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剣聖少女 〜あてもない旅がしたいと願った少女の冒険譚、剣聖にもなれたので箒に乗って路銀稼ぎや旅を楽しみたいと思います〜  作者: 両天海道
11章 旅路

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784話 回復と悔しさを噛み締めて


 私は、イデリアの首筋に剣を突き立てていた。イデリアは、とても悔しそうな顔を一瞬浮かべながらも、痛みがぶり返してきたのか、また苦しみ出してしまう。どれだけの時間が経ったとしても、まだ消えそうにない痛み。

 それだけ、イデリアの魔法が強力だったと自ら証明しているようなものだった。


「あの状態から逆転勝利か。最後はアリアらしく、速攻で決めててかっこよかったぞ」

「わたしも同じことを思ってたニャー。最後、アリアの流れになった直後から、イデリアはまるで何も出来なかったの、すごかったニャー」


 そんな会話をしていると、ようやく痛みが少しずつだが和らいできたのか、ゆっくりとイデリアは立ち上がる。だがすぐによろけそうになるのを自力でバランスを取っていた。

 それでも、先ほど同様苦しそうなのは変わらなかった。


「私はあの時、まだ勝てないって思ってた。あんな魔法ではアリアなら攻略してくるって。だからこそ、普段使わない魔言すら使った。それなのに、倒れた隙に思いっきり手を叩く音が聞こえて、終わったってなったわ」


 だからこそ、イデリアは私が倒れた直後でも、一切の容赦なく魔弾を撃ってくるわ、鎖で殴られるわと、繰り返されてしまった。

 その結果、立っているだけでも冷や汗が出そうになるほどのダメージを今も負っている。


「イデリアの攻撃は強かった。だからこそ、今でも冷や汗が出そうになるぐらいは私、ダメージ負っているんだけど」


 なんとも平気そうな顔をしているものだから、三人とも目を見開いて驚いた顔をしていた。すぐさま現実世界へ戻ってきた三人は、まるで平気そうな顔をしていたアリアを連れて王都へ戻ってくる。


「アリア、どうしてすぐに言わなかったわけ。なんで普通に喋ってるのよ。痛いならすぐに言ってよ」

「まぁこれぐらいならまだ耐えられるかなって思っただけ。実際にまだ耐えられそうだし」


 そんなことを真顔で言うと、三人とも今すぐにでも頭を抱えそうな顔をしてこちらを見ていた。そうして家の扉は勢いよく開かれ、すぐさまリビングの床に私は置かれた。


「背中にポーションを掛けるわよ。痛いかもしれないけど我慢をしてね。ナズナはガッチリアリアを抑えてて。ガードたちも早く抑えて」


 ポーションが背中に垂らされた瞬間、今まで隠れていたような痛みが一気に襲い掛かってくる。思わず、抑えている連中を吹き飛ばしてしまうほどには、体が悲鳴を上げている。

 痛みが全身に広がり、今すぐにでもこの痛みから逃げ去りたいと思ってしまう。それでも必死に意識を食い繋ぐかのように、私はなんとか耐え抜いた。

 そうして痛みが落ち着いた頃、周りを見ると家には大きな穴が三箇所空いており、足を押さえていた三人は気絶しているようだった。


「アリア、少し暴れすぎだよ。ナズナたちの意識を飛ばすほどの勢いで暴れてどうすんだ」

「ごめんって、それにしてもほんとうに痛くて暴れちゃった」

「それにしても暴れすぎよ。私たちも結界がなかったら、とっくに吹き飛ばされてたかもしれないんだから」


 とりあえず私は立ち上がり、三人をすぐさまソファーで寝かしつける。壊れた壁を魔法で治しつつ、三人が起きるのを待つ。

 待っている時、家の周辺に見知った気配があるのを感じる。おそらく、先ほどの衝撃音が気になって観察しに来たようだ。


「ちょっと私出てくるね。なんか見知った気配の主が家の周辺をうろちょろしているみたいだから」

「あんな扱いされたからって、急に木剣を振るわないようにね」

「うーん、それはちょっとわからないかな」


 転移して、突然目の前に現れることをやってのけた。


「うわ、びっくりした!? そんな登場が許されるわけないだろ、アリア!!」

「あれ〜? 私たちがとても苦しそうにしていた時は、まるで助けてくれなかったのに、今になって話しかけてくるなんてむしが良すぎるんじゃないかな?」

「やっぱりそれは根に持ってたか。それは俺も悪かったと思ってる。俺もガードに頼まれたからあんな態度を取った。それは済まなかった」

「謝って済むなら軍なんていらないのよ!」


 間一髪で避けられる。冒険者は引退しているとはいえ、さすがは王都のギルドマスターとして長年仕事をしていることはある。

 私はあの攻撃は避けられないと思って攻撃を繰り出した。それを不意打ちという悪条件の中、よく避けられている。


「へぇーまだまだ体は動くんだね。剣聖である私の攻撃を避けられるんだから、冒険者もやりながらギルマス活動したら良いのに」

「ここは地方じゃないんだよ。それにな、あの攻撃を避けられたのはたまたまだ。そう何度も避けられるわけないだろ」

「でも本能的に動けている動きだったよ。生存本能が高いからこそ、そのノウハウを冒険者に叩き込んだら良いのよ」

「それは時々やってるよ。そんなことより、こんな話をするためにわざわざ来たわけじゃないんだろう?」

「そういえばそうだったね、どうしてこんな場所にいるのか気になっちゃって」

「そんなのアリア自身が一番わかってるだろ、急に大きな物音がしたってことで俺が呼ばれたんだよ」


 やっぱり思った通りである。

 その結果、自分の目で確認しようということになったのだろう。


「イデリアと組み手してて、その怪我を癒してもらってたの。足を押さえつけているところで、強烈な痛みを食らった直後、三人を吹き飛ばしていたみたい」

「何やってんだよ、ほんとうに。まぁあんまり暴れるんじゃないぞ。まぁ何かあったらまたくるわ。今回はいろいろありがとうな」


 そうしてギルマスは帰って行った。私も家の中に戻ってみると、すでに三人は目覚めた後だった。まだ少しばかり痛いのか、ぶつけたところを手で押さえている。


「三人ともごめんなさい。自分でもびっくりするぐらい痛みで暴れちゃってた」

「二人はともかく、わたしが耐えられなかったことにショックニャー。いくら疲れているとは言っても、アリアの仲間なんだから耐えたかったニャー。とりあえずアリアも無事みたいで安心だよ」


 そんなことを言うナズナはとても悔しそうにしていた。

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