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華姫奇譚  作者: 葛籠屋 九十九
第2章不死殺し編
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第16幕 原因

「率直に言うと結界はもう使い物にならんだろうな。誰かが意図的に細工した跡がある。細工出来てしまうということはこれから好き放題されるって事だ」


白狐が険しい顔で結界の現状を語り我輩達は静かにそれを聴く


「痕跡を辿ろうとしたが残念ながら薄すぎて追えなかった。解ったのは細工されたのが1時間程前だったって事ぐらいだ」


後ろ足で頭を掻きながら白狐は言う。なんか猫っぽいな・・・


「そこまで分かれば十分なんじゃないかな?ね、土地神さま」

「うむ。白狐よ、大義であった。褒美にこの土地での人間への加勢を許可する」


月奈の問いかけに土地神さまが答え、白狐はこの土地での仮初の自由を手に入れた


「これで二人に協力できるわけだ。改めてよろしく頼む」

「こちらこそ。にしても急に真面目モードになると調子狂うなぁ」

「協力するなら全力でやる。それがオレの流儀だ」

「そうか。それじゃあよろしく頼む」

「あぁ、任せておけ」


そう言うと白狐はボンッと音を立て煙に包まれる。爆発か・・・!?


「よし、これで聞き込みも楽になるだろ」


白狐の居た場所に真っ白な髪に青い瞳の美形な男が立っていた。変化の術みたいなものなのだろうか?というか真っ裸じゃん。いや、そりゃ当然なんだけど女性二人いる前でそれはどうなんだ?


「へぇー結構いいんじゃない?」

「じゃな。あー、しかし儂的にはもう少し身長が低い方が好みじゃな」


二人とも全く気にしていなかった。土地神さまに至ってはまじまじと見てるし


「童はどう思う?」

「とりあえず服、いやこの際パンツだけでも履いた方がいいと思う」

「それもそうだな。という訳で服を用意してはくれぬか?」

「服ないんかい!」

「ある訳ないだろ。狐なんだし」

「ごもっとも!でもお前に合うサイズの服持ってないぞ」


白狐の身長は175cmくらいだろうか?我輩の身長は169cm、我輩の服では小さすぎる。となると買いに行く他ないか


「じゃあ買いにいくか。白狐、狐の状態に戻ってくれるか?」

「無理だな。これを使うとしばらくは戻れん」

「マジかよ・・・えぇ・・・」

「仕方ないよ。お店開いたら一緒に買いに行こう」

「それまでは二人で聞き込みするか」

「そうする他ないね。白狐はここで大人しく待ってて。土地神さまはバスタオルでも白狐に巻かせておいてください」

「解った。服が来るまではここで待機させてもらう。いいな菊理媛(くくりひめ)

「よい。布はこれを巻いておけ」


土地神さまが手を叩くと赤い布がゆらゆらと飛んで来て白狐の頭の上に覆い被さる


「感謝する」

「よいよい。結界が誰かに弄られた、その事実を突き止めたお前の功績はとても大きい。このような布切れではまだまだ礼としては足りぬ程じゃ。桃、紺、藍、結界の張り直しを手伝ってくれ」

「「「承知致しました」」」


何処からかぬっと現れる三巫女。怖いな普通に


急に胸騒ぎがし始めた。なんだ・・・?分からない


「じゃあ将鷹、行こっか」


月奈が我輩に声をかける。少々ボーッとしていたから反応が遅れた


「おう」

「大丈夫?無理してない?」

「大丈夫だと思う。何か胸騒ぎがしただけだし」

「それは大丈夫じゃないと思うな・・・虎織に何かあったとか」


月奈はそう言うとと共に虎織に電話をかける


「もしもし虎織?今大丈夫?うん。そっちに異変とかない?そっかそれなら良かった!将鷹が急に胸騒ぎがって言ったから虎織に何かあったのかなって。うん。うん。了解。伝えておくね!じゃあまた後で!」


電話を切り満面の笑みを浮かべながら月奈は口を開く


「もう少ししたら虎織も合流するってさ!」

「マジで?琴葉ちゃんOK出したのか・・・?」

「さぁそれはどうなんだろうね。ただ虎織が来るって言ってるんだからOK貰ってるよ」

「それもそうか・・・じゃああの胸騒ぎは一体・・・」


一瞬神社の外の草むらが揺れた気がした。そこに向かって我輩は短刀を投げてみる。動きは無し。回収ついでに周りを見ておこう


「何もなしか。気の所為にしてはちょっとな・・・いや、敏感に成りすぎてるのかもしれないな・・・」


我輩は誰が聞いている訳でもないが独り言を呟く


「そういえば情報収集ならもってこいの場所というか人が居るんだけど探すの手伝って貰ってもいいか?」


神社の敷地内に戻り月奈に話しかける


「居酒屋の人とか?」

「遠からずって所だな。昨日知り合ったバーの店主が居てな。その人あたってみようかなって」

「へぇー将鷹って少人数が好きって言ってるけどなんだかんだ人脈はあるよね」

「あの人とは偶然会っただけなんだけどな。しかもかなりの変わり者だし」

「そうなんだ。どんな人なの?」

「筋骨隆々な男で」

「うん」

「縫合跡があって」

「それは中々・・・」

「女物の服を着ている」

「なるほどなるほど・・・えっ?何それ?変態?」


予想通りの反応をしてくれた。変態かどうか分からないが趣味は人それぞれというやつだ


「さて、どうだろうな。世の中には身体が男でも心が女って人も居るみたいだし一括りに変態と評価するのはダメなんじゃないか?」

「確かにそうだね・・・もしかしたら何か訳があるのかもしれないし人の話だけで知った気になるのは良くないよね」

「そうだな。まぁ我輩は見た瞬間やばい人だと思ったけどな」

「見た目で判断しちゃダメだよ」


月奈は笑う。我輩も笑う。傍から見ればさっきまで喧嘩していた二人がこうやって笑い合うというのは異様な光景に見えるかもしれないが我輩達にとってこれが普通なのだ


そう。これが日常なのだ

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