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彼の名前を聞いたのは、笑顔の真実を知った翌日。あれから、ほぼ毎日、彼と短いコーヒータイムを過ごしながら、彼についての情報収集をしていた。
⋯中村周、大工。今年で夜学卒業⋯。
「何て呼んだら良い?」
「周で良いよ」
「呼び捨て?」
「別に気にしない。ダチとか皆そうだし」
「たばこは吸わないの?」
「だいぶ前に止めた。『百害あって』っていうでしょ」
「あなた、年いくつ?」
「今年25」
だいぶ前?そこは深く考えないようにしよう。
⋯今年25歳、ということは7つ年上。年齢も知れた。
「あんた、頭良いでしょ?ここの学校って結構な進学校って聞いたけど」
私の情報収集が進む中、周が聞いてくる。
「まあ、悪くはないと思う」
成績は入学してから、学年3位から落ちたことがない。
「数学教えてほしいんだけど、今度テストがあってさ、苦手なんだよね」
少し恥ずかしそうに周が言う。
「良いよ」
「日曜日でも良い?」
「うん」
「じゃあ、日曜日に。駅前で。ああ、LINE教えとく」
お互いにLINE交換をした所で、始業のチャイムが聞こえた。周が校舎に入っていく。
「日曜日⋯デート!?」
スマホを握りしめ、思わずその場でバタバタと駆け足をしてしまった。




