55,ヘビィ大洞窟
「さて、みんな集まったな?」
タマがみんなを見渡し、出発前の最後の点呼を取っていく。
あの後、冒険者ギルドで出来そうなものをいくつか選んできた。量としては20未満かな。ルドルフがパッパと選んでしまって僕たちは特に何もしなかった。行く意味はあったのか。
あ、でもあの金髪と変な眼鏡の人の戦いを観て学ぶことが出来たし良しとしよう! 名前聞いとけばよかったかな。
「アレン……もいるな。よしじゃあ行くか」
「はーい! さーさー皆さん! 私が先導しますよ!」
ジャスミンもみんなで集まってから軽く自己紹介していた。この短い間で分かったのは、彼女はとても自信家だということだ。大魔女もそうだったけど、凄い魔法使いって自信家が多い傾向なのだろうか?
でも、大魔女とジャスミンの違う点は、
「あいたっ!」
恐らくこのドジだろう。
なんというか、この人見ていて危なかっしい。歳上なんだよね? 一応。思ってたほどの年齢ではなかったけども、歳上なんだよね?
先が思いやられる。
そうだ。
(タマ。)
(どうした?)
(ルビアスもヘビィ大洞窟に連れてってもいいの?)
(うーん)
ルビアスは今、このギリュアリュから少し離れた森に隠れている。少しと言ってもルビアス目線の少しだけどね。
ルビアスを呼ばなかったのラウルがいたからだけど、どのみちもう出会ってしまっているので関係ない。
(俺は構わんが、こいつらに説明してないだろ?)
(でも、もうラウルと出会ったんだし、変わらない気がするな。)
(分かった。じゃあラウルがどうするかで決めよう。ちょうどあいつもまだライカを呼んでいないようだしな。)
そう、そのラウルも相棒のライカを今連れていない。どこにいるのだろうか?
─アレン─
ん?
─もしかしてその龍って暗い黄色の鱗をしてる?─
そうだけ…ど
まさか
─多分それ今私に─
なんだ!
攻撃してきてるのか!?
─いや、じゃれてる─
???
龍が……じゃれる?
─そう─
分からんが大丈夫そうだな
─いや、普通に嫌なんだけど─
頑張れ!
(どうした?)
(現在ライカはルビアスにじゃれている模様。)
(龍が……? どういうことだ?)
(タマにも分からないなら僕にもさっぱりだね。)
(先祖の血を嗅ぎ分けたとかか。ともかく、ルビアス様にはライカと一緒に行動してもらえばいいか。なにかと都合がいいしな。)
(了解。)
そのことをルビアスに伝え、みんなの会話に耳を傾ける。
「ヘビィ大洞窟に棲む魔物達なんですけど! とにかく虫型の魔物が多いです! だから、そこに巣食う【王種】は虫型と予想されます!」
「虫型の【王種】か」
「…こいつの予想はあてにするな」
「ルドルフ!」
見ろ、これが16歳と72歳の会話だ。
全く見えない。
それにしても、虫型の【王種】ね。
(タマ、名前はパーンクァフルだよね。虫型なの?)
(そうだ)
(つまりジャスミンの予想って。)
(当たってるな。)
おおー、流石自称天才。
(だが、ジャスミンだけじゃなく色んなやつもその予想は立てているからな。別に不思議ではないな。)
やはり自称止まりだったか……
そんなこんなで洞窟の目の前にたどり着く。
え? 道中の話? 特にないけど……
だって転移魔法陣でビュン!だもん。その転移魔法陣までと、転移してから少し移動したぐらい。
タマとかアンナが言ってた移動方法ってこれの事だね。非常に楽!
ちなみに、魔物とかが使えないように暗号みたいなのがあった。頭いいねー。
実際にギリュアリュ中心部からヘビィ大洞窟まで転移系を使わずに馬車とかで移動するとなると、半日はかかるみたい。転移魔法陣を知っちゃうとめんどくさいね!
にしても……これがヘビィ大洞窟!!!
人の住む地域から外れ、密林の中に構える巨大な穴。穴の大きさは人がすっぽり入れる程度? いやいや、龍が? いやいやもっとだ。首を動かさなければその全容は視認できない。まるで大地が、その大きな口を開き、万物を飲み込もうとする、神話上の化け物のようだ。
この穴こそが、ヘビィ大洞窟の始まりである入口。
中にどれだけの試練が待ち受けるのかはわからない。が、感じるのは未知への恐怖ではなく、1つの好奇心だ。
未知の世界を知り、自ら触れることは己を知ることにも繋がる。ここで僕はまた1歩、成長できるのだろうか。いや、愚問かな。
さあ、待っていろ!
【王種】、純白の支配者!
さて、ではでは次回から(日孁が)待ちに待った洞窟探検です!
楽しみです!←




