幸運なんて続かないもの
ラックを運搬するために数日の旅に出た僕達は、商業都市クロノスで食事をしていた。
注文を済ませて食事を終えた時、僕は店員さんから明日の無料チケットを貰った。
でも明日はもう出発しているしと伝えると、代わりに飴玉が手渡される。
まあそれからも微妙な幸運が続き、僕達は普通に道中を進んだのだった。
このファイナリア運搬洞とは、昔ファイナリア運輸という会社が山に開けた洞窟の名前だ。
運搬洞というだけあり、馬車が数台通れるほど広い。
所々ランタンを設置してあり暗くもなく、馬に乗っているだけの僕達でも楽々移動できるのだ。
で、ここを抜けると目的地であるプラ―トン運河町に出ることができる。
しかし山を抜けるだけあって結構長く、途中で泊まれる宿まであるらしい。
今回はそこに泊まる予定なのだけど。
「どああああああああ!?」
僕は前方の光景に驚いた。
どうやら着く前にもうひと騒ぎあるらしい。
「アーミーボア!? 今まで出なかった分大量ね!」
「テキ、キたー!」
前方から大量の軍隊猪が駆けて来ていた。
直ぐに逃げなければって、ここには逃げ場がない!?
とにかく何か弱点はないかと、読んだ事のある資料を瞬時に思い返す。
名前 :アーミーボア
レベル:16
HP :120
MP :0
力 :92
速 :68
大 :150
危険度:3
技 :突き進む。
考察 :突如現れる軍隊猪。
基本的に群れで行動し、多くの物をなぎ倒して真っ直ぐ進む。
一体一体はそれほどでもないが、十体以上の群れで会うことが多い。
大群は真っ直ぐしか進まないので回避推奨。
稀に数体はぐれて変な方向へ行ったりもする。
注意 :逃げられない場所で出会ってしまったなら防御するしかない。
……なんかあんまりいい情報を思い出せない。
こんな広い洞窟なら魔物が入り込むこともあるんだろうけど、僕達が来たタイミングで来るとか幸運はどうなったの!?
「アッヒャッヒャ! 戻って来る幸運が無くなっちまったのかなぁ、どう思うよ相棒ぅ、ウッヒャー!」
なるほど、ラックの言葉通りに僕の幸運返還が終わったのかも知れない。
いやでも返還が終われば僕の運は通常に戻ったはずだ。
「あれ、じゃあ僕の運ってそんなに無い?」
「馬鹿言ってないで逃げるわよ!」
ファラさんから撤退が告げられるが、馬の旋回が間に合わない。
アーミーボアが僕達の乗っている馬をのみ込もうとしている。
馬は耐えられず沈み始めた。
「ほああああああ!」
このままじゃ不味いととっさに跳びあがったのだけど、丁度よくアーミーボアの背中に乗ってしまったようだ。
他の二人は無事かと見ると。
「シシニク、クイタい!」
ミアさんはアーミーボアの背中に乗ってヨダレを垂らしている。
「ここで倒しても持って行けないわよ」
ファラさんも僕と同じ状況のようだ。
偶然とは違い狙って飛び乗ったのだろう。
でもこのままでは目的地からドンドン遠ざかってしまう。
まずここから降りなければならないけど、両側は壁で、後ろには相当数のアーミーボアが続いている。
「後ろは……ダメね、壁際に跳びましょう。運が良かったら踏み潰されずに済むわ。行くわよミア」
「ワカッたー!」
ファラさんとミアさんは、アーミーボアの背中を踏み壁際に跳んで行く。
「クー、あんたも自分で何とかしなさい!」
僕も覚悟を決めて、乗っている背中から足を踏み出した。
タイミングよく次の背中を足場にすることが出来たが。
「滑らないでえええええええ!?」
足が獣の毛でつるっと滑って、スッ転んだ。
揉みくちゃになる事を覚悟したのだけど、僕は横を通ったアーミーボアの背中の上を滑っていく。
そのまま動きではね上げられ、次々に背中の上を滑り抜ける。
最後には真横になって勢いよく壁に激突したのだった。
「痛い……」
