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閑静な住宅地は、パトカーと救急車の赤色灯とけたたましい騒音で騒然となった。
「花菜!」
「花菜さん!」
顔面蒼白で運ばれる花菜と、警察に連行される、無抵抗で血まみれの尚久さん。半狂乱のおばさんと、呆然と立ち尽くしたおじさん。そして、花菜から一時も離れず付き添う、花菜が選んだあの男⋯。
俺と玲は、ただただ花菜の無事を祈るしかできずにいた。
マスコミや野次馬達は、面白おかしく色々な仮説を立て、噂話に花を咲かせた。その後、隣県で見つかった白骨遺体の殺人犯が尚久さんで、おばさんが事件に加担したことが判明し、2人とも警察に逮捕された。それが周囲を再び騒然とした。
―病院は喧騒の中、静かに閉院し、おじさんと花菜は姿を消した。
「花菜達、どこに行ったんだろう⋯」
「あの男も、夜学卒業して元の仕事も辞めて居なくなったんだって」
「俺たち、何にも出来なかったな⋯」
俺は玲と2人で、更地になった清水家の屋敷跡を見ながら呟く。屋敷は見る影もなく、敷地には雑草が生い茂り、冷たくなった風になびいている。
花菜達は、今幸せだろうか⋯。
―ただ花菜が幸せに過ごして欲しい、そう願わずにはいられなかった。




