やっぱり幸運かもしれないが僕にとってはそうでもない
僕はボーナスが貰えると舞い上がっている。
そんな僕にスラーさんからの頼みがあった。
この剣をもって別の町へ運べという。
僕のチームはそれを了承し、ギルドで準備して旅立った。
すっごい平和な道中が続き、戦闘もなんにもなしで商業都市クロノスへ到着したのだった。
「食事をした方に抽選でお食事券をプレゼントしているんですよ。明日のお昼限定で無料でお食事が出来ますので、是非来てくださいね」
店員の女の人は僕にウィンクをしている。
「ファラさん、出発を後らせましょう!」
僕は力強く頼み込む。
「出来る訳ないでしょ、昼までこの町に居たら野宿になるじゃない。それとも明日の宿代払ってくれるのかしら?」
「カシらー!」
ファラさんからは否定されてしまい、ミアさんはそれをマネするように言葉を繰り返している。
「アッヒャッヒャ! 出来ねぇもんは出来ねぇんだよぉ、諦めちまえよ相棒よぅ、ギャハハハハ!」
ラックに言われなくても、昼の食事のために宿代を支払うのは馬鹿げているが。
「あのすみません店員さん、僕達明日の夜出発するんで、出来れば別の物になりませんか?」
僕はさっきの店員さんを呼び止めて、ダメ元で頼んでみたのだけど。
「ではこの飴玉をどうぞ。良い旅をー!」
店員さんは飴玉を三つ置いて去って行った。
不運の分幸運が来るって言ってたけど、僕の不運って飴玉三個分なんだろうか?
まあ糖分を補給するのは久しぶりだし、これはこれでありだろう。
「ヨメ、ワタシ、タベタい!」
ミアさんの口からはヨダレが流れ落ちている。
「じゃあ一つずつ食べましょうか、丁度三つありますし」
僕は三人で分けることにした。
二人も手を伸ばして口の中へ入れると、コロコロして味わっているようだ。
「ウマイなー!」
ミアさんは幸せそうに頬を押さえている。
大体のものは美味いんだろう。
「中々ね。じゃあ泊る場所でも探しましょうか」
「そうですね」
僕達は店を出てギルド御用達の宿舎を捜す。
同じギルドだとはいえ、支店が変われば無料とはいかない。
でも同じギルド員だから相当安い価格で泊まれるのだ。
これも経費削減のためである。
「お、見つけましたよ、あれじゃないですか?」
僕は道の先を指さした。
そこにはこの町のギルドマークである鷹と剣が描かれている。
「……うん、地図通りならあそこね。ギルドの宿だから期待してなかったけど、やっぱりボロ小屋よね」
ファラさんの感想通り、僕達の町の宿舎に匹敵するボロ小屋風味である。
木造建築の外観は毛羽立ち気味で、触ったら絶対刺さると思う。
中の状態が分かるような穴も開き、プライベートなんて期待できない。
まあただ安いだけの宿である。
僕達は宿の管理人に挨拶をして部屋に通されたのだけど。
「オホホホホ、部屋が空いておりませんので一室でお願いしますねオホホホホ。あっ、これサービスです」
なんか僕に精力剤と書かれたドリンクが手渡された。
僕に何を期待してるのかもしれないけど、それはない。
「オォウ、相棒、やっちまうのか!? いいぜいいぜ、ドンドンやれや、俺っちを楽しませてくんな。フヒャッハー!」
こんな煩い剣も同行しているし、出来る訳がない。
いや例え剣が無かったとしてもしないけど。
僕は普段足りない栄養を補うために精力剤を飲み干し、大きなベットの上で一緒に寝っ転がる。
「お休みなさ~い」
そして普通に眠ることにした。
そう例え精力剤であっても、常時低栄養な僕にとっては栄養剤にしかならないのだ。
「オヤスみー!」
「おやすみ」
まあ僕が隣に居たとしても他の二人は何にも気にしていない。
「フッヒャー! 情けねぇ相棒だぜぃ、仕方ねぇ、俺っちも眠るとするかぁ。アッヒャッヒャ!」
剣も眠ったりするのだろうか?
