拾六章─調査結果─
光「つーかむしろ、『諸勝つ光迷』っていう、コンビ名で呼んでくれる?名前で呼ぶな気持ち悪い。」
翼「君等が、レベルの高い軍師なら、そう呼んでもいいかな。」
迷「ここは現実世界です。『レベル』ではなく『IQ』のほうがいいです。」
準「誰だ?」
翼「元拳銃学科のエース、諸姉妹さ。二人とも戦闘科で、且つ後援科でもあるという、珍しいコンビだ。」
純「そういえば市長が、『我々は拳銃戦闘科の保有を二人分も許されている』とか言ってた気がするなぁ…」
香「それで?調査の方は?」
光「まんずまんず、といったところかね。」
迷「社名までは判明しませんでしたが、とてつもなく大きな会社だということは、判明しました。」
光「発注の時も回収の時も、運送業者を使った痕跡がないし、」
迷「秘匿して物を運べるほどの業者にも、出所不明の収入などはなかったことから、」
光「少なくとも生産の他に運送も、その会社が担っているとみて間違いないよ。」
─すげぇ。流石双子だけあって、息ぴったりにリレーして喋っている。
迷「更に、ここは孤島ですから、海運業も含めて、少なくとも三役は。」
光「そして港にも、使途不明の不審な船はなかったらしいよ。」
翼「つまり向こうは、会社一つで港、工場、船、トラックなどを所有しているということか。」
香「まぁ、受講者の少なさを見越して、それ専用の小さな会社を作っておけば、必要な分だけの規模でそれを実現することも可能だけど?」
迷「使用した工場などが特定できない以上、何とも言えませんね。」
準「知らない人がよく、出没する場所とか、調べてみたら当たるかもな。」
迷「学生で溢れるこの雑踏の第一舞奏市に仮にそんなところがあったとして、どうやって見つけろと?」
光「発想としては大オッケーだけど、誰もそんなの気にしてないよ。」
純「知ってる人がよく消えるとこなら、知ってるんだけどなぁ…」
準「…へ?どこだそこ?」
純「二ヶ月くらい前かなぁ。知り合いが三人くらい、連れ立って同じ時計つけて南東の海岸らへんにいて、声をかけようとしたらその人達が光りだして、次の瞬間には消えていたらしいよ。」
光「南東の海岸、ねぇ…」
香「覚えがあるような、ないような…」
準「パワーウエポン科受講資格試験。」
純以外、皆が「あぁ~」と頷く。
純だけは、怪訝そうな顔で首を傾げた。
準「パワーウエポン科を受けるための、追加試験みたいなもんだ。」
翼「でもあの光は凄まじかっ…た。」
翼が、何かに気づいた。
準「なぁ、もしそうだとしたら…」
準も、その何かに気づく。
翼「あの純粋なる心は─
誰にも穢されてなど、いなかったということだ。」




