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太陽の申し子〜竜に選ばれた少年の旅物語〜  作者: 日孁
第2章~血塗られた復讐劇~
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転異者Ss

「ステータスオープン!」


 何も出ないな。

 おかしい……


(おい、なにをしておる。早くついてこい)


「あ、すみません!」


 異世界に来たということは何かしらの特典があると思っていいはずだ。

 よくある『ステータスオープン!』でスキルとかが出てくるかと期待したんだが、ここはどうやらステータスやスキルのある異世界ではなさそうだ。

 となると現代の知識を使っての無双、あるいは魔力量や魔法の適性がチートの可能性がある。

 魔法は教えて貰えそうだし、まだ焦る必要は無いか。

 そしてもうひとつ重要なのが種族だろう!

 この世界には獣人やエルフはいるのだろうか!?

 いるのなら会いたい!是非とも会いたい!

 なんならこのバサイユルルフさんが人化したら超絶美少女とか!?

 有り得るし、有りだな!

 バサイユルルフさんに案内される中でそこまで考えを整理した。



 ─────────────────────────



 えー、この世界に来てから半年が経った。

 その間、ホームシックならぬアースシックになったことが多々あった。

 理由?


 第一に連れられてきた寝床。

 もしかしたら、普段は人の姿で生活しているから森の洋館的なところに案内されるのかなーと思っていたわけですよ。

 ところが!

 着いたと言われて見てみれば目の前にあるのは大きめの洞穴!

 ほ!ら!あ!な!

 今までベッドや布団で寝てたし、キャンプでも寝袋しか経験がない。

 いや、贅沢は言っちゃいけない。とそこは我慢して寝たさ。

 ええ、寝ましたとも!

 巨狼と一緒にね!ぐっすり眠れるわけがない!

 まあ、これに関しては初めの数週間で慣れてきたんだけどさ。


 2つ目、1番はこれだ。

 魔法が全く使えない。

 俺が下手なんじゃない、魔法そのものが難しいんだ……と思う。思いたい。

 魔力はある。それこそ、バサイユルルフさんには多い方だとも言われた。

 けれど、魔力を持っているから魔法が使えるなんて思わないで欲しい。


 魔法を使うために、まず魔力とはなんなのかの座学を受けた。そのあとは魔法の成り立ち、魔法の仕組み、と続いていき。数日前からようやく実践となったわけだ。

 そこで即魔法が使えたのなら良かったよ。何日間も難しい魔法理論を、夢にまで見た魔法が使えると思って頑張って聞いていたし、理解に努めた。

 でも……無理だ!

 やり方が頭で理解できたからといって、行動に移せるわけがないんだよ!

 というか、本当に理解出来たとも言い難い。

 因みに、今もやっている最中だが、出来る気がしない。

 発動しようとしているのは風魔法。火は危ないし、水や土はより複雑で難しい。

 消去法での風魔法なのだが……


「……こんなの出来るわけがない!」


 まず魔力(マター)という、大気から吸収したエネルギーを体から絞り出さなければならない。

 ここで何回か躓く。

 これができたと思ったら、今度は発動する魔法に合わせて魔力を調整し、形を作っていく。

 ここで毎回失敗して成功しない。

 しかも成功したらしたで、次は魔力の放出と維持だ。

 放出は単純に魔法を発動することだが、もうひとつの維持……

 これが出来ないと魔法が暴発してしまうらしい。

 はは、こんなの出来ないだろ。


 正直に言おう。俺は魔法をなめていた。

 だが、ラノベでは簡単そうにやっていたし、実際彼らからしたら簡単なんだろうさ。

 けれど、あくまであれは空想の世界だけの話だったんだよ。

 チートとハーレムが出来ると思っていたら……こんなことなら日本にいたかったよ。

 そもそも、新入社員であってまだ社畜じゃなかったし……


(まあ、そう慌てるな。お前はよくやっているぞ。この我が言うのだ。自信を持て。)


「バサイユルルフさん……こんなのいくら経っても出来ないですよ?」


(数年かけて学ぶものを数ヶ月で終わらせたやつが何を言っている。だが……そうだな。)


 バサイユルルフさんが思案するように眉をひそめた。

 教えてもらった座学だが、内容の難易度は大学の授業レベルと言ってもいいほど複雑で難しかった。

 確かに、これは誇ってもいいかもしれないな。説明自体が分かりやすかったり、必要な知識だけに絞ってもらえたおかげでもあるが。


(ふむ、ではお前が会いたがっていた獣人族に会わせてやる。)


「ななな、なんですとぉ!!?」


 そうだ。これがあった!

 獣人の娘、からのハーレム!

 待ってました!


(だが、やはり魔法が使えないとなると心配だな。連れて行ってやるが、絶対に我からは離れるな。)


「え? 何故です?」


(危険だからだ、としか言えん。そもそも、獣人族に会いたいと言う輩はお前ぐらいだ。変わり者め。あんな野蛮な連中、我も出来れば会いたくはないのだ。)


 本気で嫌そうな顔をするバサイユルルフさん。

 だが、ラノベで(・・・・)獣人族が虐げられている展開もよくあるしそれほど……野蛮と言っても戦闘力が少し高いとか戦うことが好きとか、それぐらいじゃないかな。

 ……ケモ耳美少女。はやく会いたい!


(まあ、一種のご褒美だ。会えたらやる気もまた出てくるだろ。)


 そしてお気づきだろうが、この巨狼。もう既に俺に愛着が湧いてきているようで……


(愛着などではない。我が直々に指導している奴が弱者など、【王種】として格好がつかんからだ。)


 ツンデレだ。

 人化出来て尚且つ絶世の美女になってくれたら更に良い。

 いや、この狼の姿でも人懐っこい感じがして可愛いけれど。


(いい加減にしろ。今ここで噛み殺してお前の存在を無かったことにするのもできるのだぞ。)


「すみませんでした!」


(そもそも人化は出来ないのではなくてしないだけだ。何故、【王種】がわざわざ軟弱な人の姿をとる必要がある。ついでに、我は人化しても女にはならんぞ。)


「えっ!? そ、そんな! じゃあ本当にジj……」


(知らん。少なくとも女ではない。)


「ショタの可能性もあり、か。趣味じゃないんだけどなあ」


(…………)


(明日、連れて行ってやる。今日はもう寝ろ。)


「いやまだ日が出てまs……」


(寝ろ。)


「はい」


 当たり前だが、その後直ぐに寝れるわけがなく。

 むしろ、明日が楽しみで目が冴えてしまっていた。

  結局、バサイユルルフさんに魔法で強制的に眠らされたのだった。

お久しぶりです〜!日孁です!

ちょこちょことか言って結局だいぶ長いこと投稿出来ませんでしたね。申し訳ないです(T▽T)

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