703話 逃げる魔物
完全に投稿するのを忘れていました。
誠に申し訳ございませんでした。
春の暖かさが大地を照らす。冬という厳しい季節を乗り越えた草花がめいっぱいに生きているのを私は、空から眺めていた。風に揺られ音を奏でる。その心地よい音色をバックナンバーとして今日も私たちは、あてもない旅をほうきに乗って続けていた。
あの村を出てすでに数日以上が経過しているというのにもかかわらず、気配感知を発動させたらその気配がほんの少しだけ感じることが出来る。それほどまでに、魔法使いとしての力量があり、その存在感をこんな辺鄙な場所で君臨させていた。
おそらく彼女たちにとってそれは最適解であり、私がどのような言葉を使ってもそれを否定することは出来ない。
否、してはならないのである。
そんなことを考えながらぼんやりと景色を眺めていると、気配感知に魔物の気配が浮かびあったのを感じた。数はそこまでいないが、統率の取れた動きをしているのは確かである。
私たちは顔を見合わせ、すぐさまその気配の方へほうきを向かわせる。一体、どんな魔物がいるのか想像も出来ないが、ある程度強いのは気配を感じればすぐにわかる。
「こんなだだっ広い草原を駆け回る魔物か、この速度だったらおそらく四足歩行系だな」
「そうかもしれないね、でも姿が見えないことには何も言えないけど、ナズナは何か見えた?」
ナズナは器用に細いほうきの上で立って周りを確認しているが、どうやらあまり成果は芳しくない様子だ。
「見つけることは出来ないかな、遮蔽物はないから遠くまでより鮮明に見れるんだけど、それでも無理だニャー」
フェクトも同じようで、まだそこまで気配は近くない。再度気配感知をしてみると、どうやら彼らは私たちの存在に気が付いているらしく、来た道を全速力で駆け戻っているようだった。
「結構速い速度で逃げてる、相当危機感知が凄まじいみたい。まだ、姿形が見えていないはずなのにここまで全力で逃げられてるなんて思いもしてなかった」
「ほうきの速度は上げてるが、これ追いつけるか微妙なラインだぞ。森になんて入られたら、絶対に撒かれて終わりだ」
マップを展開して、周囲の情報を見てみるが、幸い近くに森や山などはなく少しばかり私たちに運がある状況である。
だがしかし、追いつけないとなれば話は変わってくるこの現状をただ私たちは、姿形すらわからない魔物をひたすらに追い続ける羽目になっていくのであった。
「うっすらと見えた! マジでそれがほんとうにそうなのか確証はないけど、充分にあり得ると思うニャー!」
その言葉が聞けたのは、追いかけてすでに十五分ほどが経過した後だった。
少しばかり諦めかけていた私とフェクトに希望が湧き上がってくるのを感じる。よりほうきに魔力を流し込み、一気に速度を上げる。
「どんなに些細なことでも良いから、何かしらの情報を頂戴! ほんとうになんでも良いからさ!」
「えっとね、四足歩行の魔物で間違いないと思う。あと、ユニコーンと同系統的なやつだと思う。草原を駆け抜けていく感じがユニコーンみたいだから」
私はてっきりウルフだとばかり思っていた。それはどうやらフェクトも同様であり、少しばかり驚いている様子であった。
そうしてフェクトもまた、ほうきに集中するのを止めて前を見るとナズナと同様なことを言っている。
「それにしてもそいつらをまとめているやつ、なんか二回りぐらい大きくねぇか?」
「それ、わたしも思ったニャー! やっぱりなんか大きいよね。まるで突然変異したかのような存在」
気配感知に魔物の気配が止まったことを感知する。どうやら、体力の限界がきたようであり、休んでいるのが伝わってくる。
「ようやく気配が止まった! 今のうちに二人とも追いつくから絶対に千切れないようについてきてね!」
私は、今日の旅がここまでも構わないと言わんばかりに魔力をほうきに流し込み、先ほどよりもより加速して進んでいく。
「私も見えた!」
ようやく魔物とのご対面であり、ここまで手こずらせた魔物がどんな存在なのか気になって仕方ない様子で、私たちは空から飛び降り、そのまま地面に着地した。
「あの速さと高さから飛ぶな! 危ないだろ、ほんとうに俺がいなかったらどうするつもりだったんだ」
「そこはまぁほら、気合いだよ!」
私が力強く答えると、フェクトは少しばかり頭を抱えていたが、すぐさまそれを受け入れるべく適応していた。
「私たちが近づいているのに逃げないってすでに臨戦態勢に入られてる状態かな?」
「それはあり得るニャー、それに向こうは体力の消耗が激しいからそこまで無茶な戦い方はしないと思う」
「それは取り巻き連中に言えることだ、巨体の馬はどう考えても何かしらの攻撃を仕掛けてくるに違いない」
それはフェクトのいう通りであり、魔法攻撃を展開してきた。
「雷魔法!? ここにきて結構厄介な魔法を使いやがるのか……ここは俺の結界を駆使して進んでいく。アリアに関しては、結構魔力消費が激しくてだるさはあるだろうからな」
「それは助かるわ、でも油断はしたらダメだからね。どんな攻撃を仕掛けてくるかまだわからない以上、慎重にここは進んでいこう」
雷、風という二種類の魔法が私たちの行手を阻んでいく。近づこうとすればするほど、風は強く結界の中にいても押し戻されそうになる。
雷の方はそれを援護する形で結界に幾度もぶつけてきた。
「相手にとってはめっちゃ良い条件になってるのは正直癪ではあるが、ここを切り抜けるわよ」
そんな時だった。風にサポートされた馬の魔物が結界に全速力で体当たりをかます。凄まじい衝撃であり、結界にもとてつもなくダメージが入る。
それをサポートするように雷が結界に当たり、結界の損傷が激しさを増す。
「ここは一気に私が駆け抜けるから、二人はこのまま攻撃を耐えてて! 私の足ならこの風でも行けると思うから」
「無茶だけはするなよ」
私は地面を蹴り出す感覚で一気に飛び出し、駆け出して行く。腰に下げてあった剣を抜き、向かってくる魔物を難なく斬りさき、歩みを決して止めない。
その際もずっと雷を打ち続けていた巨体な馬もまた、簡単に首を斬り落とすのであった。
「手こずった割にはあっさり解決出来て良かったわ」




