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剣聖少女 〜あてもない旅がしたいと願った少女の冒険譚、剣聖にもなれたので箒に乗って路銀稼ぎや旅を楽しみたいと思います〜  作者: 両天海道
第1部-2章 王都で再開! 13歳の私は、他種族との交流していこう!

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57話 シーサーペントを食べてみよう!


「これならどうだ!」

「甘いよ」


 ナズナは蹴りを繰り出すが、フェクトには完全に見えており簡単に止められる。

 フェクトは、完全に慣れた手つきで相手をしている。

 振り解こうにも、無理みたいだ。そんな光景を私は、眺めていた。


「遊んでないで、ご飯ができたから準備して!」

「「ヘーイ」」


 獣人の国を出発して、数週間が経った。ナズナもすっかり仲間として、旅を楽しむようになっている。

 だがナズナは、不満があるようだった。それは、圧倒的に暇だということだ。

 ナズナは知らなかった、旅というのは暇の時間の方が長いのだ。

 箒に乗っていても、喋っている時やイベントが発生した時以外は、どこか上の空である。

 地面に降りたら、フェクトが気分転換に組み手をしている状態だった。そうじゃないと、帰りたいと言い出しかねないと思ったからだ。


「アリア、もっとなんか面白いことないのz?」

「村や国に行かないと特には無いかな、ダンジョンもここいらにはないし」


 そう言うと、深くため息をついていた。一方フェクトは、完全に慣れているため、特には何も思っていないようだ。

 普段通り、パンに目を輝かせ食べている。

 とても美味しそうに食べてくれるのは、パン屋のおばちゃんにとっても嬉しいことだろう。


「でも、もう少し行った先に湖があるみたいだよ」

「え、ほんと!? 早く行こうよ」


 途端に元気になるナズナ。まるで、フェクトを見ているような気分になった。

 そうして、箒を飛ばすこと数日。大きな湖が見えてきたのだ。ナズナは、上空にいるのを忘れたのか、とても大喜びでで突然跳ねたのだ。


「あ! バカ」


 フェクトは、すぐにナズナを回収しことなきをえた。地上に降りた瞬間、フェクトはナズナに怒鳴りつけていた。

 ナズナは、反省しているのがわかる。


「フェクト、言い過ぎだよ。ナズナもあんなこと二度としないでね」

「はい、ごめんなさい」


 それでことなきを得たのならよかったのだが、ナズナはフェクトにある程度の距離感を保ったままだ。

 ものすごく怒ったフェクトが、怖かったのだとすぐにピンと来た。

 私は、こんなことで仲間がバラバラになるのは、よく思っていない。


「フェクト、周辺の安全確認お願いするね」


 フェクトは、無言のまま行ってしまった。ナズナは、私のそばから一切離れようとはしなかった。

 震えすら感じている。


「ナズナ、大丈夫かい?」


 私は、宥めるような声で話しかけた。


「ごめんなさい……周りが見えていなかった、初めての景色でテンションが上がりすぎてた」

「そうだね、フェクトにもそう言えるかい?」

「うん」


 ナズナは、元気を少しずつ取り戻してきている。フェクトも近くに居るのがバレバレだ。

 そうして、フェクトを待っていると落ち着いた表情で現れた。

 ナズナは、すぐにフェクトに駆け寄る。


「フェクトごめんなさい! 助けてくれてありがとう」

「俺も言いすぎた、ごめんなさい」


 すぐに誤り、二人はいつものように過ごし始めた。私は、良かったと心から思った。

 気配感知に突然反応がでる。魔物の気配が湖からきているのがわかる。

 それは、二人も気がいたようだ。


「なんの魔物だろう?」

「水中にいるんだ、シーサーペントとかだろう」


 ナズナは、首を傾げている。ナズナは、ずっと獣人の国にいたんだ。

 そうなるのも納得だ。


「シーサーペントだったら、塩焼きだね」


 私が言った言葉なのに、私までよだれが垂れた。そうして、湖に影がうつり飛び出してきた。

 思った通り、シーサーペントである。相当大きく、至る所に傷がついている。すぐさま戦闘体勢に入る。

 それを感じ取ったかのように、威嚇で大声を出している。それが引き金になったのだろうか。

 突然、水の一部が渦状になって上昇していく。


「水を操れるのか。二人とも、一気に片付ける!」

「「了解!」」


 私は、瞬時に水中歩行を全員に付与する。そして一気に水の上を駆け抜け、間合いに一気に入った。

 そして、渦は上空に飛んでいき、私たちをめがけて飛ばしてきたのだ。


「これは任せるぞ! 簡単に対処できるはずだからね」


 そう言って、落ちてくる渦を横目に高く飛び上がる。そのまま、首を刎ねた。

 その瞬間、形を保てなくなった水の渦は落下していく。


「魔武式・正拳一徹突き」

「ファーリー武術・登り突き!」


 二人の拳は、互いに空に向けて放たれていた。

 その一撃は、シーサーペントの一部を肉片に変えてしまうほどだった。

 そこまでの余波を生み出せる二人も、充分怪物だと認識する。

 多分、大抵の魔物はアレに耐えられないなと直感したのだった。


「やりすぎだよ! 食べるところが少なくなるでしょ」

「「ごめんなさい」」


 シーサーペントは、大きな音をあげつつ水しぶきをあげ落ちた。

 血が水に染み込んでいく。

 すぐさま、フェクトが陸にあげてくれたおかげで大ごとには至らなかった。

 

「じゃあ早速、下処理して食べるわよ」


 三人とも、テンションの上がり方が違った。なぜなら、高級魚として取引されるものだからだ。

 脂身がよく、身もしっかりしていてとても美味しいからだ。

 貴族が献上品として、要望を出すほどだ。それだけではなく、運がよければ街の酒場でも食べられる。


「これ主だったんじゃねぇか?」

「そうかもね、すごい傷がついていたし」

「そんなことより、早く食べようようー」


 そうして、みんな早く食べたかったのだろう。いつもの何倍のスピードでご飯を作っていったのであった。

 そうして、辺りはすっかり夕暮れになった頃ご飯ができあがる。

 よだれを何度拭いても垂れ落ちる。それ程までに、美味しそうな料理が目の前にあるのだ。


「食べようか、いただきます!」


 三人ともが一斉に、食べ始める。美味しすぎて、言葉にならないのは同じようだ。

 私たちは、この時気がついていなかった。背後からおそるおそる近づく影に。

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