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お茶会②

 薔薇の庭園からチューリップの庭園へ移動し、ソフィア達が大慌てでお茶会の準備をしてくれた。せっかく花もテーブルクロスもお茶もお菓子も自分で選んだのに、初めてのお茶会は失敗と言っていい結果になってしまった。


 そのことにショックを受けていると、クラウスが一口サイズのタルトを刺したフォークを人の口に突っ込んできて驚いた。


 文句を言おうにもタルトが口に詰まってて言えなくて、仕方なく口の中にあるタルトを咀嚼して、飲み込んでからクラウスに文句を言った。



「何するの」

「しけた顔を招待客の前で見せるな。考えが丸分かりなのは今後お前の立場を悪くさせる。今はまだいいが、少しずつ感情を読み取られねぇようにしていけ」

「……分かった」

「今回のお茶会はお前は何も悪くねぇ。招待した奴が悪かっただけだ。工芸茶もスイーツも反応よかっただろ」

「大魔法使い様の言う通りです。お湯を注ぐとゆっくり花開いていくお茶なんて初めてで視覚でも楽しませてもらいました」

「それだけではありません。会場の雰囲気も心地よくて、とてもよかったです」



 言わせてしまっているような気がしたけど、二人の目を見て本心なんだなと思って嬉しい気持ちになった。


 それにしても、パパが厳選したにも関わらず何であんなに不敬な態度をとる子達が集まったんだろう。誰かが招待された家に皇子派の人達が何か手を回した可能性を考えたけど、お茶会に招待された皇女派の人達を一気に皇子派にできるとは思えないし、異母兄の話をしていなかったから可能性は低いだろう。


 本当に謎だと思いながらうーんと唸っていると、クラウスから心配された。



「褒められてんのに何を思い悩むことがあるんだよ」

「何であんなに下に見る発言をしてきたのか謎だったから…」

「それでしたら、恐らく妬みからだと思われますよ」

「え…?」

「オルコット伯爵のお茶会もそうですが、あの場にいた令嬢のお茶会は皇女様のお茶会のように華やかではありませんでした」

「オルコット伯爵の令嬢のお茶会で出された友好国で人気のお茶は彼女のお母様がお茶会で使った残りですしね」

「つまり、レイシアみたいに全部一から自分で選んで用意したわけじゃなく、母親が使用したものを使っていたから嫉妬してあんな態度を取ったってか」

「それでも、自身の家の不満を皇女様に八つ当たりなんてよくできましたね…」



 失礼な態度を取られた理由をソルフィール嬢とラティアス嬢が教えてくれたけど、アルベルトの言う通り八つ当たりだったから話を聞いていた全員で呆れた。


 全く私は悪くないし、家の不満を私にぶつけないでほしい。そもそも、私の立場でおさがりの物をお茶会で使用するなんて有り得ない話だ。


 私より歳上なのにそんなことも分からないのかと思うと、ソルフィール嬢とラティアス嬢の二人以外の令嬢との交流はやめておこう。


 もし、二回目を開くことがあったらその時は成功させたいなと思っていると、複数の足音と話し声が近づいてきた。



「あら?ディアン様、誰かいますわ」

「おかしいな。ここは今日、使われないはずだが…」

「これ以上の立ち入りはおやめ下さい」

「アルベルト…」

「ちょっと、皇太子のディアン様と皇太子妃の私に命令するなんて不敬極まりないないわ!誰か、今すぐこの男を拘束しなさい!」

「アルベルト退け。お前は護衛に回れ。俺が対応する」

「…魔法をぶっぱなすのはやめて下さいね」



 ディアン様と呼んでいる声が聞こえた途端に、アルベルトや他の騎士は私達を囲うような位置に動いた。メイド達も前に出て私の視界を塞いだし、なんなら、ソルフィール嬢とラティアス嬢まで私を背に隠してきて驚いた。


 何故異母兄が私専用の庭園に婚約者を連れて歩いているのか疑問だ。私専用の庭園だと知っているはずなのに。


 アルベルトがこれ以上の立ち入りを止めると、婚約者であろう令嬢の怒り声が聞こえ、アルベルトではダメだと判断したのか私の隣で警戒していたクラウスが立ち上がってアルベルトに下がるよう命令した。


 すると、アルベルトは大人しく下がって私の隣に来れば「クラウス様が対応するので大丈夫ですよ」と、私を安心させるためにそう言ってきた。



「ここは皇女専用の庭園で、皇帝と皇女にその使用人以外は立ち入り禁止だ。今すぐ庭園から立ち去れ」

「有り得ない!ただの騎士が皇太子と皇太子妃に向かってなんて口の利き方なの!?」

「残念、俺は騎士じゃねぇんだわ。初代皇帝からずっとこの帝国の皇帝を傍で支えてきた大魔法使いクラウス・ヴィクターだ。それと、お前の横にいる奴は皇子ではあるが皇太子じゃねぇよ。間違えるな」

「大魔法使い…?それに、ディアン様が皇太子じゃないって何を言っているのよ。次の皇帝はディアン様なんだからどう考えたって皇太子で間違いないわ!」



 すぐに喚くところが皇妃によく似ていて、類は友を呼ぶというのは本当なようだ。異母兄とその婚約者の姿は騎士とメイドとソルフィール嬢とラティアス嬢が私の前にいるから全く見えないけど、会話の内容だけで何となくどんな顔をしているのか想像がつく。


 そして聞いていた通り、異母兄の婚約者は自分が未来の皇后になると本気で思っているようだ。皇帝のパパは異母兄を次の皇帝にするなんて一言も言っていないし、公に発表もしていないのに。


 多分だけど、皇妃とネルソン侯爵家が彼女に異母兄が次の皇帝で貴方が皇后になるとでも言っているんだろう。


 呆れ返って何も言葉が出なくて静かにクラウスと二人の会話を聞き続けた。

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