーチに手を突っ込んだ。
「我を忍刀一本で倒せると思ったか?」
「私は忍具術が専門。そこらの忍者とは手さばきが違うの」
ベルトポーチから折りたたみ式の刀を取り出し、右手に忍刀、左手に刀を構えた。
「笹木家、家宝の銀竜牙」
目の前で構えるユイから視線を離さず、目の端で二人の部下の様子を伺えば、トンボ、イツキ、小鳥で相手をしていた。小鳥は式術を次々と繰り出し、壁や火の玉、水の竜を作り出していた。
「子供の癖に、良くやる。だが、勝てると思うな」
「私達の仕事は護衛。死んでも守るのが誇り!」
ユイは勢いをつけてあごひげ忍者の懐にもぐりこみ、短めの忍刀を腹めがけて振った。しかし、服の下に着ていたメイルに弾かれた。
あごひげ忍者も負けじと毒を塗った忍刀でユイを狙い、力に押され後ずさるユイを追いかけた。
「護衛忍者が聞いて呆れるな。このような未熟者に、我らが負けるはずないだろう」
馬鹿力に刃こぼれした刀を放り投げ、三本のクナイを取り出した。
「次々と小賢しい。一体どれだけ忍具を持てば気がすむ?」
「敵に勝つまで」
ユイはクナイを死角から放った。クナイはメイルを貫き、わき腹、腰、肩に突き刺さった。あごひげ忍者は顔を赤くさせ、無駄についた贅肉をプルプルと揺らした。
ユ:今回は私がメインでした~!!
シ:次はないんじゃない?
小:次、私
イ:いや、俺だね
ト:僕




