王国攻防戦3
次々と霊子体から実体化するエルフ達…王国は武装したエルフと召還された巨鬼に取り囲まれていた。
だが、エルフ達は魔導人形が防御線をひいている王国の外壁から、離れた場所で実体化し一向に攻めこんでくる気配がない。
魔導人形達は迂闊に動く事も出来ずに、その様子を伺っていたが…突然、全く聞き覚えがない声の共振会話が外壁を防御していた全部隊の機体に流れこんできた。
「…通信障害は解除された。人間達よ…聞こえているか?」
ソル
「…?…どういう事だ?中央魔導炉の出力低下の影響が無くなったのか?…しかし、この声はいったい」
「…姿を見せた方が話しが早そうだな。全部隊…機体を固定化しろ!」
共振会話の語り主が命令口調で言い放った、その時…エルフ達の陣形の最前列に魔導人形とよく似た機体が実体化する。
魔導人形と同じく人型で姿形は似ているが、鉱石で作られた装甲の下や駆動部分が生き物のように鼓動を繰り返していた。
ソル
「…っ!?…あれは…まさか…零型!?」
魔導人形とよく似た機体を見てソルは動揺した。
防御陣形で構えた魔導人形達も、信じられない光景を
目の当たりにして呆然としている。
「…信じられない…か?…ならば証拠を見せてやろう」
ソルの正面にいた機体が両腕を広げ構える…機体の中央付近に光が集まり始め「魔導砲」を放ってきた。
ソルは咄嗟に障壁を作り魔導砲を弾き飛ばす。
ソル
「くっ!…本当に…魔導人形のようだな。ならば乗っているのは…人間だと言うことか」
「…人間?…貴様達のような下等種と一緒にされては不愉快だな。我々は人間を超えた存在だ…我が主、ネフリル様によって創造された魔導人間だからな」
魔導砲を放った機体は天を仰ぐように両手を広げて言い放つ。
参の型で構えるソルにアリーシャが共振会話で話してきた。
アリーシャ
「この機体反応…間違いなく奴等は魔導人形です。これは一体…」
ソル
「ああ…しかも、この機体は魔導人形の最初の試作機である零型をベースに作られているようだ。俺が乗り、初めてエルフを撃破した…な」
アリーシャ
「零型…ですか。しかし、あれはまるで…」
ソル達を取り囲む魔導人形達は不気味に蒸気を立ち上らせていた。
魔導人形とは言ったものの「生体装甲」のような不気味さは、明らかにソル達が乗っている魔導人形とは似て非なるものであった。
「お前達を全軍で一気に潰す事は容易い…しかし、それでは我々の魔導人形の良い戦闘記録が取れない…そこでだ。私と1対1で戦ってもらいたい…どうだ?…そちらとしても時間稼ぎがしたいのだろう?内部で頑張っている同胞のために…な?」
思いもよらない提案をしてきた事に多少驚きを隠せないでいたが、ソルはその提案をのんだ。
王国内部のサイフォン部隊との通信は途絶したままだったが外壁の部隊とは共振会話で通信出来る。
共振会話を傍受されないように絞って連絡し、外壁にいる2部隊を内部に入れる為の時間稼ぎをしたかった。
「どうやら「交渉成立」のようだな…さっそくだが始めさせてもらう。お前達の代表は誰だ?」
ソル
「…俺だ」
構える魔導人形の正面にソルは歩み寄った。
「私の名はレーツェ…貴様の名を聞こう」
ソル
「…ソル・スティングだ」
レーツェ
「貴様が…どうやら相手にとって不足はないようだな…いくぞ!ソル・スティング!」
ここに本来あってはならない異なる軍勢の魔導人形同士の戦いが始まった。




