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剣聖少女 〜あてもない旅がしたいと願った少女の冒険譚、剣聖にもなれたので箒に乗って路銀稼ぎや旅を楽しみたいと思います〜  作者: 両天海道
第1部-2章 王都で再開! 13歳の私は、他種族との交流していこう!

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43話 第五王子は、二人の仲を取り持つために一肌脱ぬぐ


「イデリア、シャイで聞かなかった? 次は容赦しないって」

「聞いたよ。でもね、そいつは魔神なの。だから討伐しなきゃいけないんだよ」


 私は、イデリアの言っている意味もわからなかった。今は、私の一部として、いつも一緒にいてくれる存在。

 それを、一方的に否定ってバカみたい。

 気がついた時には、イデリアを殴り飛ばしていた。


「――アリア!? 一回私の話を聞いて」


 イデリアが驚いた表情で、何かを言っている。私は、そんなことに聞く耳を持たず、蹴り飛ばした。

 イデリアは、地面に倒れ込む。痛くもないくせに、立ちあがろうともしない。

 そんな彼女に、私は心底腹が立つ。


「アリア落ち着け! 一回深呼吸しろ」


 フェクトが焦って言っているのがわかる。だから私は、フェクトの方を向いた。


「大丈夫落ち着いてるから、ちょっと待ってて」


 私は、イデリアの腹部めがけて何度も蹴る。イデリアはなにも反撃してこなかった。


「反撃しろよ、いつまでそんなことしてやがる」

「インパクト」


 足に手が触れる。触れたと思ったその時だ、足が折れるかのような痛みを、伴って地面に叩きつけらた。


「アリア、せっかくあなたと会えるのを楽しみにしてたのに」


 そんなことを言うとともに、背中に魔力を帯びた刃が何箇所も突き刺さる。


「おいやめろ! 俺が死ねばいいんだろ、これ以上する必要があるのか」


 フェクトが訴えかけるかのように、話しかけている。だが、彼女は話を聞くことはなく、ひたすら攻撃をしていた。

 おそらく、これはフェクトをこっちにこさせるためにしていることだ。

 使い魔を殺すなら、主人を痛めつければいいことなのだから。

 

「お前も話を聞けよ! 魔武式・回し蹴り!」


 フェクトの焦りの籠った一撃が、イデリアにはボーナスタイムでしかない。それを考える暇さえ与えなかったイデリアに、フェクトは勝ち目なんてないのだ。

 

「捕まえた…… 聖なる刃(ライトニング)


「お楽しみの所悪いけど、そろそろ茶番劇はいい?」


 イデリアは、城壁を突き破る勢いで飛んでいった。


「アリア、お前なこの時狙ってただろう」

「うん、当たり前じゃん」


 フェクトのあきれた顔の視線を受け取りつつも、吹っ飛んでいった方向に目を向ける。


「最近も吹っ飛ばされたなぁ……私。でもね、決まりなんだから仕方ないでしょ」

「だったら、私がそれを捻じ曲げたらいいだけじゃない?」

「それを捻じ曲げた所でどうなる? 剣聖の自己満で人々を不安にさせるのか」


 それには、なにも言い返せなかった。彼女の言ってることは確かに正論だ。

 それを言われたら、なにを言っても意味はないだろう。


「その話、ちょっと待ってくれるかな」


 聞き覚えのある声が、門のところから現れる。白馬に乗って現れた。

 まさに王子様のイメージにがっちり、固まったようなものだ。


「何しに来た、第五王子?」

「睨まれると恐怖が増しそうだ。一度四人でお話しすることはできませんでしょうか」

「話することなんてねぇよ、引っ込んでろ」

「第五王子、これは私たちの問題ですので」


 第五王子は、こう言われるのをわかっているみたいに笑い出した。


「いやほんと、想像通りに返してくれますね。これ以上ここでの戦闘は許可できませんので、お入りください」

「私は王都には入らない。手厚く迎えてくれたんだ、それぐらい覚悟の上だろおまえ」


 彼女は、黙ったままだ。この状況、第五王子もどうしたものかと、少し難しそうな顔をしている。


「仕方ないですね、それじゃお願いするよ」


 背中に、ふわっとした何かが当たる。振り解こうとするが、なかなか振り解けない。


「落ち着いてください、アリア様!」

「その声、ミニシア!?」


 なんでここにいる? と思ったがその時には、転移で豪華そうな一室に飛んでいた。

 その時全て理解した。あの会話は、ミニシアを気付かせないための、一芝居だったのことに。

 それどころか、フェクトもグルだったと言えるであろう。

 フェクトが気付かないことは、あり得ないのだから。


「第五王子、こんなことまでして何がしたいんだ」

「そちらのフェクトさんは、使い魔契約されているのですよね」

「そうだけど、それでも危険性があるって話だから、あいつと話が合わなかったんだろ」

「やはり許可します、あとはお任せください! それよりもイデリア様と仲直りしてきてください。それが取引条件です」


 私は、苦虫が潰れたかのような顔で言われるがまま、その場を後にした。


「大丈夫か? 見事にしてやられたな」

「もっと好感度、上げておくんだった〜」


 私は、後悔の念でいっぱいいっぱいだった。まさかの仕返しに、頭ではわかっていても心がついてこなかった。


「でも、フェクトが無事で良かった、早く私を殺せるぐらい強くなってね」

「当たり前だ、絶対に追い越してやるよ」


……

 え、なにこの二人。尊すぎない!? めっちゃ信頼してるやん、こんなの見せつけてくるなんて、この仕事してて良かったーと思う、メイドなのであった。

……


「こちらでございます」


 そう言って顔を少し赤らめたメイドが、案内してくれた。


「ありがとうございます」


 私は、お礼を言うと持ち場に戻るのか、とても綺麗な歩き方でその場を離れていった。

 深呼吸を何度もし、アイツの待つ部屋に入った。


「ようイデリア」

「話は聞いたわ。あの人ってあんなことをする人じゃなかったんだけどな」


 第五王子も変わっているということだろう。フェクトの視線も痛いし、もう一度深呼吸をして彼女に向き合う。


「イデリア、さっきはごめんなさい」

「私こそ、ごめんなさい」


 この歳になって、面と向かってお詫びをするのはなんか恥ずかしさもある。

 それでも、これが一番効果的なんだと理解するのに時間は掛からなかった。


「それじゃ、私たちギルドに行きたいからそろそろ失礼するよ。また今度、ゆっくり話そう」

「ちょっと待って、背中の傷を治すわ」


 そういえば、刺されてたことすっかり忘れていた。血は普通に出てたけど、痛くもなかったしすぐに塞がってたから全く気にしてなかった。


「あ、ありがとう」

「これぐらい簡単なことだよ、転移で送るわ」


 そうして、王都の門に着いた。


「ギルドで魔物の買取でもするの?」

「まぁ、それもあるけどメインは違うかな」


 イデリアは、首を傾げている。考えているのか黙ったままだ。


「ここに来る途中、賞金首を二人殺したんだよ」

「賞金首を二人? ……もしかして兄弟?」

「イークス兄弟だよ、知ってるの?」

「知ってるよ、魔法界が捕まえようとしてたからね」

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