倒れて動けなくなっていると、鼻先すれすれにアーミーボアの足が何度も通り過ぎていく。
全然助かった気はしないけど、どうやら助かったようだ。
最後の一体が僕の横を通り過ぎて行く。
「ギャッハー! 超幸運だなぁ相棒、普通はそうはならねぇぜぇ。ファッヒャ―!」
遠くからラックの声が聞こえて来る。
躊躇っている間に結構距離が離れてしまったようだ。
「歩いて行こうっと」
僕は歩いて待っていた二人に追いつくが、乗っていた馬はもう使えないようだ。
弁償という文字が過るけど、これは明らかに逃げられなかった事故だし、きっと大丈夫なはずだ。
うんダイジョウブ、ダイジョウブ。
「徒歩だと三時間ぐらいはかかるかしらね? 多少遅れるけど問題はないかしら」
「ワタシ、アルくー!」
二人共背伸びをして体の鈍りを発散しようとしている。
「そうですね、じゃあ行きましょうか」
「ウッヒャッハー!」
まあそのぐらいの徒歩移動なら何時も通りだ。
特に苦も無く歩き続け、やっとのことで宿に到着した。
道の横に建てられているようで、アーミーボアの被害もなさそうだ。
「見る限りすっごい良さそうな宿ですねぇ」
僕は外観を見上げて感心している。
昨日泊ったギルドの宿と違い、こちらはちゃんとしているようだ。
外壁は毎日磨かれているようにピッカピカの煉瓦造りで、まるで新築に見える。
もしかしたら本当に新築されたのかもしれない。
「洞窟の宿はここしかないし、結構儲かっているんじゃないの?」
ファラさんの言うように儲かっているはずだ。
ここは運搬洞と言われるぐらい荷物を運ばれる場所だし。
そうでなければこんな立派な外観にはなっていないだろう。
「ふ~ん儲かってるんですか、じゃあ料理にも期待できそうですね」
「メシー!」
僕の発言でミアさんが喜んでいる。
受付を済ませようと中に移動したのだけど。
「おう、すまねぇなぁ、うちは今改修工事中なんだ。何度も現れるアーミーボアの奴等が宿を壊しちまったんで勘弁してくんな。まっ、ギルドに依頼を出してあるからその内退治されると思うけどな」
宿の親父が言うには、あの魔物が頻繁に出現していたらしい。
ここに泊まれないとなると、野宿か夜間進行するしかないが。
「一室でいいんだけど、開いてる部屋はないの?」
ファラさんが宿の親父に聞いてみると。
「わるいな、大工連中と常連で埋まっちまってるんだよ。どうしてもっていうならロビーでも使ってみるかい?」
「それでいいわ、野宿よりは随分ましだもの。もちろん食事は出してくれるのよね?」
「金を払ってくれるなら当然出すぜ! 美味い料理をご馳走してやらあ!」
ファラさんが上手く交渉してくれたようだ。
クー・ライズ・ライト (僕)
グリス・ナイト・ジェミニ (双子の男の子)
リューナ・ナイト・ジェミニ(双子の女の子)
ミア・ミスト・レイン(元賞金首)
アリーア・クロフォード・ストラバス(管理お姉さん)
グリア・ノート・クリステル(お姉さんの相棒)
コーディ・フル・フラグメント(獣使い見習い)
ランズ・ライズ・ライト (父)
ファラ・ステラ・ラビス(護衛の人)
フェイ・ステラ・ラビス(ファラの父親)
スラー・ミスト・レイン(僕の上司)
ディザリア・エルス・プリースト(破壊教)
シャイリーン・ブラック・ダイヤモンド(防御職の人)
ナオ・ラヴ・キリュウ(リセルの弟でディザリアのチームメイト)
デッドロック・ブラッドバイド(冒険者)
ミカグラ・ツキコ(デッドロックさんの相棒)
リセル・ラヴ・キリュウ (ローザリアのギルド受付)
ディーラ・ストライウス (ミトラの町のギルド員女)
デルメオ・ザック・デルタ(ミトラの町のギルド員男)
フデ = インフェニティ―・ダーク・ロード・ウミノメ・キング・ジョージ四世ファイナルモード・ディスティニー(没落魔王)




