拾八章─村娘の恋③─
東「う~む。一応、三人とも所属している部活動などの点から、調べてはいるんだが…」
鈴木「特にこれといった生徒は…ねぇ?」
刑事1「警部!目撃者を一人、連れてきました!」
東「ご苦労。入ってもらえ。」
刑事1「どうぞ。」
女生徒「し…失礼します…」
帽子を深く被った女子生徒が、入ってきた。
証人だし、生徒だということは分かっているので、問題はない。
鈴木「どうぞおかけください。」
東「まず貴女の、お名前は?」
女生徒「み…水野… は…春来です…」
東「ではあなたは、何を見たのですか?」
水野「人影を…み、見ました…」
東「そ、それは、どんな人影でしたか?」
水野「そ…外から見たので…不確かなのですが…男だったと、思います…」
東「よしっ!決まりだ!野村だ、野村幸久だッ!あとは物証次第だッ!鑑識に報告を急がせろッ!」
刑事1「はいッ!」
水野「わ、私は…」
東「あぁあぁ、お引き取りいただいて、結構ですよ。どうも貴重な証言、ありがとうございました。」
水野は、部屋を出ていった。
鈴木「彼、どうします?」
東「フン、目撃者もいるんだ、すぐに物証も見つかり、逮捕に…」
鈴木「違う違う、黒瀬くん!」
東「あぁ、彼か。事情聴取に同席したいとか言ってたが…まぁ証人を待たせるわけにもいかんかったし…しょうがないから、取り調室の外から、取り調べの見学程度にしておくか。」
刑事から離れ、一人になった。
水野はステッキを取りだし、エレベーターへと向かう。
凖「フーン。名女優は顔を隠さなければならないのか。高校生でも。」
水野「何の事ですか?」
凖「君の事はよく知ってますよ、演劇部一年エースの、水野さん。
声はまだまだだが、その演技力、表現力には、天才的なものがある、とね。」
水野「光栄です。」
凖「この前の、あの役。戦争で目が見えなくなった少女の役とか、すごかったですね。」
水野「見ていていただけたんですね。」
凖「そりゃあもう。体育館でやるから見に行こうって、友人に誘われましてね。」
水野「白山さんですか。」
凖「よく御存知で。光栄です。」
健「放せよ。」
長田「何だと─」
健「いいから放せよ。嫌がってんだろうが!」
長田「うるさい!関係無い部外者は引っ込んでろ!これは俺とコイツの問題なんだ!」
健「ヤだね。」
長田「何だと、クソウッ!」
ナイフを、健に向かって刺そうとする。
キン
健はナイフを左手で軽く弾いた。するとナイフは折れ、隣の机に突き刺さった。
長田「ひっ」
健「俺と戦おうってのか?悪りぃが俺は、手加減なんてしねぇぜ?」
長田「ひぃぃぃぃぃぃっ!!!」
教室のドアがガラガラと勢いよく開き、長田が出てきた。
長田「しっ、失礼しました~~~ぁ!」
瞳はもう既に、気絶している。
毅「ってかお前、誰だよ。」
女子達「カッコイ~ッ!」
健「え、あっ?ンンまぁいいや。コイツ、お前が保健室に届けてやっといてくれ。『助けたのはお前だ』って事にでもしといてくれ。んじゃなッ!」
窓を開け、健は降りていった。
毅「何だったんだ、アイツ。」
女子1「なっ、名も名乗らずに帰っていくとは…」
女子2「かっこ良すぎ~ぃ!」