そんなことを考えていると何時の間にか眠っていて、気付いた時には朝が来ていた。
「……うぉ、何だか凄く調子がいいです! 寝起きバッチリで気分よく起きられました!」
僕は寝起きの快適さに思わず大声をあげてしまった。
「……私は寝てたんだけど?」
「ワタシ、オキたー!」
でもその声で二人共起こしてしまったようだ。
「あ、ごめんなさーい」
僕はとりあえず謝り、出発の準備を始めた。
そして管理人のおばさんに挨拶をしたのだけど。
「チッ、ヘタレが、折角お膳立てしてやったのに。また起こしくださーい」
なんか僕を見てにらんでいる。
まぶたに傷ができているし、まさかどこかから覗いていたのか?
考えても仕方ないし、まあどうでもいいかと町を出発していく。
この町から北に進み、ローゼンタクラの湖畔へ向かう。
相変わらず魔物も出ず簡単に来てしまったわけだけど。
「なんか順調すぎて早く着き過ぎよね。これもその剣のせいなのかしら?」
ファラさんは額の汗をぬぐっている。
時刻は昼、少々日差しが眩しくほんのり温かい。
「アッヒャッヒャ! そうそう、相棒の幸運が招いたんだぜ。感謝してやったらどうだぃ姉ちゃんよぅ。ファッヒャ―!」
ラックは感謝しろと言っているが。
「ふぅ、少しぐらい魔物が出てくれないと腕が鈍りそうなんだけど」
「ナー!」
ファラさんとミアさんにとっては、魔物との戦闘がなくてつまらないようだ。
で、到着したこの場所は、この国最大の湖である。
町ほどもでっかく、大きな魚やら水生の魔物も住んでいると聞く。
まあそれも水際辺りには出ないから問題はない。
「まっ、いいわ。魔物が出ないというなら水浴びでもしましょうか。ミア、いくわよ」
「ミズ、ハイるー!」
そういって二人はいきなり服を脱ぎだした。
そのまま素っ裸になって水の中へ走って行く。
僕が居ても気にもしないし、いっそ清々しいほどである。
もうちょっと恥じらいをもったほうがいいと思うのだけど、元冒険者だったからしかたないのだろう。
「あ~、見張りでもしていよう」
僕は戦えるぐらいの結界を作り、一応見張りを続けている。
「フヒャッハー! おい相棒よぅ、裸の姉ちゃんを覗かねぇのかぁ!? 後ろを見て見ろよぉ、覗き放題だぜぃ! アッヒャッヒャ!」
「ふぅ、そんな見慣れたものを見ても興奮しないんですよ。僕がどれだけ一緒にお風呂……いえ、ゲフンゲフン」
最初は恥ずかしかったけど、五十回ぐらいからはもう何も感じなくなっていた。
これも父さんの訓練の成果だろう。
「オォウ、俺が思うに、相棒は普通に幸運なんじゃねぇのかぁ? 気付けよオォイ!」
そう言われても、二人共兄妹みたいなものなのだ。
可愛いけれどそういう気はない。
まあそんな感じで水浴びは終了し、北にあるファイナリア運搬洞へ到着した。
クー・ライズ・ライト (僕)
グリス・ナイト・ジェミニ (双子の男の子)
リューナ・ナイト・ジェミニ(双子の女の子)
ミア・ミスト・レイン(元賞金首)
アリーア・クロフォード・ストラバス(管理お姉さん)
グリア・ノート・クリステル(お姉さんの相棒)
コーディ・フル・フラグメント(獣使い見習い)
ランズ・ライズ・ライト (父)
ファラ・ステラ・ラビス(護衛の人)
フェイ・ステラ・ラビス(ファラの父親)
スラー・ミスト・レイン(僕の上司)
ディザリア・エルス・プリースト(破壊教)
シャイリーン・ブラック・ダイヤモンド(防御職の人)
ナオ・ラヴ・キリュウ(リセルの弟でディザリアのチームメイト)
デッドロック・ブラッドバイド(冒険者)
ミカグラ・ツキコ(デッドロックさんの相棒)
リセル・ラヴ・キリュウ (ローザリアのギルド受付)
ディーラ・ストライウス (ミトラの町のギルド員女)
デルメオ・ザック・デルタ(ミトラの町のギルド員男)
フデ = インフェニティ―・ダーク・ロード・ウミノメ・キング・ジョージ四世ファイナルモード・ディスティニー(没落魔王)




