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第三話「クラスボード。」

「クラスボード。」


俺が呟くと、ステータスと同じように文字が現れた。


これも問題なく使えそうで安心した。ステータスなんかよりこっちのほうがよっぽど大事だからな。

これでクラスの選択とスキルポイントの割り振りができる。



==========================


ノイン・レーゲンシュライン


メインクラス:

戦士 拳闘士 盗賊 狩人 旅芸人

魔術師 聖職者 料理人 薬師

鍛冶師 木工師 漁師 農民 商人


サブクラス:

戦士 拳闘士 盗賊 狩人 旅芸人

魔術師 聖職者 料理人 薬師

鍛冶師 木工師 漁師 農民 商人


==========================



まずはメインから。


条件を満たすごとに解放されていく仕様なので、初めに選択できるクラスはそんなに多くない。

ただ、初期から選択できるクラスだからといって弱いかと言われると全くそんなこともない。


一部どうしようもないクラスもある。それは認める。

だが、基本的にはどのクラスにも強みがあり、スキルや装備でシナジーを起こせばエンドコンテンツでも通用する。


むしろ、どうしようもないようなクラスでエンドコンテンツを攻略したときに脳から放出される快楽物質。それを糧に生きながらえているのがリゲナーという生き物である。


まあ、この状況であれば一択。

俺が本気の攻略の際に使用していたあのビルドを目指そう。


<メインクラスが拳闘士(Lv1)に変更されました。>


色々なビルドを構築するためには当然その分、各クラスのレベルを上げなくてはいけない。

そのためにもまず土台をしっかりと築く必要がある。

なので、わかりやすく強いビルドにはなってしまうが、まあこれはこれでなかなか楽しいビルドなので問題なし。


それに拳闘士は素手で戦うクラス。今は装備もないのでちょうどいい。


次はサブだが、ビルドが決まった時点ですでに決まっている。


<サブクラスが聖職者(Lv1)に変更されました。>


聖職者は長杖、短杖、槍などに適性のある魔法系のクラスだ。回復魔法を得意としている、いわばヒーラー。支援魔法もそれなりに使えるし、一応攻撃手段としてアンデッド特攻の聖魔法がある。

が、聖職者は精神力と魔法耐性への恩恵が大きいクラスで魔法攻撃力はさして上がらない。

ダメージを出すにはちゃんとビルドを組む必要がある。


まあ、聖魔法は今回のビルドには関係ないけど。


というわけで、クラスも決まったので、お待ちかね。

スキル選択の時間だ。



==========================


ノイン・レーゲンシュライン

Lv:2


(使用可能ポイント:11)


メインクラス:拳闘士

Lv:1


<初級拳闘術(0/10)>

<初級鉄鉤術(0/10)>

<持たざる者の矜持(0/15)>

<足技(0/5)>

<一撃の型(0/10)>

<連撃の型(0/10)>

<鉄壁の型(0/10)>

<攻撃力上昇(0/50)>

<素早さ上昇(0/50)>


サブクラス:聖職者

Lv:1


<初級長杖術(0/10)>

<初級短杖術(0/10)>

<初級槍術(0/10)>

<初級聖魔法(0/10)>

<初級回復魔法(0/10)>

<初級支援魔法(0/10)>

<道を歩むもの(0/15)>

<聖リーベの訓え(0/10)>

<聖ユスティーの訓え(0/10)>

<精神力上昇(0/50)>

<魔法耐性上昇(0/50)>


==========================



まったく、この画面を見ると頬が緩む。

スキルはここにあるのがすべてではない。各スキルを取得することで、それに応じた新たなスキルへと派生していく。例えば、『初級拳闘術』を10まで上げれば『中級拳闘術』になるし、『足技』に5ポイントを割り振れば『鉄脚』『体幹強化』『武踊』が新たに追加される。


「まあ、ここは……。」


取得するものは既に決まっている。

初期から持っているポイント10とレベルが上がったことでもらえたポイント1。

俺は慣れた手つきでそれを割り振っていく。


==========================


ノイン・レーゲンシュライン

Lv:2


(使用可能ポイント:2)


メインクラス:拳闘士

Lv:1


<初級拳闘術(0/10)>

<初級鉄鉤術(0/10)>

<持たざる者の矜持(0/15)>+3

<足技(0/5)>

<一撃の型(0/10)>

<連撃の型(0/10)>

<鉄壁の型(0/10)>+3

<攻撃力上昇(0/50)>

<素早さ上昇(0/50)>


サブクラス:聖職者

Lv:1


<初級長杖術(0/10)>

<初級短杖術(0/10)>

<初級槍術(0/10)>

<初級聖魔法(0/10)>

<初級回復魔法(0/10)>

<初級支援魔法(0/10)>+3

<道を歩むもの(0/15)>

<聖リーベの訓え(0/10)>

<聖ユスティーの訓え(0/10)>

<精神力上昇(0/50)>

<魔法耐性上昇(0/50)>


==========================



「よし、これでいい。」


<持たざる者の矜持が(3/15)に上がりました。>

<パッシブスキル『素手戦闘の基本』を取得しました。>


<鉄壁の型が(3/10)に上がりました。>

<戦技『肉体硬化』を取得しました。>


<初級支援魔法が(3/10)に上がりました。>

<アクティブスキル『攻撃力上昇』を取得しました。>


スキル獲得のアナウンス。たまらん。



==========================


素手戦闘の基本<パッシブ>

 己の得物を肉体と定めしもの。それは狂者か愚者か。いずれにせよ、尋常ならざる道を歩むことになるだろう。武器を装備していない状況でのみ発動。攻撃力に+30%のボーナス。


