7話!
「いたたたた、なんだったんだ」
僕は脇腹をさすりながら独りごちる。
「でもそういえばこの指輪、本当になんだろう」
僕は右手の人差し指につけられた指輪を見る。これといって変化はなく、形が変わったり、発光したり、熱くなったりした事はない。
「……自分で決める」
確か女神さまには「君と共に成長するもの、これは決められた可能性が無いもの、恩恵ではあるけど恩恵ではないもの……君が決めるの、君が考えるの」とそんな感じの事を言われたと思う。
「意味はわかるけど、わからない」
自分で決めるって。本当になんにでもなるのかな。
「もしかしてどんな物にでも変身する指輪とか」
考えだしたらいくらでも出てくる。妄想には自信があるのだ。
「エル、これ、カッコイイぞ」
妄想の途中にヴェールが現れて驚く。
「あ、え?」
ちょっと混乱しつつもヴェールが手にしているそれを見た。
「トンファー?」
「そう言うらしいわね」
ヴェールの後からクレブリアがやってきて言った。
「攻防一体の良い武器だと思うわ……何よりヴェールがカッコイイって」
「たしかにね」
防御もできるし、攻撃もできる。遠心力を使って攻撃するものだから力が弱いヴェールには合っている。少し扱いが難しいかもと思うけど。防御だけならとても簡単だ。ヴェールはトンファーをヒュンヒュンと振り回していた。というかすでに使えている。
「ヴェール、すごいね」
「すごいだろ」
「危ないわ、やめなさい」
クレブリアに注意されて、ヴェールはしょんぼりとしながら振り回すのをやめた。
「外で練習するなら構わないから今は我慢するのよ」
「うん」
「さぁ、あとは通信魔法石がほしいわ」
「通信?」
「えぇ、通信ができる魔法石よ、だいたい二つセットで売られてると思うけど」
「通信できるなんていいね、みんなで持ったら便利そう」
僕がそう言うとクレブリアが苦笑する。
「みんなで持ってもダメよ」
「え? どうして?」
「通信魔法石はセットの石としか通信できないのよ、石を持っている人同士なら誰でも通信できるとか、そういう物ではないから」
携帯電話を想像してたけど違うらしい。どちらかと言うとおもちゃのトランシーバーか。
「声を響かせる魔法石をね、二つに割ってそれを遠くに離すの、それで片方に喋ると響く訳だけど、もう片方も離れてるのに一緒に響くのよ、声が聞こえるって事……それで通信に使えるって」
「なるほど」
「私とヴェールでつけようと思ってるわ」
1回目!