猫は全部王様にぶん投げた!
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今回の物語も楽しんで頂けましたら幸いです。
「そのレベルで良いなら大丈夫だ。問題無さそうだから、王様に伝えておく」
「待て、新たに問題発生した」
話を流してくれなかった。
「お前んとこの王様は『使用制約無し』で魔術以外のスキルをスクロール以外に定着する事が可能なのか」
「詳しくは知らない。王様に頼むと作ってくれるから」
困ったことは全部『架空の猫の王様』にぶん投げた。
「……まずは、実用的に使えるのを1点ずつ頼む。ちなみに、回復系と防衛系の一番ランクが高い魔術は何だね?」
領主様の依頼だが、猫の実用的なものは、『ノミ取り魔法』だよな。
「ランクか?よくわかんないがうちの王様が使える一番凄い魔術はなら、回復系は『蘇生』で防衛系は『神域結界』かな?魔術でもかなり魔力を消費するから、普通には使えないだろうがな」
「「「!!!」」」
もう、ここまでバレたなら細かい調節なんか面倒うだ。全部猫の王様にぶん投げて、人間達にお任せしよう。
「あっそうだ!『蘇生』で思い出したんだが、薬師ギルドに謝らないといけなかった」
「えっ?ウチのギルドにですか?」
急に話しかけられ、困惑する薬師ギルド長のトイトル。
「すまんな、ウチの猫さんが飲み屋で頭に蘇生魔法を掛けまくって、せっかく開発した育毛ポーションの売れ行きを邪魔する様な事したみたいで」
遣らかし内容は、酔っぱらったおっさん猫が、禿げたおっさんに「冬に毛が無いと寒いニャ」と言って頭皮だけ蘇生しまくっていると、通報を受けた。
取り締まり役として注意に向かったが、被害者の元禿げのおっさん達から減刑や、やからし猫さんを救世主扱いされてたので、
「好きでハゲにしてる人も居るから確認する様に」
と注意だけしておいた。
だが既に同様の事件が数件あったようで、被害者に謝ろうとしたが、既に禿げじゃ無いので特定できなかった。
今のところ、被害者である元禿げのおっさん達からの苦情は出てないので、グルンとキャトハウスⅡで注意を呼びかけてたが、先日、薬師ギルドから育毛ポーションの発売を聞いて、謝ろうと思っていたのだ。
「あぁ、問題ありませんよ。ウチのポーションは他の街や王都での販売だけで、既に生産が追いつかない状態ですし、うちの従業員の頭皮も蘇生していただき、本人が凄くやる気になって助かってます。ありがとうございます」
今までは担当だった研究者さんは、自分の薄毛を特に気にしてなく、育毛ポーションを作る事に何故かと否定的だったらしい。だが、猫さんが頭皮を蘇生させると一転、「全世界にもこの喜びを!」と張り切り出したそうだ。
「それに今や辺境都市グーデルンは、薄毛の悩みを持つ人間からは『奇跡の街』と言われてますからね」
笑顔でトイトルが語るが、なんかしょぼい奇跡の街ができてしまった。
だからか。どうりで最近では街で禿げたおっさん率が高いと不思議に思ってたんだよな。よかった、謎が一つ解けた。
「貴族連中も極秘に我が街に赴き、猫殿達の遭遇を待ち望んでいると聞いている」
自慢げに髪をかきあげる領主様と商業ギルド長の二人。
なるほど、冒険者ギルドで『奇跡の猫殿求む』とか『奇跡の猫殿の紹介を求む』と書かれた謎の依頼書が貼られてあったりする理由が判明した。謎がもう一つ解けた。
おっさん猫の新たな仕事が開拓された。
「話を戻すが、レベル幾つまで可能だ?」
残念、逸れた話が戻ってしまった。
「よく知らない。王様にお願いすると作ってくれるから詳しい事は王様しか知らないし、猫さん達は誰も気にしないで使ってる」
猫さん達は、俺が渡した物を誰も気にしないで使ってるのは事実だ。
「それと、猫目線で実用的なモノでいいのか?そうなるとノミ取り魔法だな」
「………訂正する。人間にとって実用的なモノでだ」
「それは猫には難しい判断だ。欲しい魔術とレベルを書き出してくれ。出来るかどうか、王様に聞いてくる」
そんなに魔法や魔術に詳しくない。だから難しい事言われても理解ができないので、コレからは王様案件は全て『はい・いいえ』方式にしてもらおう。
「疑問だが、スクロール以外に出来る技術を持っているのに、どうしてわざわざスクロールにするんだね」
「確かに、こんな凄い品が製作できるのにどうして」
領主様達が疑問に感じたようだが、そんなの決まってる。
