閑話 大切な希望と約束
獣化が旨く出来ずに仔犬サイズはでしか変化できなかった時期に、君は俺の側にいたね。
早く会いたいよ。メリア・シルフィナ
早く俺を見つけにおいで
町並みの片隅にある、丘の上の木の側に俺は空を眺めて思いにふけていた。
心地よい気分で、しかし俺の気分を害する輩が現れた。
「本当に、ここなのか?」
「はい、結界の歪みは、ここだと俺のサーチが引っ掛かってますから」
「うむ、では探すぞ。クロードもアイテム型の物を見つけていた。きっとアーティファクトてきな物だ」
「へーい!」
へえ、メリアの父ぎみか。懐かしいな、懐かしさで殺したくなるぜ。
手にナイフを顕現させ、地面に静かに着地をする。気配をたち近づくと背中を刺そうした。┄が!
「ローズの旦那、すんません。」
「なに?」
ローズを避けさせるように横に突き飛ばし
近くにいた男が、俺のナイフを受け止めた。
「へえ。護衛の暗部か? よく俺の気配がわかったな」
「まあ、だてに旦那の護衛してないんでね。それより、誰だ┄あんたは?」
「さあ、俺にも、わからんから┄┄な!」
護衛の男を押しのけたあと、一定の距離感をあけ飛ぶと、護衛の男はスピードを乗せた攻撃を仕掛ける。
護衛の男は俺の攻撃をどうにか、凌ぐが獣の力と人間の力とでは差があるため、護衛の男は力負けで隙ができ、俺はもう一本のナイフを顕現させたのち、護衛の男の腰辺りを刺した。
「┄┄チッ、油断した。旦那! 逃げやすぜ!」
護衛の男は、腰辺りの怪我を我慢してローズの所へ走るが、先ほどのスピードがないと気づき、俺の口許はニヤッと口角が上がり
「逃がさねえよ!」
俺はポツリと呟き、ローズの近くに行く
ローズは近くに来た俺を、護身用ナイフを取り睨みつけ見据えてきた。
「何者だ! お前は!?」
「何者ねえ。俺、あんたとは2度会ってんだけど、忘れてんだ? 酷いね」
「なにを、俺は会ってなど┄┄」
「そっか! 小さかったもんな俺、でもこの傷を見れば、思い出すかい?」
左側の頬から目もと辺りを見せる。
するとローズは驚いた表情をして、目を見開いて。
「まあ、殺しそこねたから、記憶すら残ってなかったのか、あんたそういう奴だもんな!」
「┄┄忘れていた、わけではない。ただ俺は娘にお前が!!」
「ちょっと、味見しただけだ。」
「ふざけるな! 娘にあんな紋章をつけた、貴様は、許せん!!」
「おー、怖い怖い。でも、メリアは俺の物だ。いくらメリア自身が俺を拒否ろうとも、メリアはもらう絶対にな」
「だから、死ねよ。ローズ!!!」
グラッと力を解放し、獣化したのちローズに襲い掛かり脇や腰を爪で切り裂く、そして首もとに噛みつこうとしたときだった。
強い衝撃が俺にぶつかり、ローズから離され飛び俺は回転をし体勢を整えると、ぶつかってきた者を見据え驚いた。
黒い毛並みを艶やかに靡かせて、青い瞳が真っ直ぐ俺を見つめる姿は凛々しく綺麗になっていた。
「久しぶりだな、メリア」
「┄┄┄なんで! お父様にこんな酷い事をするの? ゲイル!!」
「うーん? そうだな、お前を俺から奪った復讐かもな」
「奪ったなんて! 私は誰の物でもない。ゲイルの物でも!!」
「いいや、お前は俺の物になるんだよ、絶対にな!」
あの紋章があるかぎり、お前は俺の物だ。
誰にも、渡さない。俺の番はメリアだけだ
必ず奪う、なにもかもな
「ゲイル、なんで?」
哀しそうに俺を見つめるメリアに、俺はなにも言わずに空を駆けていた。
◆◇◆◇◆◇◆◇
私はゲイルと別れた後に、急いで二人を運んだ。
