109/200
100人に1人に出会う為に
目が覚めた。小説を書こう。
昨日の夜は、あの後しばらくの間、起きていて、人の小説を読んで回ったりしていた。そこで1つの作品に出会った。かなり質の高い作品だった。「ストーリー的にもそうだが、特に表現が素晴らしい!」と思った。けれども、周りの人達からは酷評されていた。
ま、そこはしょうがない。小説というのは、そういうものだ。100人が読んで、100人が納得するものなど、そうそう書けはしない。
プロの小説家…それも一流と呼ばれる部類の人でも、こう言っている。
「そもそも小説など、読んでいる人の数自体が少ない。その上、自分の作品に合っている人というのは、なかなかいない。その中から、せいぜい100人に1人くらいのものだろう」と。
その100人に1人に出会う為に、僕らは書き続けているのだ。何の反応もない無風の中、大嵐のような批判の中で。そうして、少しずつ少しずつ根を伸ばし、枝葉を広げていく。いずれ、どんな風にも負けぬ巨木となる為に。




