さようならラック、出来れば今直ぐ忘れたい(四章終了)
ファイナリア運搬洞に到着した僕達だけど、いきなり魔物に襲われてしまう。
幸運なのかわからないが回避することに成功した。
しかし馬を失い、徒歩移動した宿で改築工事中だと宿泊を断られてしまう。
ファラさんが交渉してロビーでの宿泊を許可された。
ロビーだということで料金は格安にしてくれたのだけど、凄く上等な料理を出された。
ファラさんはともかく、僕とミアさんは全力全開で味わい食っている。
「ごちそうさま」
「サまー!」
ファラさんとミアさんも満足しているみたいで。
「ごちそうさまでした~!」
僕も満腹だとお腹を叩いた。
そして少々の装備の手入れをして就寝の準備をする。
椅子を並べてベッドにすると、何の苦もなく眠りについた。
馬車でも寝れるんだから、このぐらいどれ程のことでもないのだ。
「……オゥイ、相棒よぅ、ちょっと用事があるんだ。起きちまえよ、起きちまえよ……」
そして真夜中、僕は小さく呼びかけられる声に反応して目を覚ました。
この声はラックのものだ。
騒がれて寝れなくなっても面倒だから、僕は二人を起こさないようにラックを手に持ち暗い外へ移動した。
「……なんですかこんな真夜中に、背中でも痒いんですか?」
僕はラックに要件を聞くのだが。
「俺っちに背中なんてある分けねぇだろう。そんなことより、昨日もそうだが、相棒のへたれっぷりは目にあまるものがあるぜ。女が裸を見せてるんだぜぇ、あの姉ちゃんは誘ってんだよ! 男として行かねぇ訳にはいかねぇだろう! そこでだ、相棒と別れる前に、俺っちが夜這いのレクチャーをしてやろうと思ってな」
一応夜中だからか小さな声で話してくれているようだが、内容として僕の好みではない。
「要らないです、寝といてください」
聞く意味もなかったと僕は断った。
「良い事を教えてやるぜ相棒ぅ、やってみなくちゃ分からないってなぁ、まず胸をこう……」
しかしラックは聞いてはくれない。
「だから要らないですって、放っておいてください。僕とファラさんはそんな関係じゃないんですから!」
「オィオィ相棒よぅ、大声出したら迷惑ってもんだぜぃ。姉ちゃんに聞かれてもしらねぇぜ、お前があのファラって姉ちゃんにラブラブだってことはなぁ、ギャハハハハ!」
ラックは宿にいるファラさん達を、起こそうと大声でない事ばかり言ってくる。
僕は思わず遠くに放り投げたけど、これの運搬作業だと思い出し剣を拾った。
もしそれがなかったら、この場で地面に埋めておきたいところだ。
何か口を塞ぐ方法でもないかと考えていると。
「……へ~、クーって私をそんな目で見ていたのね。まあ仕方ないわよね、あんただって男の子なんだし」
ファラさんが声を聞きつけてやって来てしまったようだ。
別にそれで喜んでいるようにも見えないし、照れている様子もない。
「ちちちちち違いますからね! 今のはラックが勝手に言っただけで……」
僕は慌てて否定するが。
「でもそういうのはやめておくわ、だって趣味じゃないんだもの。そうね、あんたがもう少し男らしく成ったら考えても良いわよ? 少しぐらいなら待ってあげるからがんばりなさい」
「ウゴハアアアア……」
ファラさんからは断られ、僕はよく分からないダメージを心に受けた。
「ギャアアアッハハハハハ!」
ラックからはこれを望んでいたかのように大笑いされている。
もうポキっと折ってやりたい。
「ほら、要件が済んだらロビーに帰るわよ。夜中に遊んでるんじゃないわよ」
「あ、はい」
僕はファラさんに手を引かれ、ロビーへと戻って行く。
「オイオイ、イイ感じじゃねぇのぉ? 相棒よぅ、アッヒャッヒャ!」
「煩いです」
結局僕は、この変な剣に振り回されるばかりである。
ロビーに戻ると明日のことを楽しみに眠りにつき、そして朝。
「ヨメ、オハヨウダぞ!」
「クー、起きなさいよ、出発の時間よ」
二人の声で僕は目覚めた。
どうやら寝すぎてしまったらしい。
「……ああ、おはようございます。今準備しますね」
僕は欠伸をして上体を起こすがまだボーっとしている。
「アッヒャッヒャ! 俺っちの門出の日だ、シャキッとしろよ相棒よぅ。ヒャ―八ハッハ!」
ラックの声が耳に響く。
強制的にたたき起こされた気分だ。
「準備は終わってるわよ。ここを越えたら目的地だから早く行きましょう」
僕はファラさんから差し出された手を握り、椅子のベッドから体を起こした。
なんだか昨日から優しい気がするけど、同情されているのだろうか?
