再会する2人
深夜の街の大通り…人通りが少なくなった通りを、ニックとカークは並んで歩いていた。
ニック
「ふぅ…アリーシャさんを、僕らに任せて隊長は何処に行っちゃったんでしょうか」
カーク
「………」
ニック
「カークさん、隊長の話…どう思います? 竜鱗石「別名ードラゴンストーン」なんて…強化素材としては並以下のものですよ。そんな物が本当に新型に必要なのかなぁ…」
ニックは眠っているアリーシャを背負って歩くカークに問いかけたが…無言でカークは答えた。
ニック
「カークさん…やっぱり、自分がアリーシャさんを背負いますよ。なんか…大変そうですし」
首を振りカークは答える
カーク
「今…集中している所ッス。交代なんてとんでもない! このチャンスは、ものにしないと駄目ッス」
ニック
「…集中? 一体なんの……はっ!? ま…まさか」
イヤらしくニヤリと笑うカーク。
カーク
「ふふふ…お察しの通りッス。この背中に当たる2つの感触の事ですよ…ククク」
ニック
「な…何を考えているんですか! ひ…卑怯ですよ! カークさん!」
カークは目をつぶりながら、手の人差し指を左右に振る。
カーク
「ニックさん…不可抗力ッス。これはしょうがない事ですから。アリーシャさんも分かって……ぐえっ!!」
突然、起き出したアリーシャがカークの首を後ろから絞めた。完全に首絞めが極まり、2人は後ろに倒れ込んだ。
すかさずアリーシャは、首を絞めながら両足で胴体を絞め、カークの内臓を圧迫する。
カーク
「あ…アリーシャさ…ちょ…苦し…し…死ぬ…から…やめ」
息も絶え絶えのカークの耳元にアリーシャは囁きかけた。
アリーシャ
「気持ち悪いんだ…吐いていい?」
カーク
「は?…吐く!? ちょ…ま…ちょっと…離れ…公園…で…お願い…しま」
アリーシャ
「公園に行く必要などない…ここには貴様と言うゴミ箱もあるしな」
アリーシャは足絞めを解き、倒れたカークに素早く馬乗りになった。
顔をさらに接近し、酔った目で笑っている。
カーク
「ちょっと! 待って下さいよ!…アリーシャさん?…ねぇ…ちょっと…何で黙ってるんですか!? 苦しそうな顔で嗚咽を漏らさないで下さいよ! ねぇ…マジで止めてくださいよ。お願いッスから…って…アッーーー!!!」
ニック
「あ……」
最悪の光景を前にして、ニックは立ち尽くしていた。
ーー魔導人形開発室ーー
薄暗い室内の中、魔導人形を見上げる者達がいた。
ソル
「動力源は?」
アウゼン
「うん。もう魔硝石は組み込んであるよ。予定だと、セイバー型より出力は4割増し…反応値は…ソル兄じゃないと、マトモに動かせないレベルだね」
ソル
「どういうことだ?」
ペンを鼻と上唇で挟み込んで、ソルの質問に答えた。
アウゼン
「原石を使うと機体反応が桁違いに上がっちゃうんだよねぇ…。こればっかりは、どうにもならないのよ。常人だと機体反応が敏感すぎて使いにくいかもしれないかもってコト」
魔導人形に近付き、アウゼン博士にソルは尋ねた。
ソル
「起動させてもいいか? その反応速度とやらを確認したいからな」
アウゼン
「ん~…ま~いっかぁ♪ アタシとしても興味あるし…明日やる事を今やっても変わらないし」
アウゼンの言葉を聞いたソルは、魔導人形の搭乗口に飛び乗った。そして、搭乗口を開き操縦席へ座る。いつも通りに計器を立ち上げ、魔導人形に火をいれて立ち上がった。
ソル
「少し動かしただけでは違いを感じられんな…アーシャ…目標物を出せるか?」
アウゼンが魔法陣を描き呪文を唱えると、ソルの魔導人形の目の前に、土の塊が幾つも並んだ。
ソルは土の塊に対して構える。
ソル
「よし! 始めるぞ!」
掛け声と共に土の塊に向かい走る。
量産型とは桁違いの速度で接近し、跳び蹴りで土の塊を砕いた。そして、そのまま近くの塊をブレードで次々と破壊する。
離れた土の塊は、ソルに対して土のツブテを放ってきた。そのツブテがソルの魔導人形に接近した時に異変は起こる。
ソル
「な…なんだ? これは! …見えるぞ。向かってくる土の塊が、これからどう動くかを…」
飛んできた土のツブテは、全て魔導人形に弾き飛ばされた。
ソル
「俺は何を見たんだ? まさか…未来なんて事は、ありえんと思うが…」
立ち尽くしているソルの頭に言葉が流れ込んできた。
「貴方は少しの間だけど…未来を見たのですよ」
ソル
「…これは!? お前は誰だ!」
動揺するソルに謎の声は優しく答えた。
「ソル隊長…私です。エミリアです」
ソル
「エミリア……あのハーフエルフの少女の名前だが… 本当に…君…なのか?」
驚くソルにエミリアは答える。
そして、魔導人形は結界に覆われた。




