5話!
「可愛いカッコイイって」
逆じゃないかと思うけどと思いつつ。クレブリアが持ってきた服を見る。確かに可愛さとカッコよさが混ざった感じだった。クレブリアがヴェールに「どう?」と聞いた。
「動きやすそうだ!」
クレブリアが満足そうに頷く。嫌と思わなければまずはいいのかなと思う。
「ヴェールさんこんなところにいました」
セルカがやっと見るけたというような声でそばまで寄ってきた。
「ちょうどみんな集まったからお披露目するわよ……ヴェール着てみてくれるかしら」
「あぁ……どうやって着るんだ?」
「そっか、わかったわ、着せてあげるから、覚えるのよ」
そう言って二人は奥に入って行った。
「楽しみだね」
「そうですね」
少し残念そうにセルカは言った。白黒好きにしようとして失敗したからだろう。
「こういうの楽しいな」
「こういうの?」
「あぁ仲間がいて、こうやって誰かの装備とかみんなで相談して」
しみじみと僕は言った。勇気を出して歩み寄ったからだ。だからこそこうして変われたんだと思う。セルカが嬉しそうに微笑むと僕もつられて微笑む。
「私もエルさんと出会えてよかったですよ……もちろんクレブリアさんとヴェールさんともですけど、エルさんに出会えて始まったって感じですし」
「はは、僕もかな、セルカと出会って始まった」
僕はちょっと恥ずかしくなって、はにかむ。セルカも同じように、はにかんだ。
「何イチャイチャしてるのよ」
クレブリアのちょっととげのある声にハッする。恥ずかしくなって僕は赤くなった。セルカも同じみたいだ。
「着替えたわ……どう?」
「どうだ!」
ヴェールが胸を張って言った。
ヴェールが着ている服は暗めのモスグリーンの半ズボンオーバーオール。それに白の半袖カッターシャツっぽいのにオレンジ色ネクタイをしめている。靴は黒の短靴だった。
「可愛いね、それからネクタイの所がカッコイイ」
「そうですね」
かわいらしさとカッコよさがちょうどいいバランスをしている。動きやすそうで子供らしさもある。
「白のシャツがいいです」
セルカは相変わらずだった。
「気に入っていただけて嬉しいです」
店主が満足そうに頷いた。
「ありがとう、とてもいい買い物が出来たわ」
クレブリアが嬉しそうに言うとお金を店主に渡した。
「ありがとうございます」
深々と店主が頭を下げた。それを見てヴェールがクレブリアに向かって頭を下げる。
「ありがとうです」
クレブリアが微笑むとヴェールの頭を優しく撫でた。
1回目!