今更気にしても仕方がないし、何時も通りの日常を始めた。
「シュッパーつ!」
ミアさんがピョンと跳び上がり、僕達は歩き始める。
長い洞窟を三人で進み、目的地のプラ―トン運河町が見えてくる。
町の前にはギルドの旗が立てられ、テントが作られていた。
きっと僕達を待ちわびているのだろう。
だからといって走るわけでもなく、その場所に向かって行く。
ん? そういえばラックがやけに大人しい。
もしかしてここは魔王の使いが残っているエリア内?
この剣と一緒にいたせいか、嫌な予感がビンビンしていくる。
しかし大丈夫、今はミアさんが手に持って運んでいるから。
僕は平静を装い、待っていたソワソワしている方の男の人に話しかけた。
「こんにちは、ローザリアのギルドからお届け物です」
「は、はい、予定通りですね。では書類にサインと物品をお渡しください」
僕は男の人から書類を手渡され。
「ミアさん、渡してあげてください」
書類を書きながらミアさんに指示を出す。
「ウに」
ミアさんは男の人に剣を渡すと。
「確かに受け取って……」
「イヨゥ、俺っちデスラァック、こんごと宜しくサンキューちゃ~ん! 元相棒よサヨウナラァ、この相棒と仲良くやるぜイェア!」
無事に契約が成立したようだ。
僕は懐からこの剣の資料と文献を取り出し、書き上げた書類と共にその男の人へ手渡した。
「その剣不運莫逆デスラックって言って、持つ者に不幸を与えるとか言われる剣なんですよ。この資料を渡しておきますからがんばってください。応援していますよ! イヤッホー!」
「えええええ!?」
僕の言葉に男の人は驚いている。
「あっ、洞窟の方に行くと契約が解除される仕様なはずですから、邪魔になったら試してください」
僕はそう言ってファラさんとミアさんの手を引き、ダッシュで洞窟へ引き返した。
こうして剣と伝説はキッチリ引き継がれ、また新たなる伝説が始まってゆく。
きっとあの男の人は色々と不幸な目に遭い、よく分からない内に戦いに巻き込まれて、もしかしたら勇者と呼ばれる存在になるのかも知れない。
しかし僕達には関係のない話だ。
それはそちらのギルドでやってください。
「ちょっと、町にはいかないの?」
「行きません。また巻き込まれたら嫌ですから!」
「ヨメ、ワタシ、ハラヘり!」
「あの宿の方が美味しいですから大丈夫です! 走って行けばいい感じにつけるはずです!」
「ワカッたー!」
僕はあの人の今後を憂いながら、ローザリアへと戻って行った。
クー・ライズ・ライト (僕)
グリス・ナイト・ジェミニ (双子の男の子)
リューナ・ナイト・ジェミニ(双子の女の子)
ミア・ミスト・レイン(元賞金首)
アリーア・クロフォード・ストラバス(管理お姉さん)
グリア・ノート・クリステル(お姉さんの相棒)
コーディ・フル・フラグメント(獣使い見習い)
ランズ・ライズ・ライト (父)
ファラ・ステラ・ラビス(護衛の人)
フェイ・ステラ・ラビス(ファラの父親)
スラー・ミスト・レイン(僕の上司)
ディザリア・エルス・プリースト(破壊教)
シャイリーン・ブラック・ダイヤモンド(防御職の人)
ナオ・ラヴ・キリュウ(リセルの弟でディザリアのチームメイト)
デッドロック・ブラッドバイド(冒険者)
ミカグラ・ツキコ(デッドロックさんの相棒)
リセル・ラヴ・キリュウ (ローザリアのギルド受付)
ディーラ・ストライウス (ミトラの町のギルド員女)
デルメオ・ザック・デルタ(ミトラの町のギルド員男)
フデ = インフェニティ―・ダーク・ロード・ウミノメ・キング・ジョージ四世ファイナルモード・ディスティニー(没落魔王)




