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婚約破棄された地味な結界調整士ですが、追放先の辺境で静かに暮らしたらなぜか感謝され続けています  作者: 篠宮しずく


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第42話 戻っても、変わらない

 アリアが戻った翌朝も、村はいつも通りに動いていた。


 誰も特別な報告をしない。

 誰も三日間の出来事を誇らない。


 ただ、畑へ向かい、鍛冶場に火を入れ、水を汲む。


 アリアは巡回に出た。


 結界の縁には、かすかな揺らぎの名残がある。

 均せば消える。触れなくても、数日で薄れる。


(……急ぐ必要はありませんね)


 そのまま、手を離す。


 村の中央で、リーナが小さな相談を受けていた。


「今日の作業、少し長くなるかもな」


「風が落ちる前に、切り上げた方がいいと思います」


 断定ではない。

 判断材料を置くだけ。


「そうするか」


 それで終わる。


 アリアは、そのやり取りを遠目に見ていた。


 昼過ぎ、レオンが声をかける。


「三日、問題なかった」


「そうですか」


「少し揺れたがな」


「揺れます」


 当たり前のように言う。


 レオンは笑う。


「壊れなきゃいい」


 それが、この村の基準だ。


 夕方、旅人が一人泊まる。


「例の静かな村だろ?」


 そう言って、少し期待するような目を向ける。


 夜になっても、何も起きない。


 旅人は拍子抜けしたように呟く。


「……本当に、何もない」


 アリアは答えない。


 何もないことが、ここでは結果だ。


 夜更け、リーナが静かに言う。


「戻っても……変わりませんでした」


「はい」


「安心しましたか」


 少しだけ、意地悪な問いだった。


「……少しだけ」


 リーナは素直に答える。


 アリアは、わずかに笑う。


「戻る場所は、変わらない方がいい」


 結界は今日も、薄く村を包んでいる。


 いなくても回る。

 戻れば、整う。


 それだけで、十分だった。


本話もお読みいただき、ありがとうございました!


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