「そりゃ〜物だと、猫さん達があっちこっちでプレゼントしたり、どっかに忘れて来たりするからな。普段取り出せないスクロールは行方不明防止になるからだ」
皆んなの目が点になってる。
「確かに、ウチの従業員も飲み屋で高価な品をあげてるのを目撃してますね」
「以前、ウチの娘にも宝石を渡していたな。本当に返さなくて良いのかね」
「プレゼントした猫が誰か分からないし、いいんじゃなか。あげたかったんだろう、その猫さんは」
決まりは無い。プレゼントしたいと思えばプレゼントしているだけだ。
「だが、猫にとっては高価な宝石も、トカゲの尻尾も同じ価値だから、当たり外れはあるがな」
皆んな半笑いで納得した顔をする。
大方、換金所でトカゲの尻尾を出したのだろう。
そんな訳で、酒を飲まなくても誰かにプレゼントしたくなる猫さん対策としてスクロールなのだ。
まぁ、そのスクロールですでに『毛が無いと寒いニャ』事件という新たな問題を発生させてんだから、世話がないのだがな。
翌日、ミミとロトの散策は中止となる。ミミとロトはグルンのダンジョンで遊んでくるようだ、俺は今日もお屋敷に向かう。
「これが、回答だ」
本日も領主様のお屋敷で会議だ。
「通常の『回復魔術』『治癒魔術』『浄化魔術』更に、『結界魔術』までもレベル10まで可能だとは!凄いな」
「だが前にも言ったが、いくら魔術でもレベルが高いと魔力不足で発動しないぞ。なのでそれぞれレベル4、5、6の魔術が付与された石を貰ってきた」
ただの石に『回復4』とか『浄化6』と間違わないように、油性マジックで書いておいた。
「…雑な作りだな」
付与した石を見ながらレフルドが呟く。
「猫に細かさを期待するな。『付与』はするが『付与』して欲しい品は自分達で用意してくれ」
今回は口の硬いお屋敷の方々と、同じく口の硬い各ギルドの職員さん達を呼び集めての実験だ。
猫さん達は魔力量が多いので、人間が使う目安にならない。
「『蘇生魔術』はないのか?」
領主様が、石を見ながら質問する。
「王様が言ってたけど、回復か治癒のレベル6が連続できる魔力量が必要だ。実用的で無いと思うぞ」
「たっ確かに」
皆んな納得するが、少し残念な表情を浮かべる。
「どうせこの街なら使い手は酒場に居るぞ」
呑んだくれおっさん猫。別名『俺の奢りだ!』メンバー達がな。
「もしや街中で寝転んでる猫がか!」
「いつもはアレだがな」
皆んなの脳裏に浮かぶおっさん猫達は、どれも道端で寝てるか、レオハウスⅡで毛布に包まれ庭先に並べられている姿だ。
実験結果は、実用範囲はどれもレベル5までだったが。一回使用ならギリギリレベル6も可能だった。
魔力が多い人間なら使用できるだろう。
使用した石は、領主様とギルド長達にあげるから仲良く分けてくれ。
その後は冒険者ギルドに移動し、今度は使用確認の実験だ。
事前に「明日の午後のみ無料で怪我を治す」と告知しておいので、かなりの怪我人が集まった。
「番号札の番号を呼ばれたら順番に来てくれ」
早速回復のレベル説明を始める。
「この怪我な3だな」ピカリ
今回は魔術だけを使用して、どんどん治療していく。
協力してくれた職員さん達は早々と全員魔力切れになった為、俺が『魔術』使用しながら説明をする事になった。
皆んなは、程度と使用レベルを周りでメモっていく。俺はどんどん治療をしていく。
「これは蘇生の5だな」ピカリ
「こらこら、今回は蘇生は無いだろう」
レフルドからツッコミが入る。
「「「無くなった足が生えてきた!」」」
見ていた待合に居た人達が驚く。
「あっ忘れてた」
無くなった足が生えてきたので、本人も驚く。
本人は腕の怪我を治療希望だったようだ。そう言う事は早く言ってくれ。
「だがこれぐらいなら、そこら辺に転がってる呑んだくれ猫でも1日1回なら出来る奴は居るぞ」
「「「「「マジか!!」」」」」
もっと驚かれる。
引き続き、お付き合いくださいませ。
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【更新スケジュール】
火曜日・木曜日・土曜日 21時
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★同日 17時30分に更新★
『只今、異世界潜伏中です。〜脱獄したら、王様にジョブチェンジ?!〜』(おっさん多め)も宜しければお楽しみくださいませ。
こちらの作品は猫さんより1ヶ月先輩の初作品です。