==========================



『持たざる者の矜持』は素手ビルドの必須スキル。武器を持っていない場合の攻撃力を補ってくれる。とはいえ普通に武器を持ったほうが攻撃力は上がるので、素手ビルドはネタ枠として見られがちだ。


だが、俺は知っている。

素手ビルドは間違いなく最強の一角であることを。


まあ、その領域にいけるのは随分と先になるだろうけど。


落胆することはない。

『素手戦闘の基本』があれば一先ずは安定して戦えるはず。

『肉体硬化』と『攻撃力上昇』も手に入ったし。


本当は『鉄壁の型』を(6/10)まであげたいのだが、今割り振れるポイントは『5』が上限。

これ以上割り振るには、クラスレベルを上げないといけない。


「ポイントも足りないし、何をするにもまずレベル上げだな。」


でも……。


==========================


ノイン・レーゲンシュライン

種別:人類・人属


メインクラス:拳闘士(Lv1)

サブクラス:聖職者(Lv1)


Lv:2

HP:7.2/32   MP:16/16

物理攻撃力:18  物理耐性:9

魔法攻撃力:8 魔法耐性:9

素早さ:10  持久力:8

精神力:14    幸運:6


状態異常:

なし


装備:

布の服 皮の靴


スキル:

肉体硬化 攻撃力上昇 素手戦闘の基本


==========================



「俺、結構死にかけなんだよなぁ。」


クラスによる恩恵も乗ったこのステータスなら、初期の草原にいるモンスターの大半を完封できる自信はある。

だが、Lv5のケロピヨなんかにエンカウントしてしまうと結構危ない。あいつらは戦技も持っているし、何より俺の選んだ拳闘士と聖職者は物理防御への恩恵がほとんどない。ここはほぼ無職と変わらない紙装甲のままだ。


「よし……。」


俺は少し悩んでから体を起こした。

とりあえず街に行くことにする。宿屋に行けば回復もできるだろう。そして、道中で見つけたモンスターはできるだけ狩る。ケロピヨは避けよう。


方針も決まったのでいい加減立ち上がる。服についた草を払いながら軽く伸びをすると、気持ちのいい風が肌を撫でた。少し眠気を感じていた頭がすっきりとしたのを感じる。

足元の芝生には激しい戦闘の跡が残っていた。


「おっと、そうだった。」


ふと思い出した。芝生の上を見回す。


「あった。」


それは太陽の光を浴びてキラキラと輝きを放っていた。

そう、ドロップ品だ。


今回は『魔石(小)』と『ケロピヨの肉』。

ケロピヨ…人型……肉…。考えるのはやめておこう。


魔石などのドロップ品は換金すればお金になる。もちろん自分で使ってもいいんだが、宿屋に泊まるにも当然お金がいるし、今回のは全部換金かな。


とりあえず、インベントリに入れておこう。


「おお…。」


宙にぽっかりと穴が開いた。中は暗くて見えない。

『魔石(小)』と『ケロピヨの肉』を入れてみる。少しすると穴は自動で閉じた。

インベントリってこうなってるのか。確かに収納されているのも確認できた。


ステータスや、クラスボードも不思議なのだが、これはなんか格別に感動するな。


「よし、行くか。」


気合を入れ直して、街までの一歩を踏みだした。

俺の立っている位置は小高い丘というか、山になっているのか、やや街を見下ろすような形になっている。


長大な壁に囲まれた灰褐色の街並みが美しい。ここからじゃさすがに人までは見えないが、煙突らしきものからのぼる白煙が確かにその存在を知らせている。


だがあんな構造の街は『Re : Genesis Online』にはなかった。

全てが同じというわけではないのだろうか。


暗い部屋で一人ゲームばかりやっていた俺には馴染みのない景色。

こうやって外を歩いて自然に触れるのも悪くない。


なんともすがすがしい気分。見晴らしもいいし、危ないモンスターは避けられそうだ。


そんなことを思いながら歩いていたのだが、遠くに小さな影が見えた。

地を這うようにのしのしと歩いている。

あのシルエットには見覚えがあった。大丈夫だ。


進路は変えず歩き続けると、やがて目の前にブタのようなモンスターが現れた。

向こうもすでにこちらに気づいているようだ。

俺が二度目にエンカウントしたのはこいつ。



==========================


モヒボア

種別:牙蹄(がてい)類・鬣豚(りょうとん)属


Lv:3

HP:28/28

MP:7/7


状態異常:

なし


==========================



中型犬くらいのサイズの黒い毛玉からブタの鼻先が飛び出てるような見た目をしたモンスター『モヒボア』だ。

かなりかわいい。


こいつは素早さこそ高いが、攻撃は突進の一辺倒。正直言って倒すのは容易だ。


「モヒモヒ……モヒィッ!!」


突進を避けて、すれ違いざまに…。


「おら。」


「モヒィ!!」


これを何度か続ければ。


「おら。」


「モヒィ!」


「おら。」


「モヒィ!!」


「おら。」


「モヒィ!!!」


<モヒボア(Lv3)を倒しました。>

<経験値(18)を取得しました。>


ほらね。


「レベルはあがらなかったか。」


キャラクター、メインクラス、サブクラスで3分割されているのでそんなものだろう。

あと、二、三体倒せば…。うん、モヒボアは弱い。ねらい目だな。


『魔石(小)』もしっかり回収。

公式設定で『モヒボアの肉』は美味しく人気が高いとあった。

ぜひ欲しかったが、今回は出なかったみたいだ。残念。


いやしかし結構距離ありそうだな。

街が大きいせいか距離感がつかみづらい。


「到着するころにはそれなりにレベルが上がってるといいけど。」


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