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第14話:毎晩ここに来る理由が、少しずつ増えていった。

胸の棘は取れなかった。むしろ、その痛みは、より強くなった。

客足は増えていった。新たな常連客も出来ていった。傍目には「順風満帆」に見えていたかもしれない。

しかし、実際には、赤字経営だった。どうしても、食材のクオリティが落とせない。畢竟、利益が頭打ちになる。

それでも、手を抜くわけにはいかなかった。客は、この「美味しい肴」を求めて、この屋台に足を運んでいるのだ。

「美味いねぇ」今日も、客が、肴を食べてそう呟く。そして、日本酒をあおる。

この光景も、この屋台が潰れてしまえば見れなくなる。

「また来るよ」そう言ってくれる客も増えた。

彼らの期待を裏切るわけにもいかない。

――背伸びしないで、いいんだよ。

あの常連客の言葉が、胸に響く。

安い食材で、どうやって?どうやればいい?

俺は、家に帰って、改めて、基礎から料理を練習し直していた。意図的に安い食材で練習した。

しかし、どうしても満足のいく味が出せなかった。

俺は、袋小路に迷い込んでいた。


次回予告:

オヤジさんからの忠告。それは、俺の「驕り」を見抜いていた。

改めて、俺は屋台と向き合う。

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