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剣聖少女 〜あてもない旅がしたいと願った少女の冒険譚、剣聖にもなれたので箒に乗って路銀稼ぎや旅を楽しみたいと思います〜  作者: 両天海道
11章 旅路

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701話 即効性の回復魔法


 彼女は起きた瞬間、杖を見て笑っていた。


「この杖ごといくなんて思いもしてなかったわ、この杖がここまで綺麗に折れるなんて思ってなかったからあのガードは失敗かな」

「傷は残ってしまってるけど、あのガードがなければもっと酷いことになっていたことぐらいわかってるくせに」


 老体ではあるが、魔法使いとしては相当な強さを持っている。今の魔法界でおそらく何かしらの役職をもらえるぐらいには優秀。

 人々をまとめるのが上手く、みんなに信頼されている。それでいて、魔法も攻撃、防御、回復、どれをとっても素晴らしい功績を示すことが出来るほどだ。それほどまでの強さをもっておいても、まだまだ挑戦者だというチャレンジ精神も備わっている。

 それは、魔法界に入ったとしても絶対にやっていけると証明なんていくらでも出来るほどだ。


「それにしても、あんな古風な戦い方……今はやっぱり主流ではないから結構厳しいところもあると思う」

「でもな剣聖様……あんた様とあのような戦い方で攻撃を打ちあえるって感じでいいと思うが」

「そこで、私を宣伝材料にしないでくださいよ。お金を取りますよ」

「そこはちゃっかりしてるな、まぁそんなことより、杖同士での戦闘を体験してみたくはない?」


 私は後ろで立っていた二人の顔を見ると、ナズナはとてつもなくやりたそうにしていた。フェクトは、昔やっていたのか、あまり興味がないようだが、ナズナに力強い説得によってやることを承諾。

 私たちはそれぞれ練習用の棒を渡され、実際にどのように戦うのか体験することになった。程よい長さのある棒だが、人々が使ってきたのがわかるほどに私たちにもしっくりとはまった。


「それで、この長い杖でどうやって戦うの? わたしもアリアも魔法攻撃は使えないけど、やっぱり魔法でバフを掛けたりするもんじゃないの」

「これは本当に物理戦闘をするためにやるものだ、昔なんて、こんな魔法の杖で頭に向かってフルスイングしたり、目を潰したりと色々やったよ」


 それをまるで武勇伝を語るかのように言う彼女は、どこか楽しそうである。それは彼女と住民、フェクトぐらいであり、私たちは置いてけぼりである。


「信じられないと思うがほんとうのことだぜ、魔石が付いた部分で思いっきり殴り掛かってきたやついたからな。あの時みた魔法使いたちは、まるで蛮族みたいな存在だった」

「今はだいぶ減ったけど、昔はあれが普通だったし、まぁそれがあって、今みたいに魔法をより洗練させたらそんなことがないからな、それで話し合いが続けられ、この形に落ち着いたからね」


 確かに今の主流は、小さい杖であり出し入れがより簡単に出来るものだ。それに魔力を込め、武器を生成させたりして戦うというのは、一般的な戦い方の一つとされている。


「素手で戦うっていうよりは、武器で殴った方がダメージが稼げるって感覚だったんですかね」

「そうだね、剣や槍なんかと戦うことも多かったから素手はあまり考えられてなかったわね……まぁ最終手段に使うって感じかな、使うにしても」


 そんな話を終え、私たちはとりあえず基本的な素振りを教えてもらいそれを実践する。

 剣とはまるで違い、最初は扱うのには苦労をしたが慣れたらそこまで難しいものではない。それに何より、新たな戦闘スタイルとして確立出来そうなほどに、私はのめり込むように楽しんでいた。


「さすがは剣聖アリアって感じだな、あれはほんとうに化けるぞ」

「今になって、古風な戦い方をここまで上手いこと使いこなせているなんてさすがとしか言いようがありません。それほどまでに、彼女にとってこれはとてもいい出会いって感じです」


 私のことを褒めているようだが、そんなことよりもナズナの方をどうにかしたほうが良いのではないかと思ってしまう。視界の端に映るナズナはだいぶ苦戦をしているようであり、すでにやめたがっているのが伝わってくるほどだ。


「ナズナはやっぱり武器を持つって感じじゃないな、無理にやろうとして今の戦闘スタイルに影響が出たら洒落にならないからやめたほうが良いかもな」

「わたしだってあんな戦闘体験してみたいニャー、あんな戦いを見せられたら誰だってやりたくなるニャー」

「言いたい気持ちもわかるがこれ以上はやめるべきだ!」


 そうしてナズナはフェクトに武器を取り上げられ、少しばかり不貞腐れた顔をしていた。


「それにしてもほんとうにアリアは筋が良いな、俺と一戦やってみないか?」


 フェクトから組み手の誘いがきたが、あまり乗り気にはなれなかった。ブランクのある相手と戦うより、その戦闘を熟知していない相手と戦うことによる経験値を優先するべきだと思ったのだ。

 私は軽く首を横に振り、そうして私は不貞腐れたナズナの元へ歩いて行く。


「ナズナ、私と軽く手合わせしてみない? ナズナの武術をこの杖でどこまで凌げるか試してみたいんだけど」

「それは別に構わないけど、そんなことしてこの杖壊れたりしないニャー?」


 使い古されてはいるが、それなりに上等なものだというのは触っているとわかる。それに何より、この杖は本来ぶつけ合うために作られたものであり、そんなことをさほど気にしないだろう。


「大丈夫だと思うよ、せっかくだし手合わせしてみようよ」


 明るく元気な声にナズナは、ようやく気持ちにも整理が付いたのか、首を縦に振った。


「剣聖様、そんな連続で戦っても平気かい? 魔法で回復を施しておくよ」

「え!? ほんと、ありがとうございます! ナズナと戦うなら準備万端で戦いたいと思っていたからほんと助かります」


 彼女の回復魔法は今まで受けたどの回復魔法よりも即効性があった。この速さに特化した回復魔法、これは長年生きてきた上で必要があったからこそ、生まれた魔法なのだとわかる。


「この魔法、フェクトに教えてあげてくれませんか? 報酬は弾みますし、何より私たちにとってその回復魔法は必ず役に立つものなので」

「お受けしましょう、それでは戦いを楽しんで」


 そうして私とナズナの一戦が始まるのであった。

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