表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/21

第5話:会議室で始まった、俺の公開処刑。

会議に呼ばれた。今後の経営方針の話だという。厨房の最高責任者であった俺にも声がかかるのは当然だった。

会議室の中央には新社長――俺の弟――がいた。いつもながら、無表情で冷たい顔をしていた。

会議室には、接客部門、メンテナンス部門、経理担当、その他、各部門の責任者が勢揃いしていた。

「――それでは、経営方針会議を始めます」

社長秘書が会議の開催を告げた。


弟は、各部門責任者を次々と詰めていった。どれもこれも、「効率が悪い」「悪習は刷新しろ」という点だった。

さすがは「効率の鬼」である。その指摘は的確で、どの責任者も、しどろもどろになって、まともに対応できている人間は、ほとんどいなかった。

「――では、次に、総料理長」

俺の番がやってきた。

「まず、レストランの利益率が横ばいです。改革が進んでいません。理由を説明してください」

「利益率が横ばい?そりゃ、食材の流通経路を急に変更したり、AIロボットを導入したり、料理人の育成時間が削られたりしてるんだ。その分のオーバーヘッドを考えたら、今期は横ばいでも十分健闘してるぜ?『今の時点の数字』じゃなくて、もっと長期的視野で見てくれないか?」

「つまり、私の刷新が間違ってる、と言いたいのですか?」

新社長が言った。冷たい声だった。

「完全に間違っているとは言わない。だが、この状態が続けば、このホテルの『格式』は、守れないね」

「ほう……それは、私が『間違っている』と言っているに等しいと思うんだが?」

「……社長の刷新の意図は尊重します。ただ、『効率』だけを求めては、解決しない問題もある。逆に『格式』を落とすこともある。そのことを理解していただきたい」

俺は答えた。俺は、俺自身の考えを曲げる気はなかった。

「……わかりました。あなた自身を『刷新する』必要があるみたいですね……」

会議室がどよめいた。新社長に逆らうとどうなるか。それを皆、実感したのだ。

「では、あなたの処遇等については、後ほど連絡しますよ。総料理長」

新社長は、冷たく俺に言い放ったのだった。


次回予告:

職場を追われ、婚約者も去った。

全てを失い、男は、途方にくれる。

男の手に残されたのは、師匠から譲り受けた包丁一本のみだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