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函館の空中戦が、終わってから一カ月ほど経った。町には梅雨空のうっとうしい空気が、人々にまとわりついている。
個々の所、事件もないので、今のうちに休んでおけと言う、隊長山桐の指令で、WEF-Japan隊員たちは交代で休暇を取っていた。
そこで、瑠璃は久しぶりに、東峰と過ごしていた。
「何だかさぁ、久し振りなんだから、もっと映画に行くとか、ドライブに行くとかの方が、良かったんじゃないの?
ただ、銀座の街中をぶらぶら歩いたり、コーヒー飲んだりするだけなんてさ……ん、瑠璃、どうしたの?」
東峰の言葉に、瑠璃は小さく頷いた。
梅雨の晴れ間の銀座の街は、日中の陽光を浴びて、活気に満ちていた。雨上がりのアスファルトは乾き、街路樹の緑が鮮やかに映える。高級ブランドのショーウィンドウは、太陽の光を反射してきらめき、行き交う人々は、その華やかな雰囲気に溶け込みながら、思い思いに街を楽しんでいる。
しかし、瑠璃の心は、その賑わいとは裏腹に、どこか落ち着かない。
「うん、ちょっとね……」
実は瑠璃は、街中を歩きながらも、背中に視線を感じるような気がしていた。瑠璃の背中に、誰かの視線が纏わりついているような、そんな錯覚に囚われる。
人の背中と言うのは、思ったより人の視線を感じるものなのだ。
二人は、老舗の喫茶店に入り、窓際の席で静かな時間を過ごした。香ばしいコーヒーの香りが漂う中、瑠璃は時折、窓の外に目をやる。
そして、好きなファッションブランドの店にも立ち寄ったが、どうも瑠璃は、ことあるごとにきょろきょろしてしまう。
東峰は、瑠璃の落ち着かない様子を訝しげに見つめた。
「一体、どうしたんだよ、瑠璃」
「ううーん、なんだか誰かに見られているような気がするのよね。」
その時、瑠璃のスマートフォンが、ブルッと震えた。
「すいません」
瑠璃は、思わず口走った。
「ファイターマン!
あなたじゃないわよ!」
東峰は、瑠璃の突然の言葉に不思議そうな顔をする。
「は?ファイターマン?」
「あ、いえいえ、なんでもないわ。いひひ」
瑠璃は、慌ててごまかした。
その時、瑠璃の顔に、何かを思いついたような閃きが走った。
「やっぱり、東峰君、ドライブにしましょう!」
「は!?」