お父様の知り合いの治療院につくと、人間に戻りドアを叩く、何度も┄┄
すると治療院のドアから、医師の弥生さんが現れた
「あら? どうしたんだい、こんな時間に?」
「すみません。実は急を要するのです、お父様とクウガさんが大怪我をして、助けて下さい!!」
弥生さんは私の言葉を聞いて、後方に横たわるお父様とクウガさんをみるなり、呆れながらも私に笑いかけ
「┄あい、わかった。あいつらを助けるよ!」
と言い弥生さんはスタスタとお父様達の近くに行くなり
土属性のゴーレムの縮小版を召喚し
「こいつらを手術室に運びな!」
と命令するとゴーレム達は、ビシッ! 敬礼したのちお父様達を運んで行ってしまう、そのあとを弥生さんも
私もあわてて治療院に入って行った。
それから二時間が経過したころ、騎士の方々が現れました。
赤騎士の隊長のヴェルス・ウォークマン
青騎士の隊長のリュウセイ・コウヤ
黄騎士の隊長のミクライス・レオナルド
白騎士の隊長のシリウス・コード
そして白騎士の副隊長のクロード・キル・ファルナ
他にも四人いますが、今日はこれだけのようです。
でもなんで騎士の方々が、ここに?
と不思議に思い待合室の椅子に座って見ていたら
クロードさんと目があってしまいます。
私はついさっきまクロードさんといたため、少し照れくさくてお辞儀をすると、クロードもお辞儀を返してもらいハニカムとクロードさんが妙に、照れくさそうにしていて
こんな緊急時なのに、照れてしまいました。
「おや! もう来たのかい。あんたたち?」
静かな空間に弥生さんが、騎士の方々に話しかけていました。
「呼び出しといて、それはないだろう?」
「そうだ、僕たち、暇じゃない!」
「まったくだ。重要性がなくば来ないぞ?」
「うんうん」
「それで、なんのようだったんだ?」
五人にそれぞれに言われ、弥生さんは少し困ったように騎士の方々をみたあと
「今回のローズ襲撃に対して、獣の痕跡があってね。結構な重傷なんだが、一応命はとりとめているんだが。一つとてもたちの悪い、毒素があるんだ。だから騎士の方々に取ってきてくれんかと思ってね? 駄目かい?」
「別に俺はいいが? クロードはどうしたらいいと思っている?」
「いいんじゃないか、宰相がいなくなると俺も迷惑だし」
「僕は嫌だ。毒素は気分的に乗れない。こまる、却下」
「私も無理だな、緊急にやらんといかん仕事がある」
「すまない。俺もだ、シリウスには悪いが毒素は黒騎士のあいつで、見たくない関わりたくない!」
「そうか、じゃあ白騎士の二人は大丈夫なんだね」
「なら、ついといで説明するから。あんたたち帰っていいよ!」
弥生さんの言葉で、赤騎士、青騎士、黄騎士は弥生さんにお辞儀をして出ていく
弥生さんは白騎士の隊長のシリウスさんとクロードさんを連れて奥の診察室に行ってしまい
ポツンと私は残されたのでした。
急に静かな空間になってしまい、寂しくなっていたら
ハッ! と気づく、いま弥生さんは毒素とか言ってましたよね? お父様達は危険性のある状態ではないですか?
なにをしているのです。私は茫然と成り行きを見守っているなんて、私らしくないのでは
そう思い診察室にいこうとしたとき、ふとクロードさんの言葉を思い出しました。
『あなたは危機感がないのですか?』
そう言われて、昔にも言われた事があったからドキッとしたな、また動いてクロードさんに怒られたくないと思い大人しく、することにした。
不思議とクロードの言葉は、素直に聞き入れられる
まるで私の希望を叶えくれる、そんな気がした。
手をアンクレットにあてながら




