領主
「……おい!……大丈夫か!しっかりしろ!」
う……なんだ……目の前がぼやけている……
あれは……ホークか?
ホーク
「よかった目を覚ましたな!死んじまったのかと思ったぜ!さすが俺の相棒だ」
…誰が相棒だ…誰が
エイト
「う…い……痛てぇーー!左腕が……く…折れてやがる」
ぼやけた視界が元に戻ったと思ったら、急に痛みが走ってきた。そうか…壁に叩きつけられて左腕が折れていたんだ……あとは肋骨もヒビが入っている……か。
死んでいないから体の傷はそのまま…こればっかりは(最初の人間の力)を使おうが何も出来ないな。
エイト
「ホーク…ここは?…あの後どうなったんだ?」
ホーク
「ここは馬車だよ。街に向かっている最中さ。ドラゴンは倒したぜ!ホレ…コイツがグランドドラゴンの真紅の目さ」
ホークは馬車の手綱を握りながら俺に赤い物体を渡してきた。……まさかコレって
ホーク
「燃えるような目だよな。ドラゴンを倒した証拠が無いと領主は納得しないだろ?くり抜いてきたんだ。まあ、死体は後で街の兵士に片付けさせるよ。…そんな事より、あの岩場で子供を見つけたんだ。横に座ってるぜ」
……まさか……横を見ると目を合わせないように反対方向を向いている褐色肌で白髪の少年が馬車にいた。
ホーク
「無愛想な子供だろ?せっかく助けてやったのによ。名前も言わないんだぜ?何であんなとこにいて食われなかったのか不思議だよ。
まあ、置いていくのもなんだし乗せてやってんだけどな」
……違うよホーク。君が生前の体から目をくり抜いた事に怒っているんだよ…彼は。
エイト
「……おい……よけいな事は言ってないだろうな……?」
ホークに聞こえないようにボソボソと少年に話かける。少年はこちらを向いて頷くと俺に近づいてきた。
「……いい気味だ。もっと苦しんじゃえ」
少年はフフンと笑いながら見下して俺を見ている。……テメー…体が治ったらおぼえてろよ!
ホーク
「お?そろそろ街につくぜ!英雄のご帰還ってやつだ。相棒…街のみんなに手でも振ってやれよ?」
腕が折れてんだぜ。無茶言うなよ…
街の入口につくと兵士達が戦果を聞いてきた。
ホークはドラゴンの目を見せると兵士達
は歓声をあげて喜んで街に入れてくれた。
「おーーーい!ホーク達がドラゴンを倒してくれたぞーー!」
兵士は街の住人に叫ぶと、たちまち俺達の馬車は街の住人に囲まれてしまった。
「凄いなアンタ達!たった2人で倒すなんて!」
「ねぇねぇ!ドラゴンって大きかった?」
「聖騎士マルクの再来だよ!新たな英雄の誕生だぁー!今日は酒場で飲もうぜ!」
ホーク
「わーーったから落ち着け!これから領主様に報告に行くんだ。道を開けてくれ!」
それでも人集りは馬車を囲んで歓声を上げている。見かねた兵士達が馬車を通らせるために馬車を囲んでくれた。
やっとの事で領主の館についた。遠目では見てはいたが、近くで見ると…やたらデカいな。…いったい領主とはどんな奴なんだろう?
ホーク
「エイトは領主に会うのは初めてだよな?まあ…悪い人じゃないぜ」
館の入口が開き俺達は中に入った。
ドラゴン少年は馬車に残してきた…なんか突っ込まれたら面倒だからな。
「よくきた!!!英雄達よ!!!街を代表して礼をするぞ!!!」
いきなり俺達の前に、剃り上げた頭にたくましい髭……豪華な服の上からもわかる盛り上がった筋肉の異様な中年が姿を現した。
ホーク
「……この方が領主のボルゾイさんだ。そそうがないようにな」
……コレがローズのご主人様かよ。ドラゴンより強そうだぞ
ボルゾイ
「我が街の民を苦しめてきたドラゴンを倒し英傑よ!!!褒美をとらす!!!報酬をここに!!!」
使いの者達が袋を2つ持ってきた。報酬のクロムか…どれくらい貰えるのだろうか。
ボルゾイ
「それぞれに5000クロム入っている!!!少ないかもしれんが受け取ってくれ!!!」
ホークは嬉しそうな顔をして報酬を受け取っている。コカトリスの盾が大体400クロムと考えれば5000となると、かなりの大金だぞ。これならローズも買えるだろうな
エイト
「あの…すみません。ちょっといいですか?」
ボルゾイ
「おお…話は聞いているぞエイト殿!我が側近ギルダスを倒し、酒場で荒くれどもをなぎ倒した豪傑!!!ホークが見込んだだけある!して何かな!?」
……いちいち熱いな…この人
エイト
「私は冒険者です。これからも冒険を続けたいのですが、なにぶん1人旅…従者が欲しいと思っていました。ボルゾイ様に召し使えている者は優秀と聞いております。このたび貰った報酬から差し引いてかまいませんので従者として1人…頂けませんか?」
ボルゾイ
「なんと!!!ドラゴンを倒しても、まだ冒険を続けると申すか!さすがは英傑よ!ワシの若い頃を思い出す!!!よい!ワシの召し使いを1人連れていくがよい!報酬から差し引くなどと無粋な真似はせん!召し使いをここへ!」
……なんとかなったか。もちろん俺はローズを選んだ。
ボルゾイ
「……してエイト殿!!これから行く先は決まっておるのかな?!」
エイト
「いえ……まだ決まってませんが…何かあったんですか?」
ボルゾイは少し眉間にしわを寄せてこちらを見ている。なんか嫌な予感がするのだが…
ボルゾイ
「実は我が側近のギルダスなのだが…エイト殿に負けじと魔物の討伐に行ってしまったのだ。ワシは止めたのだが本人が聞かなくてな
…傷を癒やしてからでよいのだが、エイト殿にも手伝って頂けないだろうか」
…あの禿頭!何やってんだ!
エイト
「お言葉ですが…ギルダス殿なら多少の魔物ならどうにかなさるはずでは?」
ボルゾイ
「たしかに多少の魔物ならギルダスの敵ではない。……奴が向かった場所は死人が蘇る魔の地なのだ。生者が死人には勝てぬ…いまさら行っても手遅れかもしれんが…」
な………死人?




