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ピース  作者: 藤子
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 待ち合わせの5分前に駅前に着くと、周はすでに待っていた。いつもの見慣れたつなぎや作業着ではなく、ジーンズにトレーナーを着ている。おしゃれをしてたり、高価な服を着ているわけでは無いのに、金髪で長身の彼はとても映えている。思わず目が釘付けになってしまう。

「ねえー、私たちと遊びに行かない?

「すんません、待ち合わせなんで⋯」

女性2人組が周に声をかけているが、周は丁寧に断りを言っている。

「いいじゃん、行こうよ〜」

「お待たせ」

やばい、そう思った私は慌てた様子も見せず声をかけた。女性2人組は、私を見て舌打ちをしながら去っていった。

「ああ、じゃあ行こうか」

周は私を見て返事をする。周から、いつもの汗のにおいではなく、ふんわりとコロンの香りがする。

(こんなにかっこよかったかな?)

周に心臓の音が聞こえるんじゃないかと思うくらいドキドキが止まらない。



 花菜の第一印象は「変わった子」だった。いい学校の優等生なのに、笑うのが下手な不器用な子。外見からも周囲に近寄り難いと言われる俺に、いきなり話しかけてきた。そして「ありがとう」と言って見せてくれた笑顔が、ああ、これがコイツなんだろうなと思わせた。

 それから授業が始まる10分程の短い時間は、花菜と一緒にいるようになった。17歳、7つも年下。花菜はよく笑い、言いたいことを言う。遠慮のないヤツだなとも思ったけど嫌じゃなかった。10分が短く感じ始めた。苦手な数学を教えてもらいたかったのはウソじゃない。でも、もう少し花菜と一緒にいたいと思ったから、会う約束をした。滅多につけないコロンをつけてみた。花菜はどう思うだろう。

「お待たせ」

待ち合わせ場所に来た花菜は、いつもより可愛く見えた。



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